第17話『拉致されるソータ』
「──…ここは!」
ソータは目を覚ますと、そこは暗い倉庫だった。
そこに置かれる金目の物の数々を見るに、ソータはここが盗品蔵のような所だろうと察した。
彼女の体は、チェーンで縛られ、完全に身動きがとれない状態になっていた。
「おい!目を覚ましたぜ!」
突然、目の前には男が現れた。ギラギラと光る目をむけられ、ソータの恐怖は強く煽られる。
だが、見たことがあるように感じるのは気のせいだろうか…?
「やっと起きたか、待ちくたびれたぜ」
男に呼ばれて現れたその声の主は、どこかで見た覚えのある男三人であった。
「よおクソガキ。俺たちのこと覚えてるか?」
「あなたは…っ!」
鎖の多い装飾を見て、ソータは驚いたように口を開いた。
「誰でしたっけ?」
その場にいたソータ以外の全員が、文字通りずっこけた。
「俺だ、俺たちだ!昨晩てめえとその連れのに恥かかされた上に追い出されただろうが!」
「ああ、あの時の!」
男3人の供述にソータは理解したらしいが、この状況にいたる理由がわからずにいた。
「とはいっても、何ですかこれ!早く解いてください!」
「(けっ…いつまでも調子が狂うやつだ)今回はただでは帰さねえぞ!…えっと、何しよう」
「昨日恥をかかされた礼をしなきゃな!…え?マジで何しよう」
「今日はただでは帰さねえぜ!…あ、もうお前これ言ったか」
ソータはやっとこの状況を理解したが、鎖に繋がれているこの状況では、流石にどうしようもなかった。
※
なおそんな状況もつゆ知らず、托生はソータへのプレゼントを選んでいた。
「イマイチわかんないな…」
あまりソータの印象に合わなさそうな気がするものも多い。
「大体、俺あまりこういうのわからないんだよなぁ…」
托生はだんだん自分からして興ざめしてきたし、ソータを待たすのも癪だった。
早く店を立ち去ろうと思ったとき…。
「…ん?」
托生の目に止まったのは、ベリー色の宝石が嵌め込まれた髪飾りだった。
その値段は440ポイントで、手持ち的にはかなり辛いのだが、それがあまりにもソータに似合いそうだった。
それを手にとって会計をしてもらうと、袋に包装をしてもらい、手にとってすぐに店を出た。
──ドキドキ、ドキドキ…
ソータのところに向かう托生は、やけにワクワクしていた。
これを貰ったソータの笑顔が目に浮かぶようだった。
※
そのベンチには、ソータはいなかった。
「あれ?おいソータ?…どうしたんだよ?」
返事はない。
「いつか帰ってくるか…」
托生はその場で待ち続けることにしようとした。
だが、何だかおかしな胸騒ぎがするのだ。
その時、托生にはさっき通った暗い裏路地が目に入った。
「…」
そこには、何かがある気がした。