第15話『カルルージュ街』
※およそ25分後…
「到着ですよー!」
ソータやエイヂルと雑談していると、いつの間にか目的地のカルルージュ公園に到着したらしい。
「もうついたのか」
托生は思わずうとうとしていたので、そのカルルージュ公園周囲の光景には、目を見張るものがあった。
「おぉ…!」
たくさんの商品や食品が並べられた商店はもちろん、芸能や音楽などの異世界特有の興味深い文化も多く目に入る。
そして、何より強く威光を放っていたのは、民衆の多さである。
見渡す限り人は、テーブルで仲間と肩を組んで笑いあっている。
老若男女幅広い範囲の人々が、ショッピングや食べ歩きを楽しんでいた。
「結構楽しそうだな」
「はい!」
「エイヂルもこいよ。お礼ってことで一緒に回ろうぜ」
「いいえ、お気持ちだけで結構です。私もやることがありますから」
托生はエイヂルも誘おうとすると断られた。
気を使われたような気になったが、ソータがホクホクしているので早くことになった。
──ソータは托生に腕を絡ませ、托生と一緒に歩いていた。
「何だか嬉しそうだな、ソータ」
「うふふ。だって托生さんと二人っきりで街を回ってるのが嬉しくって」
「何だか気恥ずかしいな…」
托生は、あらためて民衆に気が焦る。
周りにはこういう男女ペアも少ないと言えば嘘になるが、どこかヘタレの彼は照れくさかった。
デートという言葉が脳内に点滅する。恥ずかしい気持ちもあったのだが、確実に嬉しさも心に存在していたのだろう。
「お嫁さんになった気分です」
「DTの俺にそんなことを言うと大変なことになるから、気を付けろよ?」