表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔王の耳に念仏唱えたら俺の嫁になった  作者: 森田季節


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/50

第37話 水質対決

 ウンディーネのサルティアネは一言で言えば悪しきウンディーネである。


 もともとウンディーネは魔族とは呼べない。

 人間にも魔族にも中立な精霊だった。


 だが、その精霊の中でも孤立したサルティアネは魔族の陣営に加わり、そこで頭角を現した。


 ウンディーネが敵にまわるというのは、人間にとって絶望的なことだった。

 ある王国の砦では水が知らないうちに毒の入ったものに変わっており、ほとんどの兵士が死んでしまったという。


 本来、自分の住処が荒らされたとかいった正当な理由がないのに、精霊が明確に人間や魔族を攻撃するのは均衡を崩すためよくないこととされている。

 そういった暗黙の了解を魔族側に入ったサルティアネは堂々と破ったのだ。


 ただ、この戦法にはマルファも顔をしかめた。

 砦を落とすだけなら城兵がまともに動けないほどにすれば充分で、全滅を狙うまでの必要はないというのだ。


 マルファとしては王国を倒すつもりではあっても、人間を根絶やしにすることは目的ではないので、サルティアネのやり方に疑問を持ち、前線から召還した。


 この一件以降、サルティアネもマルファを恨んでいたというわけだ。


 戦争で何を生易しいことを言ってるのか。

 平和ボケと言うしかない。


 そんな時にマルファ討伐の話が来たので、サルティアネは喜んで四天王に加わった。


 サルティアネの戦いは戦闘らしい戦闘ではない。

 水を使い物にならなくすれば、どのみち相手は戦闘を続けることができない。

 あとは自動的にサルティアネの勝利が確約される。


 サルティアネは森のはずれの小さな泉に腰を下ろす。

 半透明の体を泉の中に入れ、力を行使する。


 これで近くの水をだんだんと猛毒に変えていく。

 無論、魔族が飲んでも絶命するようなものだ。


 ドラゴンやハイドラのような力押しの者から、サルティアネのようなからめ手から攻める者まで採用しているのは、現魔王ベルエールの策だ。

 ベルエールもなかなかの策士である。


 それだけマルファを亡き者にしたかったということでもある。


 しかし、少々相手が悪すぎた。


「おかしいですね……。毒が強くならない……」


 サルティアネは異常を察知した。


 自分の近くの水は汚染できているのだが、それが敵の屋敷のほうに向かうに連れて、中和されている。


 サルティアネは周囲の水の動きなどもわかる。


 どうも、自分の力を打ち消すような存在が敵の中にいるらしい。


「まさか、敵にもウンディーネが? そんなことはないと思いますが、それぐらいしか考えられませんね」


 サルティアネの力は精霊独自のものであり、魔法ですらない。

 だから人間や魔族が対処できるものではないはずなのだ。


 となると、ウンディーネがいるのだろうという結論にサルティアネは至る。


 これは厄介だ。

 自分の策が相手にばれているということになるのだから。

 少なくとも、水を飲んで死んでくれるという可能性はない。


 こうなれば、向こうを圧倒してやる。 

 周囲一帯の水をすべて猛毒にできれば、向こうも音をあげるしかないはずだ。


「同じウンディーネには負けられませんよ」


 水の性質を変える力をサルティアネは強化。


 しかし相手は平然とそれについてくる。


 自分が変えた水が流れる範囲はだんだんと狭くなる。


「押されているですって……?」


 サルティアネは焦りだした。


 そうしているうちにまた異常が起きた。


 何者かに水に引きずられる!


 サルティアネの体が泉の中に入る。


「あれ……息が……できな……」


 ウンディーネは水の精霊だから、水で生きられないわけがない。

 なのに、なぜかサルティアネは溺れていた。


 絶対にありえないようなことが実際に起きている。


「はーい、悪いけど、ここの水はこちらで管理しちゃいますからね、ごめんなさいねー」


 水の中に誰かがいる。

 精霊か? しかし、ウンディーネではない。

 女が水の中に漂っている。


「私の名前は水天すいてんヴァルナでーす。西側の宗教だと、最高神扱いまでされたこともあったのに、インドだとじわじわ没落しちゃって、今は水限定の管理者になっちゃったんだよねー。まっ、いっかー。一言で言うと、水の神格でーす」


 水の神格。

 その言葉をサルティアネは薄れていく意識の中で聞いた。


 水の精霊も水の神様には勝てない。

 一方的に向こうのほうが格が上だ。

 サルティアネはそのまま水に溶けていった。


◇ ◇ ◇ 


★その少し前。


「オン・バロダヤ・ソワカ!」


 水天ヴァルナのマントラを唱えると、ずいぶん露出度の高い神格が出てきた。


 少女の胸と腰のあたりに布が巻いてるのだが、それだけの格好だ。


「えーっ! なんですか、これ! せめて水着とか着せてくださいよ!」


 出てきた途端、抗議された。


「ヴァルナ様、神格は召喚された世界に準じた姿と服装で現れるんです。この世界には水着素材がないのでこういうことになります」


 神格への案内はシュリにやってもらおう。


「なるほどです……。それで何の用ですか? 水質検査ですか? ここ、なかなかミネラル分があっていい水ですけど」


「どうやら、その水がもうすぐ汚染されるんで、どうにかしてもらいたいんです」


「はぁ。でも、私、戦闘は苦手なんですけど」


 ためしにサーチ・アビリティをしてみた。


=====

ヴァルナ

Lv??

職 業:神格

体 力:7540

魔 力:8891

攻撃力:2322

防御力:2576

素早さ:1908

知 力:3009

技 能:なし

=====


 充分強いけどな……。

 俺の攻撃力の倍以上あるし。

 まあ、神格の中ではってことだろう。


 じゃあ、残る四天王はドラゴンか。


「ドラゴンのガルドレントは空から炎を吐いて、森自体を焼き尽くそうとする可能性が高いのじゃ」


「燃やされるのは困るわ!」


 シュリが悲鳴を上げた。戦闘より家のほうが大事って反応だ。


「焼かれぬようにするには、事前に空を飛んでいるところを迎撃するしかないのう」


「迎撃か……。心当たりがなくはないな……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ