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チート能力は主人公?  作者: 穴原昌二
プロローグ
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閑話 召喚されし勇者達

結城明たち視点です

 俺、結城明は今がとても楽しかった。幼馴染の天野桜、高校入学時からの付き合いで親友の鬼塚真央、真央の幼馴染の星野玲で今も携帯ゲームを四人で遊んでいる。特に、俺と真央は共通点も多く、異性からの告白や幼馴染の話などをよくするのだ。それは咲たちも同じらしく二人はよく話していた。そんな俺たちだからこそ、あんな状況になっても話し合いをしているんだと思う。




 夏休みが終わり久しぶりの学校に登校したアキラ達は、各教室で行われている始業式の校長先生のありがたいお話という名目の拷問を受けていた。しかしその間まともに話を聞いている生徒はおらす、先生ですら携帯をいじりだす始末である。


 そんなよくある詰まらない始業式の中、当然アキラ達もまともに聞いている訳がなく景帝ゲームを先生にばれないようにして遊んでいた。


 しばらくすると、クラスの中の一人が騒ぎ始める。


「な、何だ」

「う、うわああ」


 いきなり起こる、科学的に理解できない教室の床からの光。クラス中パニックになり、教室から出ようとした者もいたが、教室の扉は何故か開かず完全に閉じ込められている。よく見ると、床の光はだんだん見たこともない文字や、ファンタジーに出てくる丸い魔法陣になって言った。


 光はどんどん強くなっていき、最終的には教室全体が光に飲まれていった。




 しばらくすると視界がはっきりとしてくるが、目に入って来る光景はアキラ達の知っている教室とは全くかけ離れていた物だった。


 肌触りがよさそうなカーペット、職人が1つ1つ丁寧に作ったであろうシャンデリア。さらにはテレビでしか見たことのない洋風のお城の玉座。


いっそ夢と言ってしまえいば楽になるが、周りのクラスメイト達の立ち位置。さらには自分が数秒前までやっていた携帯のゲーム画面、そしてアキラ自身が肌に感じる感覚は現実そのものである。


 自身が陥っている状況にクラスメイトが唖然としていると、玉座の左脇から3人の男女といかにも護衛いと言った感じの男たち2人が出てくる。男達2人は3人の男女達を挟むようにして立つと、3人の男女は王冠とマントをしている男を中心に左右に別れ話をし始める。


「ようこそ勇者のみなさん人間国ヒュニマへ。私は現国王のランド・ヒュニマというものです。こちらは娘のリーナと息子のジェンです」


 一番初めに喋ったのは、王様と名乗るも中年男性だった。いかにも優しそうな雰囲気を身にまとい、アキラ達の心をすぐに掴んでしまいそうな包容力があった。そしてランドが話し終えると脇の男女二人が一礼をする。2人ともとても豪華そうな服装をしており、どちらも金髪で瞳の色が緑色をしていた。


 男の子の方は俺らと同じくらいに見えるがどこか不満そうな顔をしており、女の子の方は明らかに年下でどう見ても小学生か幼稚園児にしか見えず、それなのに子供らしさが無く全てに醒めているようだった。


 どちらも美男美女と言った感じでクラスメイトが唖然としていると、クラス担任のヤスイ先生だけは思考を放棄しておらず王様に話し始めた。


「なんですかこれは!!クラス全員を誘拐してどういうつもりですか!!」


 ヤスイ先生の一言で全員が思考を取り戻すと、不安が一気にクラス全員に行きわたり怒鳴り始めた。しかし王様に慌てた様子はなく、むしろより穏やかにほほ笑みながらクラス全員の前に手を出し抑えるようにジェスチャーをする。すると不思議なことにクラス全員が黙りだし、静かになった。


「あなた方は私たちが召喚した勇者様。どこから召喚されたのか判りませんが我が国のためにぜひ戦ってほしい」


 とたんその場に居た全員が、この王様は頭がおかしいと思った。なぜなら、王様の言う通りこの場に呼ばれて来たのなら、誰ひとりとしてそんな訳もわからない国のために戦おうとは思わないだろう。そしてそんなデタラメな意見に対して、抗議を上げたのもヤスイ先生だった。


「意味のわからないこと言わないでください。警察を呼びますよ」


 ヤスイ先生は携帯を取り出し、まったくもって正しい対応をしていた。それはその場に居た生徒達も同感で、この状況において警察の名前を言えば間違いなく相手は怯むだろうと思っていた。しかし王族たちの反応はまったく違い、顔を合わせては何を言っているんだろうと相談し始めた。


 何だ、これは。そもそももし本当に誘拐犯なら俺たちをこんな自由にさせて携帯を握らせたままにするか?………もしかしたら俺達の創造をはるかに超えてヤバいことに巻き込まれたかもしれない。


 アキラが考えているうちに王様の方の話がまとまり、一歩前に出て言い放つ。


「はて、警察とは何のことか判りませんが、これ以上抗議されては話が進みません。………少し黙ってください」


 王様は指輪を嵌めた人差し指をヤスイ先生に向けると、指輪が急に光出しなぜかヤスイ先生は喋らなくなった。と言うよりも正確に言うと声を出そうとしても、声が出ていなかった。


 な、何だ!!


 訳のわからない出来事に全員が困惑し、怒鳴り散らす者、へたり込んで泣き出す者、さらには護衛がいるのにもかかわらず攻撃しようとするものまで出てきた。しかしそのどれもが2度目の指輪の輝きで消え去り、全員が金縛りにあったように動けず黙ってしまった。


「では、話を続けます。まず私たちがあなた方を召喚した理由ですが、我が国は魔人族と獣人族の国と戦争になるかもしれないのです。我が国のスキル技術は高いのですが、このままでは我が国が負ける可能性が高い。ですので失敗覚悟で勇者召喚を行ったのです」


 正直何を言っているかよくわからなかった。戦争?勇者?冗談だろ。こっちは戦争なんてましてや争いがほとんどない世界一安全な国の住人だぞ。


 全員が戦争なんてふざけるなと意見が一致していると、王様はそこに釘を刺す。


「ああ、それと拒否権はありませんのでそのつもりで。もし拒否しようとしても今のように強制的に従わせることができるのであしからず。それでは今日はこれぐらいにしましょう。侍女たちに部屋を案内させるので部屋でお休みください」


 そう言い残すと王様達はアキラ達に一礼をして、来た方向とは反対側に居なくなってしまった。全員が放心状態で動けるようになっても何を、やっていいのだかよくわかっていなかった。その後アキラ達のもとにメイドがやって来ると、全員がまるで罪人のように頭を下げて個室に案内された。




 個室は兵士のために用意された物のようで、全体的に狭く1人で生活するのがやっとのスペースである。アキラは部屋に入るとすぐさまベットに腰を下ろすと、今さっき起きたことが頭にフラッシュバックする。


 今日は一体何なんだ。ゲームしてたらいきなり光って、目の前が真っ白になったと思ったら今度は変な場所に居るわ。指輪が光ったと思ったら急に体が動かなくなるわ。


 個室でしばらく意気消沈をしていると、ノックが聞こえてきた。アキラは扉を開けるとサクラ、レイ、マオが部屋の前に立っている。三人はしばらく沈黙をするとサクラが話しかけてきた。


「入って言い?」

「………ああ」


 そう言うと黙って三人が入って来た。三人は椅子やベットの上など思い思いの場所に座るとマオが話し始める。


「これ、夢じゃなくて現実だよな」

「ああ」


 アキラが答えると、マオはさらにヒートアップしていき、次々と話し始める。


「さっきヒュニマってあのおっさんが言ってただろ。どうせなんかの撮影かなんかだと思って携帯見たら、ここ圏外だった」


 そう言うとマオは携帯をアキラ達に見せるように取り出す。やはり彼の言うとおり状態は圏外だった。マオはそのまま話しを続ける。


「なあ、俺たちほんとに戦争させられんのかよ。ふざけんな!!こんなわけの分かんない場所で」

「マオ少し黙って。状況が判らず怖いのはあんただけじゃない」


 レイがそう言うとマオは黙った。俺も沈黙しているのが怖かったので現状確認の話から始めようと思った。


「とりあえず今の状況を整理してみよう」


 アキラがそう言うと、他の三人とも頷く。


「では、まずここは人間国ヒュニマという国の多分城の中だ他の国はとりあえず魔人族という種族と獣人族という種族の国があり、この三国は戦争をしようとしている」


 ここまで言うと三人はまた頷く。肯定と見て話しを続ける。


「俺たちは、よくわからないけど勇者召喚とか言うので呼ばれ戦争の道具にされている。拒否権はなく何らかの手段によって行動を強制されてしまうと。ここまで大丈夫か?」


 三人はまた頷く。そして、アキラも少し冷静に慣れたため続きを話す。


「それで今後どうするかだが、まず勇者召喚と行動を強制する機能について調べて行くべきだと思うんだがどうだろう?」


 3人は顔を伏せ、自分自身で考えている。少し時間が経つと、3人は自分の答えを決め、話し始める。


「俺はアキラに賛成だ」

「私もアキくんに賛成」

「私もそれでいい」


 3人の目は真剣そのもので、さっきまでの不安は引き飛んでいた。アキラも友達と同じ意見で、腹は括っている。


「それじゃあ、今後の行動だけど………」


 その後も四人で部屋が暗くなるまで話し合うと、さすがに疲れたと言って各自部屋に戻って行った。アキラは全員を見送ると部屋に戻り、今日話し合った内容を復唱しながら交互どうするか考えていると、王様の前に居たクラスメンバーで1人足りないことに気がついた。


 「………そう言えばカズキ見なかったな」


 その後カズキ以外のクラスメイトは、3日間異世界の基本知識と戦闘訓練を受けたのち、実力テストとして冒険者となり各地へ飛ばされた。カズキが異世界にたどりついたのは、そこからさらに1週間かかった。


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