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プロローグ

 むかしむかしある所に、内気で空想の世界に夢見ていた女の子が居ました。女の子に両親は居ませんでしたが、年老いた祖父母のもとで三人幸せに暮らしていました。女の子が十八歳の誕生日を迎えた日に、おじいさんとおばあさんはこう言いました。

「お前ももうお嫁に行ってもいい年頃だ。私たちはいつまでそばで守ってあげられるか分からない。これからお前は、この家を出て婚約者の方と一緒に家庭を築きなさい。父さんと母さんが生きていた頃、世話になったことのある方だ。安心してすべてを任せるんだ。」

 突然そんなことを言われた女の子は、悲しみのあまりわんわん泣き出してしまいました。「おじいさんとおばあさんと離れて暮らすなんて嫌!会ったことも無い人と結婚するなんて、めちゃくちゃだわ!」

 おじいさんとおばあさんが困り果てていると、そこへ一人の男の人が現われました。「ぎゃあぎゃあうるせえ。こいつが俺にくれるって言ってた女か、何だまだ子供じゃねえか。」

 その男の人には、女の子には無い狼のような耳と大きな尻尾、口には鋭い牙が光っていました。女の子は怖くなり、その場から逃げ出そうとしました。が、たちまち大きな腕に抱きかかえられてしまい、身動きが取れません。

「何をするんですか!離して下さい!」

 女の子は自分を荷物のように抱きかかえている男の身体をぽかぽか叩いてみますが、びくともしません。どうしておじいさんとおばあさんは自分を助けてくれないのだろう。本当は自分のことが邪魔だったから、この人に売り飛ばそうとしているのではないだろうか。止まっていたはずの涙がまた溢れ出してきて、拭っても拭っても、女の子の瞳から涙が無くなることはありません。

「そんなに俺と結婚することが嫌か?」

 恐る恐る男の顔を覗き込むと、大きな瞳と牙がぎろりと光り、女の子は震え上がってしまいました。見かねたおじいさんとおばあさんは男に帰ってもらうよう説得しますが、二人の言うことを聞こうとはしません。

「何年待ったと思ってるんだ。十八歳の誕生日に迎えに来いと言ったのはお前たちだろう。約束通り、この女は俺が連れて行く。」

 そう言って男は女の子の身体を肩に担ぎなおし、そのまま森の奥へと進んで行ってしまいました。果たして、女の子の運命や如何に。この二人が仲良くなるのは、まだもう少し先のお話………

プロローグのみ、童話の語りをイメージして書かせて頂きました。

次回から少しずつ物語が動き始めますので、お付き合い頂けましたら嬉しいです!

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