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紹介

栗のような茶髪と赤縁の眼鏡が特徴的な葉月は、小さいころ家がすぐ近所にあり、

幼稚園のころからの付き合いであったが、小5のころに父親が転勤とかで

この町を離れていたのだった。

「葉月、生きていたのか!」

「マッキー死んでなかったんだね!よかったー!」

中2の時に葉月は帰ってきたが、違うクラスだったせいか話しかける機会が減り、

あまり面識はなかった。しかし、久々にマッキーと呼ばれて小学時代のころの

記憶がうずいてくる。初めてマッキーと呼ばれたとき、マジックペンか!って

突っ込んで場がしーんとなったのは今となってはいい思い出だ。

「他に誰と来てるの?」

「潤平と……上条さん」

「上条さんと?」

「なんかね、俺と家が近いらしいんだ。だから一緒に行動することにしたんだ」

彼女の顔が一瞬曇ったのは気のせいだろうか。

「へえーそうなんだ。あ、そうだ!私たちと一緒に行動しない?」

突然の提案に俺は戸惑った。

「一緒にって……でもお前の家ってもう別の場所にあるんじゃ……」

「ううん、確かに一回引っ越したけどまた元の住所に戻ったの」

「そうか、それならいいや。人数は多いほうがいいし」

意外だった。確かに彼女が帰ってきてからあまり話をしたことはないが、

家が近いなら通学途中とかに会うことも多いはずだ。

それにしても潤平たちにどう説明しようか……

「あれ?伸哉、こんな時に女の子を誘うなんて、ずいぶんとプレイボーイだね」

「うるさいぞ、潤平」

潤平にからかわれた。そんなに俺が女子と絡むことが珍しいだろうか。

まあ潤平はモテるからな。俺の比較にもならないくらい。

「そっちの人達は誰?」

上条が訝しみながら聞いてくる。

「紹介するよ。俺の幼馴染の葉月。近井葉月」

「よろしくね、名前は聞いてるよ。よろしくね、上条さん!」

葉月は笑顔で上条さんに歩み寄って握手を求めたが、上条さんはそれを無視してしまう。

「そっちのお三方は?」

場が静まり返る。チーズバーガーの温かさが場違いに思える。店内なのに。

仕事へ行く前に朝食をとっていたサラリーマンたちのざわめきだけが耳に残る。

「お、俺ら?俺は浦川秀樹うらかわ ひできだ。俺らは葉月と最寄駅が同じなんだ」

浦川は髪を金髪に染めていてヤンキーっぽいが、見たところ根は悪くないようだ。

その横には、高身長でさらにメガネをかけた、いかにも優等生っぽいのが立っている。

名前は確か……

「僕は崎本宏さきもと ひろむだよ。よろしくね。人数は多いほうがいいと思うから、

 みんなで一緒に最後まで生き残ろうね」

 ところで、この学校は1学年8クラスが3学年、全校生徒の数は800人近くいるらしい。

だからクラスが離れている人の名前は、3年生になってもなかなか覚えられていない。

特に女子の名前は。

「アタシは島田綾乃しまだ あやのよ。アンタたちあまり面識ないんだけど

 まあ迷惑にならないように頼むわ」

彼女も島田は葉月と同じ茶髪だが、こちらは後ろ髪が背中まで垂れている。

髪洗うのが面倒そうだな、と伸哉は思った。

潤平が伸哉の近くに顔を寄せて呟いた。

「なあ、崎本ってやつ以外みんなチャラくね?」

お前が言うな、と伸哉は心の中で毒づく。

運が良いことに、4人掛けの机1つと2人掛けの机が空いたので、

少し離れているが7人でバラバラに分かれて食事という形になった。

「伸哉、誕生日席座れよ」

「いや、お前が行けって」

「しょうも無いことしないで、早く食べましょう。もうお腹ペコペコよ」

上条さんが本当に早く飯にありつきたいといった様子で急かしてきた。

胃袋も早く早くと言わんばかりにぐるぐると主張している。

伸哉たちはこの現象が起こってから初めての飯にありつき始めた。

伸哉は上条さん、葉月、崎本と同じ机になった。潤平は浦川と島田と同じだ。

潤平なじめそうだな~。こっちは4人なのにメンツがメンツだし……

○ ○ ○


「それで、僕は秀樹とはこの中学校に入ってから仲良くなってね、

 でもいつも学校生活は僕に頼りっぱなしなんだ。この間の英単語テストだって、

 五点以下で呼び出しだっていうのに直前まで勉強してなくて、結局僕がカンニングペーパーを……」

「おい宏、余計なこと言うなし!」

「有れ?聞こえてたんだ。ところで、お三方はどういう関係で?」

そういわれたとたん、肩がビクッとなるのが自分でもわかった。潤平はいいとして、

上条さんとはこの騒ぎで初めて知り合ったのだから。どう答えようか迷っていたが、

「家が近いから」

上条さんは淡々とそう答える。二人が反応に困っているのが見て取れたので急いで話題を戻す。

「ふ、二人って、結構正反対な性格してるなあ……って思ったんだけど、

 仲良くなったきっかけとかってあるの?」

「きっかけねえ……あれは」

「それよりワタシとマッキーのこと聞いてほしいな!」

ここぞとばかりに葉月が会話に入ってくる。

「ふむ……興味あるな。せっかくだし聞かせてよ」

受験生やってるので息抜きに書いてます。そのため亀筆になりますが

一人でも多くの方に見ていただけると幸いです。

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