第19話『ベレントへの処置』
「──…!ベレントさんが!」
「信じられません!」
托生とソータの二人は、カトラとラトカにベレントについて話した。
それは言うまでもなく、ベレントが裏でドーラと手を組んでいたことについてだ。
ラトカとカトラは、はじめて知る事実に耳を疑っていた。
「なぜ、彼はベレントさんと…」
一番の謎はそこにある。
ベレントの後ろには国王がついている。彼という者が、あくまで彼の信頼を裏切る行為をするとは思えない。
「ドーラが脅迫したという可能性もあるのでは…」
ラトカもそう考える。
「確かにそうだ。ドーラがそういうことをするやつなら、秘密の金庫のありかを知っているのも納得がいく。バンカー全員が鍵を持ってるなら、そのうちの誰かをひそか脅迫したはずだ」
「…私も、そうとしか考えられません」
托生とラトカの意見に、カトラも賛成する。
だが、ソータはまだ悩んでいた。
「ですが、私にはまだ不思議な点が…」
その不思議な点とは、いったい何か。
「だとしたら彼は、おいそれと自分が彼と手を組んでいると教えるでしょうか…」
「「「…!」」」
考えれば考えるほど、わからなくなってきた。
「って、よく考えてみれば、今日が休暇最終日じゃないか」
「あっ、本当ですね!」
「なあラトカ、明日の予定は変わらないのか?」
「あしたのチェヴィルさまのレベル上げは、予定通り決行させてもらいますが…」
「そうか…」
※同時刻、王室にて…
一人の人物が、王室に訪れていた。
王室の前の二人は、その人物をいぶかしげに見つつも、彼の言う用を聞くとすぐに通した。
扉が開いてから、グレイスはその客人を見る。
「まさか、お前がじきじきにここに来るとはな…──用件は、わかっておるぞ…」
※その日の夜、会議にて…
「今日は、ベレントさんの姿がなくない?」
チェヴィルがそう言うと、托生,ソータ,ラトカ,カトラは黙ってしまった。心当たりがあるからである。
「「「「…」」」」
すると、グレイスがその沈黙を破る。
「ああ、ベレントはな…──」
托生とソータは、その話に耳を傾ける。
「…このチームから、抜けてもらうことになった」
その言葉に、その四人は驚いた。
「ど…どういうことですか!」
托生は聞くが、グレイスは答えられない様子だ。
「托生さん。すまないが、これは私と彼の秘密なのでな…。今日の会議で話すことはない。本日はこれをもって解散だ」




