第74話『激闘の末の決着』
「いひっ…!ひゃあっひゃっ!」
ボスはここぞとばかりに、執拗に動かなくなった托生の鳩尾を踏みつけた。
「随分と調子に乗ってくれたなぁ…おらァッ!!」
「ぐぉあっ!」
傲慢な笑みを浮かべるボスはボロボロの托生を持ち上げ、本気のパンチを叩き込む。
「うわあああーッ!!」
悲鳴が森中に響き渡り、托生は森の奥へと吹き飛ばされていった。
だが彼は吹き飛ばされた後、途絶えかける意識の中、自分の肩に乗る重みに気付いた。
「どうか勝って…私たちで…一緒に帰りましょう…」
その声を、托生は望んで止まなかった。
体に感覚が戻る。
「托生。立ち上がってください…。私たちで、止めをさしましょう」
その言葉を、托生は望んで止まなかった。
彼に戦意が宿る。
托生は立ち上がり、二人に向き直った。
「もちろんだ…!みんなで一緒に帰るぞ!」
「はい!」「ええ!」
托生の体には、無限のエネルギーがあった。
トドメをさしに来たボスは、そのとき目を疑った。
托生が、再び立ち上がっていたのである。
ソータとミィは、托生の肩からエネルギーを送る。
そのエネルギーは、托生に信じられないほどの力と勇気を与えていた。
ボスは怒りに声が震えていた。
「死ねえええああっ!!」
ボスは托生に襲いかかると、托生はそれを迎え撃つように拳に力を溜める。
これで最後だ…!──托生は全力をその腕にこめた。
「8連…Cスマッシュ!!」
ボスの体にCスマッシュがめり込む。
「いけぇえええっっ!!」
「「はぁあああっっ!!」」
托生の全力と、二人の想いをこめたこの攻撃を受け──
「ぐぉあああああっっ!!」
ボスは空中で爆散した。
※
──ドサッ…
托生は、8連を撃ってすぐ倒れた。
「托生さん…!」「托生…!」
ソータとミィは心配して彼の表情を見る。
呼吸はしっかりしているようだ。
二人はほっとすると、同じくして托生の表情を見た。
安らかそうで、今までの勇ましさが嘘のようだった。
ソータとミィは、互いに目を見合わせ笑うと、托生の耳元で囁いた。
「「お疲れ様でした…」」
そうして二人も、そこで昏睡した。




