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剣双と星のイルシオン~Lost Memory~  作者: 紅月レン
【序章】獅子座の世界
3/8

第二話:遺跡探索 [道中1]

窓から眩しい太陽の光が入り込み、シオナを覚醒へと促す。

シオナは未だ重い瞼を開け、体を起こし布団から出ると体を気持ちよさそうに伸ばす。


「よしっ!」


遺跡探索ということもあり、気合を入れて身支度をする。

まずは綺麗な白髪と、生えている狐の耳と尻尾も同様に丁寧にくしで梳かしていく。

その後はショートパンツと太ももまである長い靴下、ロングブーツを履いて白いシャツを着る。


着替えが終わった後はキッチンへ向かい、未だ起床していないみんなの分の朝食の準備を進めていく。

朝食の準備を終えたら、一緒に住んでいる班員を起こして朝ご飯を食べるというのが日課である。


そうして、シオナに起こされた班員たちも着替えを済ませ朝食の席についていく。


「それじゃあ、今日は遺跡探索頑張ろうね

 星神レグルスに感謝を!」


「「「感謝を」」」


いつものようにシオナの感謝の言葉に続けて隊員の皆も感謝をし、朝食を手にする。

今朝の朝食としては、パンに目玉焼きを乗せたものと、ジャガイモを蒸したもので簡単なものである。

パンは少し硬めだが、その上に載った卵は半熟でトロッとしており固めのパンと非常に合った。

ジャガイモは丸ごと蒸したもので、皆一様にほくほくとしながら熱々のジャガイモにかぶりついていては幸せな顔をしていた。

すぐに朝食を平らげてしまった一同は、一度解散し準備をしたらもう一度集まることになった。


シオナは部屋に戻ると肩掛けのカバンに昨日買ったポーションやスクロールを入れカバンを肩にかける。

そして、班で統一している黒色のマントと遺跡で見つけた剣を身に着ける。

最後に今は亡き姉から貰った黒い大きなリボンを後ろ髪で結ぶとまた「よし!」と気合を入れて皆が集う場所へと向かうのであった。



♦♦♦



「シオナちゃんおはよー!」


現在は遺跡探索に向かうメンバー8人でギルドに来ている。

ギルドに入ると多くの人から挨拶の声をかけられた。。最初こそ戸惑ったが、ギルド所属の冒険者に遺跡探索の護衛を引き受けてもらったりしているうちに打ち解けてしまった。


「おはようございます!」


冒険者の人たちへ挨拶を返すとそのままクエストが貼ってあるクエストボードまで進む。

クエストボードには魔獣の討伐の依頼や人探し、材料の採取、遺跡探索の護衛など様々なクエストがある。


ちなみに、何故ギルドに来ているかというと、隊の人が足りないわけではない。

遺跡調査に向かう途中にモンスターを倒してお金を少しでも稼いでいこうという心意気だ。


「これなんかどうだ?」


そう言ってクネッとした角が生えた細身の男が提示していたのは、肩慣らしとしては丁度いい、フェザーウルフと呼ばれる魔獣10体以上の討伐だった。

フェザーウルフは、その名の通り風の魔法を操り基本的には群れで行動をしている魔獣で、群れとしては危険だが1個体としては素早いがあまり強くない。

そのため、8人で行動する探究者達からすればあまり脅威ではないお手頃なクエストだ。

報酬としては、1日分の食費で消えてしまう程度だがそれでも、足しにはなるというものだ。


「よっしゃ、それで行こう!」


隊長である牛の角が生えた大男はクエストボードから依頼書を剥がすと受付まで持っていきクエストを受注する。


「気を付けていってらっしゃいませ。」


受付の人の見送りを後にし、シオナを含めた8人の探究者は遺跡へと向かう為に街を出た。



♦♦♦


一行は街を出た後、未探索とされる遺跡へ向かうべく歩いている。

大分歩き隊の皆に疲れが見えてきたころ、いつもの様に他愛もない話をしていた。


「この辺の道も整備されりゃいいのにな~」


「仕方ないですよ、森ばっかりなんですし。でも、私はこうやって皆で歩くの好きですよ?」


「天使・・・。お、俺もこうやって歩くの好きだ!」


「お前はシオナちゃん以外も見ろ。」


そんな良くわからない話をしながら歩いていると、何者かに囲まれているのが分かった。

人の気配ではないので、恐らく魔物だろう。だが、魔物にしてはかなり数が多かった。

先程までの空気はどこへやら、周りの空気も即座に切り替わっていた。


「オルゴ、数は?」


隊長は背中に装備していた大きな大剣を構え、オルゴと呼ばれた犬耳の男は

耳が良く、音の種類もしっかり聞き分けられる為、敵の情報を把握して伝えていく。


「数は、12です。ですが、中に他の個体と比べて大きいのが2体います!

 恐らくゴブリン種です!来ます!」


「皆、戦闘準備だ!ひさびさに暴れるぞ!」


「「「おおおおおー!!」」」


隊長の掛け声とともに隊員は声をあげ剣や杖を抜き戦闘態勢に入る。

すると草木の向こうからも指示を出されたかのように武装しているゴブリンらが飛び出してきた。


「1人で2体相手取ってくれ!俺とディーはホブゴブリンの方相手取るぞ!

 援護職二人は全体の支援を、シオナは戦況を見て応戦してくれ!」


「「「了解!」」」


隊長の指示通り隊員の皆は囲んでいたゴブリンたちを1対2で相手取るように誘導してうまく戦い、隊長と副隊長のディーはホブゴブリンと1対1で対峙している。だが、敵は時々味方のゴブリンと入れ替わり戦う相手を変えていた。それも、使っている武器が個体によって違うためかなり厄介だった。たかが、ゴブリンごときと侮っていたがホブゴブリンの影響か、知識は高いようだった。


「うあっ!」


仲間の一人が敵の入れ替わりに対応できずに攻撃をもらいしりもちをついてしまった。

そこで、シオナは風のようなスピードですかさずカバーに入る。


一閃、シオナは駆けつけたスピードを落とすこと無くそのままゴブリンを両断する。

なぜ、シオナがここまで素早く駆けつけることができたかというと、自身が得意とする風魔法の中級魔法『疾風(ゲイル)加速(アクセラレイション)』を使って風を体に纏い、風に乗っていたからだ。


「ありがとう、助かった!」


隊員の男は礼を言うと共に立ち上がり、もう一匹のゴブリンを切り伏せる。

倒した後は援護職に回復をしてもらい近くの味方のカバーに入った。

すると、段々と戦況は有利になったため、シオナはゴブリン達の相手をやめ副隊長のカバーに向かった。

走っている最中、カバンから一枚の丸まった紙を取り出し手元で広げる。


「ディーさん離れてください!」


ホブゴブリンと剣で拮抗していた副隊長のディーは突然ではあったが、シオナの離れてという声に反応し相手の剣をはじき後ろへと下がる。


『爆炎柱』


スクロール特有の短い1節の詠唱が唱えられた。

その瞬間先程まで自分が居た場所や現在ホブゴブリンがいる場所が燃え上がり、ホブゴブリンは最初の方こそ暴れていたが、段々と炎の勢いは増し、ホブゴブリンは消滅した。


シオナと副隊長がホブゴブリンを倒した頃、隊長も丁度大剣で敵を派手に両断したようで、大剣が食い込んでいる部分からはあり得ないほどの血が噴き出していた。それに次いで、回りのゴブリンも問題なく片付いたらしく無事に戦闘は終わった。


「皆、治癒ができないほどの怪我はないか?」


戦闘中や戦闘が終わった後には援護職の人から回復をしてもらっていた。

だが、回復魔術にも限度がある為、怪我の確認は重要だ。


「皆、怪我がないようで何よりだ。お疲れさん。

 今日の所は近くに川があるから、そこでテントを張って明日に備えることにしよう」


今回の戦闘を労った後、先程までと同じように隊列を組み、近くにあるという川を目指す。

近くにあると言っていた川は歩いて10分ほどで本当に近かった。

川につくとテントを組み立て、たき火を2つ準備していく。


慣れた手つきでテントやたき火を準備し、準備が終わった頃には既に陽は落ちかけていた。

そして、シオナはというとなんと器用なことに魔法で風を操り川の中に居る魚を釣り上げていた。

これは、最早釣り上げると言っていいのかはわからないが今晩のメニューは焼き魚が確定した。


シオナが釣りあげた魚に枝を通してたき火の周りに置き、時間がたつと魚が焼けた香ばしい匂いが辺りに広がっていた。

陽はすっかり落ち、今ある明かりはたき火だけである。そんなたき火を隊員で囲み、焼きあがった魚を皆一様に頬張っていく。


「そういや、今日のゴブリンやけに戦闘慣れしてたよな。」


「ああ、俺なんか敵の入れ替わりに対応できずにやられそうになったんだけど、

 シオナちゃんが駆けつけてくれてマジ助かったんだよ。」


シオナも同様に魚を頬張っていると、他の所からシオナの活躍の話が耳に飛び込み

嬉しい反面、少し照れくさく耳が垂れ下がる。そんなシオナに便乗したかのように副隊長のディーさんが魚を持ちながら隣に腰を下ろす。


「今日はありがとな、助かったよ。」


「いえ、言われた通り応援に駆け付けただけですので。」


「スクロールあと何枚あるんだ??あまり買ってはないんじゃないか?」


「そんなには買ってないですけど、まだあるので心配しなくても大丈夫です。」


シオナは心配されるも笑顔で心配が無いことを伝えた。

その後は周りの隊員も含めて談笑をし、話に花を咲かせた。



彼らの笑い声は静かな誰も居ない森にいつまでも響いていた。

いかがでしたか?やっと冒険が始まり初戦闘でしたね。

感想や評価お待ちしております。


Twitterもやっていますので是非。

twitter:@kuduki_len

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