追憶
植木に囲まれた小空間。道に面している。
見上げると5、6段の階段があり、それを昇るとベンチのある広場になっていて、左手に石畳の並木道が続いている。その中央には銅像が建っており、奥にもまだありそうだ。
ベンチには老婆が座っている。目線の低さから、私は幼女になっているようだ。老婆は誰かをずっと待ち続けている様だ。身なりは美しい。
私は誰に誘われたのか、階段を降り、道を渡って向かいの建物に入る。3、4階と思う。その一室は陶製のピンク色の曲線がかった置物に金色の縁取りがあったり、極彩色の衣装の洋風人形がある。絢爛だが狭く、空気が居場所を求めている。
それは幼少期に暮らした家の近くの公園にも似ているし、清水寺の舞台の下のところにも似ている気がする。
しかし悪趣味な程の絢爛な部屋も、曇った四角い空にも見覚えが無い。
途中、広場を通りかかった妙齢の女性とあの老婆は同一人物なのか