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庭からの来訪者

季節は夏に入る頃。

俺はいつものように家でごろごろしていた。

いや、ちゃんと休日だよ?


今の俺の状況を説明しよう。

左腕にはザブ。

「ん?ふふ♪ご主人様♪」

俺がザブを見ると幸せそうにこちらを見返してくる。


右腕にはフート。

「ご主人様ぁ・・・」

なぜか潤んだ目でこっちを見てくる。

腕をだくな!胸が当たる!ああ!股をこすり合わせるな!

最近は、仕事から帰ってもすぐ寝てしまうので、あまり構ってやれなかった。

その埋め合わせをしろとのことだ。

まあ、大切な二人の家族の頼みだ、叶えてやることにした。

そのように休日を過ごしていると。


ピンポーン


インターホンが鳴った。

「誰か来たのか?」

俺は玄関に向かう。

その時ザブとフートが止めたが無視した。

「どちら様ですか?」

そこには綺麗な女性が立っていた。

「・・・」

「えっと、どちら様ですか?」

「・・・ふっ!」

「うお!?」

いきなり女性は俺に殴りかかってきた。

間一髪で避けることができたが、玄関の床がへこんでしまった。

「あああ!床があ!大家さんに怒られる!!」

いや、本当に怒られるんだって・・・

「ふんっ!」

「うわあ!」

もう一発拳が俺を襲う。

これもなんとか回避した。

「・・・はああああああ!」

「なんだ!?」

女性の手のひらが光る。

「家具パワー・・・放出!」

「うおおお!?」

女性の手のひらからビームのようなものが発射される。

「「ご主人様!」」

ザブとフートが前に現れ、

「「家具パワー集中!バリア展開!」」

二人の作ったバリアによってビームが霧散する。

「ザブとフートか・・・まさかここにいたとはね」

「クラーク・・・」

ザブとフートは知り合いのようだ。

3人が対峙していると玄関のドアが開く。

「神野さん!またですか!?」

大家さんが入ってきた。

「ふふ、トメ子の孫か・・・今日のところはここで去ろう。ザブ、フートあなた達は滅する。神野誠、あなたは必ず消す」

すると、女性はその場から消え去った。


女性が去ったあと、部屋の真ん中机の周りに俺たちは座った。

座っているのは俺、ザブ、フート、大家さんだ。

ほかのみんなも耳をこちらに傾けているだろう。

「あいつはなんなんだ?」

俺は切り出す。

「あの者は、クラーク・パソ。家具達の世界ファーニチャーガーデンの統率者、ジョア・テレ、アンナ・クラの一の家臣ですわ」

「家具たちの世界?」

「はい、ファーニチャーガーデン。家具たちの住む世界ですわ」

「なぜ、そのファーニチャーガーデンのやつらが俺を狙うんだ?」

「正確にはこの部屋、104号室を狙っているのですわ」

「この部屋を?」

「はい、この部屋は家具パワーというエネルギーが多く集まっているのですわ。ファーニチャーガーデンの者たちはそのエネルギーを狙っているのですわ」

「その家具パワーってのは?」

「家具パワー、私達家具が人間化したり、先ほどのように戦ったりするときに必要なエネルギーですわ」

「じゃあ、俺が外でも声が聞こえたり、雰囲気が見えたのは・・・」

「全て家具パワーによる力ですわ」

ザブが答える。

「でも、その家具パワーと俺を狙うことにどんな関係があるんだ?」

「家具パワーは家具を愛する気持ちから生成されます。ご主人様は私達を愛してくださいました。それはもう家族のように。この部屋の家具パワーはご主人様が移り住んでから増大しました。それは爆発的に」

フートが答えてくれる。

「だから、消すのか」

「いえ、消すのは少し後でしょう」

「え?」

俺は少し面食らってしまった。

「ご主人様の生成力は膨大です。ですので、その生成力を利用するでしょう。消すのはその後かと・・・」

「なるほどな・・・でも、なんでそんなに家具パワーを欲しがるんだ?」

「・・・ファーニチャーガーデンの目的は人間界の壊滅です」

「壊滅!?」

俺は驚きの声を上げる。

「ファーニチャーガーデンの住人は人間を恨んでいます。そのため人間界の壊滅を望んでいるのです。ファーニチャーガーデンの住人を壊滅派としましょう。そして、人間界に住んでいる家具は人間との共生を望んでいます。私達のことを共生派と呼びます」

「じゃあ、その壊滅派は人間界の壊滅のために家具パワーを・・・」

「そういうことになります」

「そうか・・・」

「壊滅派の代表者の名前は、ジョア・テレ、アンナ・クラです。そして、共生派の代表者は私とザブです」

「・・・でも、実家に居たときはこんなことなかったぞ?」

「はい、実際実家にいらっしゃった時も家具パワーは膨大な量を誇っていました」

「じゃあ何故今回みたいなことが怒らなかったんだ?」

「ご家族は巻き込みたくはないでしょう?」

「そうだな・・・」

実家には母、父、妹が二人いる。

確かに巻き込みたくはない。

「勿論襲ってきたものもいましたが、気づかれないように追い払っていました」

俺のいない間にこんなに事が進んでいたとは・・・

「じゃあ、なんでおばあちゃんのことを知ってたのかな?」

大家さんが尋ねる。

クラークはトメ子の孫といった。

トメ子とは大家さんのおばあちゃんの名前だ。

「家具界に伝わるこんな伝説があります。昔、家具に一心に愛を注ぎ、家具パワーを多く生成したものがいた。その者こそトメ子さんです。勿論壊滅派は襲った。しかし、そこにいた家具達はトメ子を必死に守り抜いた。ついにトメ子は自分自身で家具パワーを操り家具たちを守ったという。家具達の中でトメ子さんを知らない者はいません」

「おばあちゃんが・・・」

「それに、管理人室は昔、ここではありませんでしたか?」

「えっと、そうだね」

「そのため、ここには家具パワーが集まりやすくなっているのでしょう」

「なるほどな」

俺は頷く。

「「ご主人様は私達が守ります!かならず!」」

「ああ、俺も出来る限りのことはする」

二人は俺を守ると言ってくれる。

なら俺は、こいつらを守る。必ずだ。


ここはファーニチャーガーデン。

「ジョア、ザブとフートがあちらにいたそうよ」

私は手元の報告書を見ながら報告する。

「・・・」

「ジョア?」

「・・・」

返事がないただの屍のようだ。

「ジョア!」

「はうぁ!?・・・起きてる」

「ヨダレを垂らしながら言っても説得力ないわよ」

「・・・ごめん」

素直に謝るのはこの子のいいところよね。

「ザブとフートがいたそうよ」

「・・・抹殺対象から捕縛対象に変更。ザブとフートは抹殺してもいい」

あら、興味が出てきたのかしら。

「そう、興味が出てきたのかしら?」

少しつけこんでみましょう。

「トメ子を凌駕する生成力、どんな人か見たくなった」

興味を持ったみたいね。

「そう、わかったわ」

「次は誰を向かわせる?」

「そうね、捕縛なら私でしょうね」

捕縛になら自信がある。

「大丈夫?」

「ええ、必ず」

「わかった。我ら家具に・・・」

「「栄光あれ」」


「さて、どう捕縛しようかしら。神野誠、楽しみね。・・・私も少し興味が出てきたのかしらね。さて、準備しましょう」

私は捕縛準備に取り掛かった。


「神野誠・・・家具を愛する者・・・私たちは愛してもらえるのかな」

私は少し迷っていた。

人間は憎い、絶対に許せない。

だけど、神野誠は違うかも知れない。

そんなことを思っていた。

「・・・考えても仕方ない、ザブとフートがいるなら少し手こずりそう。私も準備しなきゃ・・・」


こうして、本格的に壊滅派と共生派の戦いが始まろうとしていた。

そして、揺れるジョアの思い。

アンナの興味。

そして、それを見つめる一つの影。

この世界になにが起ころうとしているのか・・・


続く

どうもりょうさんです!【庭からの来訪者】をお送りしました!

ついに壊滅派との衝突が始まりました!

これからどう展開していくのかは次回以降のお楽しみです!

次回は少しドタバタ行きたいと思いますのでよろしくお願いします!

それではまた次回お会い致しましょう!


作者の別作品「農業高校は毎日が戦争だぜ」もよろしくお願いします!


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