第46話『力の目覚め』
「があああああっ!」
ついにエデルガルトが動き出す。
托生とソータは、臨戦態勢に入る。
「来るぞ…!」
「…!」
その時、恐ろしいことが起きた。
エデルガルトが動き出す瞬間、彼はその場からフッと消えたのだ。
突然、隣のソータがいなくなる。
「…」
托生はふと後ろに目をやる。
するとそこでは、ソータがエデルガルトに押さえつけられ、気絶する様があった。
「…?」
その状況が、すぐには掴めなかった。
気付けばエデルガルトが目の前にやって来て…。
野性的なギラついた目が、托生を睨み付けた。
※
エデルガルトの圧倒的パワーに、托生らはまたしても敗北を味わった。
だが、本当に彼らが悪いヤツらなら、絶対にここまで戦わないだろう。
気絶してもなお、朦朧とした視界の中でも、エデルガルトとエルフォレストが抱きあっているのが見えた。
悲しみの涙さえ流しているようにも見えた。
「…何でも言ってもらわないと、わからないんだよ…お互い1人で背負いこんで…本当にそれでいいのかよ…」
エデルガルトらを救ってやりたい──托生の心に、思いが宿る…。
突如体に、謎の力が宿る。
「…」
途端に、托生の体はゆっくりと立ち上がった。
体の傷が消えており、呼吸が研ぎ澄まされる。
「いっ…一体何が…!」
「すごいプレッシャーだ…」
托生の体は、エデルガルトらに背中を向け、動くことなく直立していた。
その後ろ姿を遠くから眺めていたエデルガルトらは、それを黙って見届けていた。
いや、見届けていたというよりかは、動けなかったのだろう。
「…」
托生はゆっくりと振り向く。
銀色の瞳が、エデルガルトらを見据えた。
2人は、その威圧感に鳥肌がたっていた。
だが、エデルガルトは恐怖を堪え、攻撃をしかける。
「うおおーっ!!」
所詮は二度も勝った相手だと、エデルガルトのスマッシュが、托生に炸裂せんとする。
だが托生の体は、幾重にも重なる残像を残しながら、それを避けるのであった。




