第44話『エデルガルト』
托生はハイ·スピードで勢いよく距離を詰め、エデルガルトに襲いかかった。
「スマッシュ!!」
エデルガルトにスマッシュが叩き込まれる。
するとあろうことか、彼は両腕で難なくそれを受け止めた。
「なっ!?」
驚く托生を、エデルガルトのスマッシュが襲う。
「スマッシュ…!」
「っ!ストーンガード!!」
だが、石の壁はビスケットのように簡単に粉砕され、衝撃波のようなものを伴ったスマッシュが托生に襲いかかった。
托生はハイ·ガードで防御に徹し、それを腕を交差して受け止めた。
すると、腕を痺れさせる程の衝撃が伝わり、後ろに吹き飛ばされてしまう。
何とか防げたが、ハイ·ガードを使ってなかったら終わりだった。
さらに追い討ちをかけるつもりのエデルガルトに、ゲバブルドが奇襲を仕掛ける。
「だああーっ!」
ゲバブルドのキックが、エデルガルトの頬にめり込む。
だが、エデルガルトにはダメージは入らず、そのままゲバブルドの足をガシッと掴んでしまった。
「…!おわあっー!」
エデルガルトはその腕をとんでもない腕力で振り回し、ゲバブルドを投げ飛ばした。
「ああッ!…くっ」
ゲバブルドは何とかうまく体制を立て直す。
そして、エデルガルトの背後から、すぐに追撃がやってくる。
「こっちだっ!だラッ!」
托生は、今出せる最強のスキル──ヒート·スマッシュをお見舞いする。
コントロールが難しいが、この他にエデルガルトに一矢報いる方法は考えられない。
それが腹にめり込んで、やっと彼にダメージが入った。
「んんッ…!」
呻き声を上げるエデルガルトだったが、それは彼の感情をさらに逆なでしたらしい。
腕が掴まれる。
「ぬんっ…!」
彼も焦っているらしく、スマッシュではなく普通のパンチが腹にめり込んだ。
「…ごわッ!」
ハイ·ガードは発動できず、托生の腹に入ったパンチは相当のダメージとなった。
「だあああっ!!」
ゲバブルドが再び奇襲を図る。
スマッシュがついに顔面にめり込んだのである。
「…ふっ」
相当のダメージを期待したゲバブルド。
だがその時、エデルガルトは顔で拳を押し返し、ゲバブルドを睨む。
「はっ…!」
その時、エデルガルトが強烈な回し蹴りを発動した。
「キラー·ミドルッ!!」
「…ッ!」
回し蹴りが脇腹にめり込んで、ゲバブルドはその時、その一撃で気絶した。
「ゲバブルドっ!」
ここまでの相手とは。
エデルガルトに、息の乱れは一切感じられなかった。
「キサマのパンチだけは、なかなかの威力だった…」
「…ちっ、そいつはどうも…」
「托生さーん!」
「ソータ!」
「勝ってきました。エルフォレストさんの仮面は剥がせませんでしたがね」
「上出来だ」
ソータはエルフォレストを倒してきてくれたらしい。
きっと倒してくれるだろうと信じていたが、予想通りの実力で安心した。
「…!」
エデルガルトは、ソータが勝ったという情報に驚き、エルフォレストの方を見た。
そこには、ボロボロのエルフォレストが横たわっていた。
「っ!!」
最愛のエルフォレストを殺されたと捉えたエデルガルトは、その時ついに豹変した。
「がっ…ががっ…ああ…ああーッ!!」
エデルガルトは呻き声を漏らしはじめる。




