第26話『スキルの実践』
TAKE2──
どうやらスキルの名前を口にして、特別なポージングをすれば良いらしい。
「っしゃあ、こいやあっ!」
「ヴァアアアッ!」
レッドバイソンは、托生に再び爆速で肉薄する。
「“ハイ·スピード”!!」
托生はスピード増加のスキルを発動し走り出す。
すると突如走るスピードが早くなり、レッドバイソンとは確実に距離を離していくことができた。
「ヴァアアーッッ!!」
それを不快に思ったらしいレッドバイソンは、その巨体を怒りに任せて突進させた。
「今だ──!“ストーン·ガード”!!」
叫ぶとともに、目の前に石の壁が出現する。
勢いを殺せなくなったレッドバイソンは、止まることができずにその壁に衝突した。
なんと硬い壁であろう。ヒビが入っただけで壊れてはいない。
すると同時に、ヤツは音をたててその場に倒れた。
残りはもう攻撃し続けるのみである。
「スマッシュッ!!」
托生は腕に思いっきり力を込めてそう叫ぶ。
すると腕の筋肉が膨れ上がり、力がそこに集中していることを確信した。
それを、思いっきりレッドバイソンの腹部に叩き込むと、ヤツの腹の深くにまでめり込んだ。
「ヴゥウウッ!!」
レッド·バイソンは、断末魔をあげて力なく転がった。
「すごいな。スキルって…」
托生はスキルの威力に目を見開いた。こんな力を使わないなんて、むしろそれこそ大きなハンディーだ。
「いやぁ、お見事でした!」
「俺も驚いたよ。まさかここまでスキルが強力だとは」
「確かにスキルのおかげでもありますが、托生さんのスキルの扱いもとてもよかったですよ」
「まあ、あいつの弱点はわかってたからな」
あいつの細い足はスピードは出るのだが、あのデカい胴体を支えることができない。衝突や落下などで、バランスをめっぽう崩しやすいのである。
「レベルはどれだけ上がりました?」
「そうだな…」
『タクセイ(Lv7):素質値187』
レベルは2上がっていた。
薄々気づいていたのだが、レベルを2上げるだけでステータスがここまで上がるというのは驚きだ。
「まあこれだけ強いモンスターを倒して上がったレベルは2…」
「でも地道に倒していけばいいですし、今回のモンスターは案外あっさり倒せましたからね」
とても道は長いが、ソータと一緒にいればイケる気がしていた。




