並ぶ
どどどどどうしよう。あぁどうしよう。どうしよう。やだ、一句できちゃた。
・・・・・・。
落ち着け、私。
落ち着いて考えるのよ。
私が隠蔽を見破れたのは、たぶん鑑定スキルのレベルが、バカ高いおかげ。
で、他の人たちも【鑑定】してみたところ、この世界のスキルレベルの平均は2か3辺り。
商人さんと盗賊のあんちくしょうのレベルが異様に高いだけで、4の人も滅茶苦茶少ないし、5なんて他には一人もいない。
そして!ここで!満を持して私ですよ!
なに、10って。ありがとうございます。この世界でしっかり生きていけそうです。
五体投地した甲斐がありました。でも、これは誰にも知られず生きていきたいです。
うん、できうる限り関わりたくない。
あんなに行列ができるくらい、徹底的に調べてくれてるんだろうし、兵士の人が見破るよね。ね?
もし、もしも兵士の人がスルーしたらどうしよう。
こ、声をかけるの?
無理無理無理無理。
だって何て言うのよ。
「あんた盗賊でしょう!私には分かるのよ!」とか?
「なんで分かるのかって?私は鑑定スキルを持ってるもの!」とか?
「あんたのスキルレベル程度じゃ簡単に見抜けるわ!だって私のスキルレベルは10だもの!」とか?
・・・・・・・・。
ぜっっったいに無理。
だいたい、他人の隠蔽してるスキルを見破れるのって、同じレベルでもOKなの?
それとも、上回ってないといけないの?上回ってないといけないとしたら、自分が鑑定スキル6以上だってばれちゃうじゃない。この場にだれもレベル6なんていないのよ?絶対に無理。
悩んでても仕方ないし、見守りながら行列に並ぼう。
お願いだから見破ってよ。もう一回、五体投地しとこうかしら。
あ、そうだ。私のステータスも忘れないうちに隠しとこう。