プロローグ『2人は王城へ』
※馬車が出発して8時間
白いレンガだらけの高貴な街並み。そしてそこには、多くの人間が集まっていた。
「ここが、ガルシェット王国…」
その光景を見る托生は、その威容に圧巻されていた。
──托生が王国に来たのには理由がある。カルルージュ街でグレムリンを倒した功績を讃えられ、ガルシェット王国の王城の防衛戦士として招かれたのである。
そして彼は街を離れ、ついに馬車にのって王国に旅立った。
「王国の戦士なんて、すごい功績ですね!」
托生の隣のソータはにこやかに笑う。
ソータは托生と、お互いに最も親しい人物であったからこそ、王国に共に向かうパートナーとして認めあっていた。だが、グレムリンを討伐したときの托生と彼女ではレベルが違いすぎて、二人で王国に向かうのは無理だと思われていた。
だがソータは諦めなかった。王国から迎えがくるまでの5日間で、ソータは托生と肩を並べられるほどの力を手に入れたのである。それは托生のソータへのサポートと、彼女自信の果てしない努力によるものであった。
『タクセイ(lv42):素質値1419』
『ソータ(lv39):素質値1270』
ソータの魔法の才能は本物だ。差は無くなってはいないが、ソータは王国戦士としても十分な実力を身に付けていた。
「がんばろうな。ソータ」
「はい!」
ソータは托生と再び共にいられることがうれしくてたまらなかった。そして、それは托生も同様だった。
──美しく彩られたアスファルトの道路を走る馬車。
ソータは小窓から外を見やりながら、驚いたように言った。
「ええっ!?」
「なっ…何だよ!」
「ほら!見てください!」
托生はソータに言われた通り外を見た。
「…って、ぇえええっ!?」
驚くまいとは思っていたが、托生は大きく声をあげた。
二人がそこで見たのは、巨大な建造物であった。
いや、巨大というチープな言葉で表すのは勿体無い。超弩級というのが適当だ。
「もしかして、あれが王城か!?」
「ええ、門までもうすぐみたいです」




