「第二話 学校」
私が前世を思い出して一週間。
安静にしているようと、医者に言われ私はずっと部屋の中にいた。
少しずつ記憶の整理をすると、この世界は前世の日本と似ているらしい。
テレビ、車などもあり、小学校もあるらしい。
そして、私はそれに通っている。
今は1年生だ。
友達の名前は覚えているし、勉強も大丈夫だ。
「お父様、お母様。私、そろそろ学校に行きたいです」
「そうか…。もう、一週間経ったし、大丈夫だろう。麗香、何かあったらすぐに言うんだ」
「はい、お父様」
「れいちゃん、がんばってね」
「お母様、ありがとうございます」
と、言うわけで私は学校に行くことになった。
クローゼットの中に入ったかわいらしい高そうな制服を着て鏡を見る。
さすが、お嬢様というべきか鏡の中の麗香は着こなしていた。
背中あたりまでの黒髪に綺麗な黒目。
日本人、なのかな…?
「お嬢様、出発の時間です」
「あ、はい」
運転手に言われて、鞄を持って玄関へ向かう。
広い洋風の家。
麗香の家はお金持ちなのだろう。
玄関を開けると、そこには高級車が止まっていた。
「どうぞ」
車の後部座席のドアを運転手は開けてくれたのでそこに乗った。
すわり心地はとてもいい。
静かに走り出す車の窓から、流れていく景色を見る。
街は日本と同じようなものだった。
麗香はまだ幼かったため、街の景色をぼんやりとしか覚えていなかったのだ。
ビルの側面に飾られている液晶の映像には日本語がでている。
これで、ほぼ日本だと確証できるだろう。
よかった…。
ほっとしているうちに、車は学校へ着いた様で運転手に声をかけられる。
「お嬢様、いってらっしゃいませ」
「行ってきます。ありがとう」
開けてくれた運転手にお礼の言葉を言ってから降りる。
数歩進んで目の前の大きな校門を見た。
そこには「私立 伏木川学園」と書かれている。
前世に、こんな学校あった…?
でも、もしかしたらあたしが亡くなってから何年も経っているのかもしれない。
花が散って、葉桜になった木が横に並んでいる。
どうせなら、花が咲いているところを見たかった。
「麗香、さん?」
呼びかけられて後ろを向くと、男の子がいた。