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第51話『パーティへの資材調達』

1週間後──。

「「“エデルガルトとエルフォレストへの結婚記念パーティーにおける資材調達を(もと)む”?」」

 托生とソータは、クエスト要請(ようせい)()り紙を見て、不思議(ふしぎ)そうに顔を見合わせた。

 質問に答えるように、ドルフィンは返す。

「ええ。このギルドではペアの結婚があれば、いつもやってるのよ」

「なるほど…」

「でも、今日はエルフォレストさんが見えませんが」

 いつもは接客しているエルフォレストの姿は今日はない。

「今日はサプライズのために、来なくていいと言っておいたわ。それに、エデルガルトちゃんと二人っきりの時間も必要でしょ?」

「なるほど…」



 …──エデルガルトはというと、エルフォレストと街でショッピングをしていた。

 エルフォレストは、ピンク色のワンピースと、紅いヒールをおめかししていた。

「エルフォレスト…似合ってるぞ」

「あっ…ありがとう…」

 (ほお)を赤くめたエルフォレストに、エデルガルトは手をあずける。

 エルフォレストはその手をにぎると、2人で街をまわり出した。



「すげえ鴛鴦(おしどり)夫婦ふうふっぷりだよな」

「ええ。私だってあんなときめくような恋がしたいわぁ…」

「ははは…(苦)」

 托生はドルフィンのその言葉には何も返せなかった。

「そうそう、実は今回は、ギルドのみんなと子供たちも(まじ)えた大きなパーティーにしたいと思ってるのよ」

「へぇー。ところで…資材って何だ?」

「ええ。資材といってもなかなか手に入りづらいのよね」

「え?それって──」

「聞きたい?」

 托生はドルフィンの言うとおり、それを聞くことにした。


「あなたたちへの願いは、巨大イカの肉を取ってきてもらうこと」

「巨大イカ…?」

「森を抜けると、海の(のぞ)める深い(がけ)があって、そこには全長10mくらいの巨大イカが生息せいそくしてるの。あれがギルドメンバーの大好物で、レベルは高いけど…──まあ、きっと大丈夫よね。あんたら二人だもの」

 ドルフィンは二人に、安心したように言った。

「ええ。もちろんですよ!」

 ソータはそれに元気よく答えた。

 そして二人は、その森への地図を受け取って、冒険服に着替えてギルドを出発した。



薄気味うすきみ悪いな…」

 そこは、いかにも何かが出そうな不気味な森だった。

 地面はぬかるんでいてコケも生え、木漏(こも)は少なく奥はくらい。野鳥(やちょう)野獣(やじゅう)の鳴き声がひびき、恐怖心をじわじわと引き立ててくる。

 だがソータはものともせず、おくへ奥へと進んでいく。

「ちょっ…何でそんな躊躇(ちゅうちょ)なく進むんだよ!」

 ソータは安心そうに、「大丈夫ですよ」と言う。

「…まだここにはモンスターはいないってことか」

 托生の質問に、ソータから予想だにしなかった答えが返ってきた。

「いますよ?」

 淡々たんたんと返すソータに、托生は周囲を見回した。

 周りには、こちらを虎視眈々(こしたんたん)見据(みす)えるモンスターが何匹もいたが、そのモンスターらはこちらに(おそ)ってくる予感はしなかった。

「このモンスターらも、私達のオーラを感じ取っているみたいですね。このモンスターらは、ほぼみんなlv5以下です。10くらいのレベル差を感じ取って、襲ってこれないんですよ」

「…そうなのか…」


 モンスターはほとんど襲ってこなくて、順調に進んでいたその時──。

 森が大きく震え、托生たちの目前もくぜんに巨大な蜘蛛(くも)が立ちふさがった。

「ビゥーッ!!」

「何だ…!?こいつ」

「大きい…!」

 恐らく体高4mはあろうその巨大な蜘蛛は、その前足を地面に叩きつけた。

 ヤツの前足が、ぬかるんだ地面にめり込む。

「なんて威力だ!」

 その蜘蛛は強いパワーを持つ強敵きょうてきだった。

 あの6本の足では、バランスをくずすことはまずないだろう。


 ──ガササッ…。

 その時、木の(かげ)に人影が現れる。

「ん…?」

 托生はそれに気づいたが、気付けば人影は消えていた。

「どうしましたか托生さん!この戦いに集中しましょう!」

「あ…ああっ」

 この戦いは、(きび)しいものになりそうだ。

 だが、もう1つ巨大な影があらわれる。

 なんと、またもう一匹の蜘蛛が現れたのである。

『メガタランチュラ(lv19)』×2

「マジかよ!2体同時ってか!?」

共闘(タッグマッチ)むずかしそうです。一人一匹ずつ相手しましょう」

「それが妥当だとうだ!」

「はい!」

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