第04話『カトラとラトカ』
実力試験も終わり、時はその日の夕べに差し掛かる。
「托生さん、ソータさん…今回はこのような事故を招いてしまい…」
「本当に申し訳ございませんでした」
カトラとラトカは、托生とソータに向けて頭を下げた。その理由は他でもない──今回の実力試験でのバトルマンモスの乱入である。
結局、托生が放ったCスマッシュで危機は免れたのだ。
「大丈夫だって!犠牲者もいないし、しかもお前らには責められる所以は何もねえよ!」
「まあ結果として私たちのパワーの証明に役立ちましたし、結果オーライってやつですよ!」
托生とソータは、何も気にしていない様子で、二人はようやく顔を上げ、ほっとした表情を浮かべた。
「「そんなことより…」」
「「…え?」」
突然托生らの表情が変わって、二人にずいっと近づいた。
「試験の結果!」
何事かと気を焦らせていた二人は、托生のそれに胸を撫で下ろした。
「二人とも国王様からも奨励され…」
「王子様や私とカトラと同じく、最鋭の戦力として認められました」
『タクセイ(lv45)素質値1569』
『ソータ(lv42)素質値1426』
「「おおっ!」」
托生は嬉しそうにソータと顔を見合わせた。
その様子を見て、ラトカはほっとしたように見えたが…。
「本当にいいんでしょうか…」
そう言ったのは、カトラだった。
「命が危なかったのは事実で、これは私のコロシアムの管理が甘かった結果です」
「カトラ…いい加減にして」
ラトカが語りだす彼女をたしなめる。
「…しかし」
「お二人ともお許しになってるし、今回のことに関してあなたには何の責任もないのよ」
きょとんとする托生の表情を見て、カトラは落ち着いて言った。
「では、何かお詫びにできることは…」
ラトカは、「まあそれくらいなら」と甘く受け入れた。
「つってもなぁ…」
「特に何もありませんね…」
托生とソータには、さして大した欲などはなかった。
そこで托生は、はっと閃いたようだった。
「じゃあさ!──」
「「エッチなのはNGで」」
「しねえよ!手紙を出したいんだ」
「「「手紙…?」」」
二人だけではなく、ソータもきょとんとする。
「誰にですか?」
ソータが聞くと、托生は微笑んだ。
「ギルドのあいつらにだよ」
──二人で手紙を書き上げて、カトラとラトカに渡す。
「「それでは、失礼いたしました」」
二人は手紙を受け取って、ドアを開けて外へと出ていった。
「手紙はどうやら明日には届くらしいな」
「ええ、返事も楽しみですね!」
そしてカトラとラトカの足音が遠くなると…──
「ソータ…気付いたか」
「はい」
表情を変えた托生とソータはドアを閉め、机に座って向かい合った。
「あのカトラというメイドさん…何かありそうですね」
「ああ…」




