とある世界の詩《うた》
なんだかよくわからないものが出来てしまいました。
それでもいい、っていう寛大な方だけどうぞ!
――これはある少女の詩――
少女は笑った(それは世界の平和となり)
少女は泣いた(それはこの世の悪夢となる)
少女は歌った (それは世界に幸福をもたらし)
少女は嘆いた(それはこの世の絶望となる)
少女の言葉は世界の全て 悪をもたらし平和を歌う
ただ
そうと知らずに、少女はただ愛する男のためだけに生きていく
男のために笑い、
泣き、歌い、嘆いて
大切なモノを想って死んでいく
幾度も幾度もただそれだけのために生きて死んでいく少女
少女の価値も知らずに幸せに暮らしていく男達
さて、ここで問題
一体この世界は誰のものでしょうか―――?
――これはある男の詩――
男の願いはただひとつ
この世で少女に愛されること
幾度も幾度も……その生を何度繰り返しても続く恋心
その想いが永遠に届くことがないと知りながらも、男は少女に恋焦がれる
愛してる……その想いは盲目的に
愛してる……他を犠牲にすることなど厭わないほど強く
愛してる……一途な恋心はやがて狂気へと化し
愛してる……右手に握られた銀色の包丁は煌めきと共に赤く染まる
その想いは永遠に届かず……ただ輪廻を繰り返すばかり
それでも男は永遠に
いつまでもいつまでも
ただ少女を愛し続ける
包丁は赤く煌めき、男は高らかに笑い
一つの愛は引き裂かれ――
幸せそうに笑う男、苦しみ喘ぎ最期を迎える少女、その横で涙を流す少女に愛された男
トライアングルとも呼べぬ歪な関係
それでも男は笑い続ける
ほんの一瞬、少女の瞳に映った赤く染まる自らの姿 最期に映し出された憎しみの念
それだけ、ただそれだけなのに
それでも男は胸に灯る熱い想いに浮かされ笑う
さて、ここで問題
この男が最後に手に入れた想いは幸せと呼べるでしょうか――?
――これはある世界の詩――
ここで生じる一つの問題
矢印は一方通行
反対を向くことは永遠にありえない
少女は優しい男を愛し 男はただ少女を見つめ続け
世界を手に入れたことを知らない男は、少女を我が物顔で支配する
繰り返される輪廻は果たして運命と呼べるのだろうか?
少女は息絶え、少女に愛された男は嘆き
最期の一瞬少女に憎まれた男はいつまでも狂ったように笑い続ける
歪んだ愛情 生じる憎しみ
生まれる想いはどこまでも続いていく
この終わりのない物語の終止符は一体どこに打たれるのだろうか?
……ただ一つ、確かなこと
終わらせられるのは少女だけ
巡るたびに気付かされるその真実に
抗えるのは少女、ただ一人であるということ――
物語はここでおしまい
書きかけのストーリー、終わらない世界
果たしてその先を紡いでいくのは誰なのだろう?
……例えば、そこの貴女
貴女なら、真実を得てそれでもなお終焉を選ぶ?
それともこれからも続いていく輪廻に身を委ねる?
大丈夫、たとえどんな世界が綴られようと
誰も文句は言わないのだから
さて、
この先も綴られていく物語 紡がれ続ける果て無き世界
必要な人形は……三人
いらっしゃいませ、お客様
―――次なる犠牲者は、誰でしょうか?
……ありがとうございました。
詩とも小説ともいえないような代物ですが、読んでくださった寛大な皆さんに感謝します!色々とご指摘いただけるとありがたいです。ぜひ、よろしくおねがいします!!
幹