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代表者の少女

いきなりで悪いが、今の俺の状況を説明させてもらう。

まず左腕にザブ、右腕にフート、あぐらをかいている足の上にハリが座っている。

壊滅派と呼ばれる組織から派遣されてきたクラーク・パソとの戦闘後、「ご主人様が心配ですわ!」「ご主人様は私が守りますね」「ザブが変なことしないように守ってる!」と言い出し、この有様だ。

いい加減離れてくれないだろうか・・・。

四六時中このままじゃ敵わん。

「なあ、少し離れないか?」

「いやですわ」

「いやです」

「いやだよ!」

やはり離れてくれないらしい。

はぁ・・・色々と当たってるんだが・・・

は!いかんいかん!煩悩退散!

「少し腹が減ったから、コンビニ行ってくるよ」

「私も行きますわ!」

「だめだ、お前らを外に出すわけにはいかない」

我先にと同行を申し出るザブを抑える。

明らかにすねている。

だってしょうがないじゃないか、こいつらに悪い虫が付いたらどうするんだ!

そして、なんとかザブ達をいなしコンビニへと出かける。

やっと解放された・・・


俺はコンビニへと急いで向かった。

あまりあいつらを待たせるわけにもいかないしな。

「いっそげーいっそげー♪」

軽快に歌なんて歌ってしまった。

「・・・」

俺は走るのをやめた。

「そこにいるんだろ?」

ひとつの気配を感じたからだ。

「バレてしまったか。意外と早いね」

現れたのは、クールな雰囲気を漂わせているが顔は幼さ残る、胸の薄い少女だった。

「最近、また新しい能力がついたみたいでね」

家具の気配が分かるのだ。

この能力のおかげでザブが後ろから近づいても大丈夫になった。

まあ、そんなことはどうでもいい。

「お前は壊滅派か?」

「そうだと言ったら?」

うすら笑いを浮かべる少女。

「見逃してくれ」

「な!?」

少女は目を見開いた。

まあ、当たり前だろう。

「俺は今、攻撃する方法もわからない。だから見逃してくれ。俺には帰らなきゃいけない場所もあるからな」

「・・・ダメだと言ったら?」

それはもちろん。

「殴るしかないな」

「・・・ふっ」

俺の答えに少女はまたうすら笑いを浮かべた。

そして、俺に背を向けた。

「見逃してくれるのか?」

「もともと今日は偵察のつもりだったんだ。君は捕縛対象だからね。情報収集は大切だから」

「抹殺対象ではないんだな」

「うちの代表者が君に興味があるみたいでね」

「俺に?」

俺は驚きを隠せない。

何故壊滅派の代表者が俺に興味を持つんだ?

しかも捕縛する理由が俺の利用ではないときた。

うむ、わからん。

「そうだよ。それに・・・わたしもね」

「君も?」

「そうだよ。私も君に興味がある。今回でその興味が増したよ」

「・・・君は何者なんだ?」

俺は少女に尋ねる。

「そのうちわかるよ」

「教えてくれないのか」

「教えないよ」

「どうしてもか」

「どうしてもだよ」

「そうか、あ」

「どうしたんだい?私のスカートなんか見て」

いや、さっきからいるなーとは思ってたんだけどね?

あの・・・

「犬が引っ張ってるよ?」

「え?」

少女がスカートの方を見る。

「わん!」

オー、つぶらな瞳で少女を見てやがるぜ。

「い、いやああ!犬はだめ!神野誠!とって!あっちに持って行って!」

「名前教えてくれる?」

「だからそれは!」

「じゃあ、帰るね」

「あー!!待って!教えるからお願い!」

「よしきた!」

この子意外に天然?

俺は少女のスカートをガジガジしている犬を持ち上げる。

「わん!」

「よしよし、お前意外に可愛いな」

つぶらな瞳がキュートだぜ!

「うぅ・・・」

少女はまるではずかしめを受けたように座り込んでいる。

「大丈夫か?」

「う、うん。大丈夫」

俺が手を差し出すと素直に握ってきた。

「えっと・・・ありがとう」

「いえいえ」

少女はお礼を言ってきた。

なかなか礼儀正しい子だな。

「それで、名前は?」

「・・・アンナ・クラ」

少女はうつむきながら小さな声でそういった。

っておいおい。

まじかよ。

「君がアンナ・クラ?」

「やはり名前だけはザブ達から聞いていたか」

「まあ、代表者の名前だからな」

「うむ・・・。これでいいだろ?」

「ああ、十分だ」

本当に俺を捕縛する気はないようだ。

「ほんとに君は不思議だな」

「何がだ?」

「普通敵の代表者が目の前にいれば、何かしらの感情を抱くはずだろう?しかし、君は私に怯えることも敵視することもない」

少女は淡々という。

まあ、確かにそうだよな。

でも、コイツだって家具なんだ。

ザブ達と同じ家具なんだ。

「確かに君は敵だ。だけど、家具だからな、俺は家具の暖かさを知ってる。俺が君に抱いてる感情は畏怖や敵視じゃない。ザブやフート達と同じちょっと変わった女の子だ」

「・・・女の子」

「そうだ」

少女は俺の言葉を繰り返し呟く。

実際、この子も女の子の姿で俺の前にいるからな。

「ほんとに面白いやつだ」

少女はやはりうすら笑いを浮かべ再び俺に背を向けた。

あ・・・

「また会おう。神野誠」

「うん、それはいいんだけど・・・」

あー・・・えっと・・・

「なんだい?」

「パンツ丸見えなんだけど・・・」

「・・・!!」

少女のスカートは見事にめくれ上がっていて、水色と白のパンツが丸見えだった。

「あの・・・」

「っ!」

「あ!」

少女は全速力で走り去ってしまった。

うーん、やってしまった。

それから俺は家へと走って帰った。


「はあはあはあ・・・」

全速力で走ってきたから、少し疲れてしまった。

「もう・・・あの男」

パンツを見られてしまった・・・

「恥ずかしい・・・ああああ!」

私は顔を隠しうずくまってしまう。


「確かに君は敵だ。だけど、家具だからな、俺は家具の暖かさを知ってる。俺が君に抱いてる感情は畏怖や敵視じゃない。ザブやフート達と同じちょっと変わった女の子だ」


ふと、あの男の言葉を思い出す。

「女の子・・・」


ずきんっ


「いたい・・・」

胸が痛い。

なんなんだろこの気持ち・・・

わからない。

「女の子。私は女の子?」

女の子という言葉を繰り返し口に出す。

「・・・違う。私は女の子なんかじゃない。ファーニチャーガーデンの代表者、アンナ・クラよ」

私は自分にそう言い聞かせファーニチャーガーデンへと戻った。


俺は今、正座をさせられている。

俺の前には部屋の家具のほとんどが集まっている。

「ご主人様!」

「は、はいい!」

ザブが口を開く。

「もう一度聞かせていただけますか?先ほど、誰に会われたのです?」

ザブの表情は怖い。

「えっと・・・ファーニチャーガーデン、壊滅派の代表者の一人、アンナ・クラ」

「あなたは馬鹿ですかああああああ!!!」

ザブは大きな声で怒鳴った。

当たり前と言えば当たり前か。

「もしご主人様に何かあったらどうするのですか!何かあってからでは遅いのですよ!?」

「わ、悪かったよ」

さっきから何度も謝っているのだが、一向に許してくれない。

「ほんとにもう!ご主人様に何かあったら私・・・私!」

ザブの目には涙が溜まっていた。

ふとほかのみんなを見ると、みんなも涙を流していた。

これは、流石に悪いことをしたか・・・

「悪かったよ。ごめんな」

俺はザブを引き寄せ抱きしめる。

「ご主人様・・・」

ザブは俺の腕の中ですすり泣く。

「ご主人様・・・ぐへ」

ザブは俺の腕の中でぐへという。

・・・ぐへ?

「ぐへへ!ご主人様の匂い!!たまりませんわああああ!!」

「よぉし!覚悟は出来てんなザブ!ハリ!」

「はいな!」

ハリの右ストレートがザブの腹に直撃した。

その後は全員入り乱れての大乱闘。

最後は大家さんに怒られましたとさ。

とほほ・・・


場所は変わってファーニチャーガーデン。

「やはり神野誠は興味深い」

「アンナも興味出てきた・・・?」

「そうね、次は本気で捕縛しに行くわ」

「うん、がんばって」

「ええ」

アンナは力強く頷く。

なんか楽しみにしてる・・・?

「次はパンツに気をつけて」

「もうその話はやめて!!!」


続く

どうもりょうさんです!【代表者の少女】をお送りいたしました!

アンナの可愛さを少しプッシュしてみました!

気に入っていただけると嬉しいです!

次回はアンナ本格始動でございます。

お楽しみに!

それではまた次回お会い致しましょう!


作者の別作品「農業高校は毎日が戦争だぜ」もよろしくお願いします!


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なにか、問題、ご要望があればメッセージなどいただければ嬉しいです!

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