五節目
夜の街は寂しすぎて好きじゃない。
馬鹿で愛に飢えた不良どもが人のぬくもりを求めて、狼のようにアスファルトの上を嗅ぎ回っている。束にならなければ喧嘩もナンパもできないほどの寂しがり屋のくせに、虚勢をはって吠えている。
また、それに付け込んで一儲け企んでいる大人の醜く臭いにおいが充満している。
なんとも悲しく寂しく苛立たせる空気だ。けどあまり嫌いではない。
コンビニに行く途中で黒いスーツに紫のネクタイ、そしてスキンヘッドの男達が俺を見てきた。
俺は、奴等が見えなくなるまでずっと睨み付けてやった。お前ら臭いんだよ。それにしてもなんで、こういうやつってこんなに分かりやすい格好をしてるんだろう。
コンビニの前には、ウンコ座りをした中学生くらいの奴が三人、タバコを吸っていた、
「タバコくらいすわなきゃやっていけないよな」
俺は三人にそう言って笑って見せた。
タバコを吸うにはまだ少し早い気がするけれど、まわりの環境が彼らに吸わざるをえなくしているんだろう。
「俺にも一本くれよ」
そう言って俺は三人の中に座り込み、タバコを吸いおえるまでの間、彼らと他愛もない話をした。
三人は本当に中学生で、このあたりでは結構有名人の俺に憧れているみたいだった。
タバコのフィルターを通して吸う街の空気は、そのまま吸うよりは幾分かうまかった。
タバコを吸い終えると、弁当をさっさと選びコンビニを離れた。
離れ間際、三人が
「また来てくださいよ。大抵はここにいますんで」
と俺の背中に話しかけたので、俺は振り返り少しはにかみながら、
「タバコもなんでもやり過ぎるなよ。そこらへんの奴みたく馬鹿になっちまうぞ。お前らがずっと今日みたいに変わらないでいたら、また来てやるよ」
と言った。
そうするとあいつらはタバコの火をすぐに消し、俺に頭を下げた。俺はあいつらの後頭部に手を降って別れた。
こんなにも良い奴だっているのに、街のにおいはそれをも覆いつくすほど無情で強大だった。
それが悲しくて寂しい。




