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異世界魔王の耳に念仏唱えたら俺の嫁になった  作者: 森田季節


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第47話 守護神交替

かなり、王国と魔王軍が一つになる形が整ってきました。

 翌日、魔導士アライルとその関係者が一斉に罷免された。


 その三日後、王も退位した。


 時間差を空けたのは、まとめて全部やると混乱が生じることが理解できたからだ。


 王がいないままというのは困るのでカタリナ姫に王位についてもらった。

 むしろ、それ以上の人選は存在しないだろう。


「地下空間での失態はとても見ていられないものでした……。ご迷惑をおかけしました……」


 決戦(というほど何も起こらなかったが)のあと、姫は俺たちに謝罪した。いや、姫は何も悪くないんだけどな。


「これからは誤っていた政策を撤回し、新しい王国を作ります」


 うん、ちゃんとした人が国を作っていかないと、またよくないことの繰り返しになるしな。


 すぐに森に帰る予定だったが、抵抗勢力がうるさそうなので、しばらくは姫の近くにいることにした。


 マルファと町を歩いていたりすると、やはり少し目立つが、それはしょうがない。

 マルファはぎゅっと、俺の手を握ってくる。夫婦で手をつないで、なかなかの熱い新婚生活だ。


「次は魔王軍のほうの蹴りをつけないとダメだな」


 ベルエールが人間側の侵攻を思いとどまるようにしないといけない。


「どうとでもなるじゃろ」


 気楽な調子でマルファが言った。


「あいつはものすごくワガママな奴じゃからの。おそらく深刻なトラブルを起こすじゃろう。まあ、待っておれ。そのうち何か起こるからの」


 と、こっちを呼ぶ声がした。


 白いヒゲのいい年したじいさんだ。そんな知り合いなんていないんだけどな。

 でも、どこかで見たことがあるような……。


 あっ、もしかして……。


「守護神か……?」


 サイズは人間で違和感のないものになっているが、その顔はそうとしか考えられない。


「はい、そうです……。今日はお願いが……」


 まさか神様にお願いを受けるとは思わないが、とにかく手近な酒場に入る。


「それで話って……?」


 神様なんだから頭に直接語りかけるとかしそうなものなんだけど。


「先日、アチャラ・ナータ殿にやられましてな……。あとでわかったことですが、明らかに魔導士や王のほうに問題があって……なんとも情けない……」


「いや、まあ、過ぎたことなんで……」

「そうじゃ、人間、誰だって間違いはあるのじゃ」


 マルファが言うと説得力がある。


「ただ、誤解とはいえ、今回私は守護神としての役割を何も果たせませんでした。かくなるうえは、最高神という任ははずれようかなと思いまして。神格としては残りますが、もうちょっとサブ的な仕事をしようかと」


「ああ、はいはい、それがよろしいかと――――えっ?」


 ていうか、そういうのって神様側の判断でできることなのか?

 信仰してる側の問題な気が……。


「そこで、最高神をアチャラ・ナータ殿にしてもよいでしょうか?」


「よいでしょうかと俺に言われても」


 アチャラ・ナータと直接交渉してほしい。


「話したところ、召喚者と相談してくれと言われました」


 そんな保護者みたいな扱い困るぞ!


「ま、まあ、いいんじゃないでしょうか……。減るものじゃないですし……」


「わかりました! では、早速そのように取り計らいます!」


 そして、ごく普通に守護神は酒場の会計をして去っていった。


「責任が重いとつらくなることもあるからのう。わらわが魔王を辞めたようなもんじゃの」


「それとは意味合いが微妙に違うような……」


 その夜、不思議な光が王都の至るところで起こり、守護神ライセーンを太陽の剣士アチャラ・ナータに変えよという声が聞こえたという。


 ライセーンを祀る神殿は、そんなすぐに神格を変えるなどということは容認したくなかったが、神官全員が変えろという声を聞いていたため、これはどうしようもないと判断したらしい。


 そのあと、鉄火面の剣士の絵が神殿に浮き出てきて、これがアチャラ・ナータとして祀られることになった。


 さらにこの絵とともに新王カタリナを守護するという文字も浮き出たというので、人々は三日三晩その奇跡を祝しあった。


 神殿にはアチャラ・ナータの絵がかけられ、ライセーンの像などはその横に置かれることになった。


「信仰まで変わるとは思わなかったわ」


 後日、シュリに言われた。うん、俺も思わなかった。


「あ~あ、こんなことなら守護神と戦うの、わたくしもひと働きしておけばよかったですわ」


 ヴィナーヤカの言葉は多分冗談だろう。


「でも、わたくしも日夜魔王軍と戦っていますし、そろそろいい目を見てもよろしいですわよね」


「え? 今、妙な言葉を聞いたような」


 そんなに毎日のように魔王軍と戦ってないだろう。


「四天王が来たあともちょくちょくボスクラスが来てるのでわたくしが倒していますわよ」


「いつのまに、そんなことを!?」


「サプライズですわ」


「いや、そんな微妙なサプライズいらないから!」


 ヴィナーヤカは舌を出しているので、イタズラのつもりだったらしい。


「ちなみに何回ぐらいあったんだ……?」


「数で言うと、ボスみたいなのを23体ぐらいやっつけましたわね」


 思った以上に多いな……。


 これはたしかに魔王軍に動きがありそうだ。

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