表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツッコミはある日突然に  作者: ついしょ
第二章 ツッコミはある日突然に2
41/44

第21話 そう、ここは美術館、そう思うことにしよう

 さっきのアクセサリー屋さんはショッピングモールの三階に位置し、ルーナへのお礼を含み、何か食べようということになり一階のフードコートへと向かうため、エスカレーターを探している途中、ルーナは何かを見つけたように言いだした

「お兄ちゃん! このお店に入りましょう!」

 ルーナの指さす先にあったお店、紐やら縞やらが飾られている、男子にとっては美術館、女子にとっては……ただの布? そう下着屋さんだ……。

「無茶だよっ! いくら女の子と一緒だからって、女の子の下着専門店はないだろ!?」

「最近ちょっときつくてですねー」

 その言葉に悠がショックを受ける

「んなっ!? ボ、ボクのは一向に大きくなる気配を見せないというのに、ルーナちゃんのはまだ成長を続けるというのかッ!?」

 なんだか悠の言葉一言一言が力強い。

「ふふ~ん、私はまだまだ成長中ですよ!」

「そ、それは遠回しに『お前の胸は発展途上』と言っているのルーナちゃんッ!?」

 ルーナは口に手を添え、にやりと笑い

「いえいえ~、そんなことは決して無いですよー、本当に『いいなぁー小さくて、肩こりとは無縁なんだろうなー』なんてことは思ってませんよー」

 悠は歯を噛みしめ、目には涙を浮かべている。

「ぐすんッ、ボクのだって、大きく……」

 まずい、僕は何て言っていいかわからない、「悠のは小さくて素敵だよ」とか? いや、それはそれで、それこそ変態っぽいしな

「まぁ、とりあえず入っちゃいましょう、お兄ちゃん、私につけてほしい下着選んで下さいねー」

 ルーナに引っ張られ、半ば無理やり入店させられた僕。唯一の救いが、他のお客さんが少ないということだ、だが店員さん(もちろん女性)とその少数のお客さんからの露骨な「なんで男がいるんだよ」という視線が僕を射抜く貫くぶち破る! お語呂がいいな。

「あの、すみません、僕外で待ってていいですか?」

 僕は他の人に聞こえるようわざと少し大きめの声で言った

「それじゃあ選べないよお兄ちゃん!」

「せっかくだしボクも新しいの買おうかなぁ……」

「あれ、悠ちゃん大きくなったんですか? ……ああ、いいえ、なんでもありません」

「ふわぁん! ルーナちゃんがいじめるよぉ!」

 泣きながら僕の腕に抱きついてくる悠、制服越しに控えめな柔らかさが伝わってくる。

「ほら、僕は小さい方が好きだから!」

「それは嬉しいけど、もう好みの問題じゃないんだよぉ! ボクも一人の女の子としては実際のこと言っちゃうと大きい方がいいんだよ!」

 まぁ、たしかにそうだよな。僕が小さい方が好きだからと言って、それは本人の意思とは違う。うーん、いいのになぁ小さいの……

「こんなのはどうでしょうお兄ちゃん」

 ルーナの手には淡いブルーの上下セットの下着が……、しっかりフリルまでついてやがる。

「イインジャナイデショーカ?」

「むぅ、お兄ちゃんそれホントに思ってるの? なんだかとっても棒読みだけど?」

 ルーナの上目遣い+ジト目はとっても可愛い、認めます。

「うん、まぁ、ほらだって良いと思うよ、良いよね青、クールなルーナに似合うと思うよ!」

「クールなルーナ。私の名前がルークだったら回文だねお兄ちゃん!」

 どーでもいいわ! どこのスカイウォーカーだ!

「ソウデスネー」

「うわぁ、露骨に顔が『どうでもいいよそんなこと、それよりルーナ、可愛いね』って言ってます……」

「どうでもいいとは思ったよたしかにね! でもなんでそのあとに可愛いねがついてるの!?」

「私は……可愛くないですか……」

 あぁもうずるいなぁ!

「か、可愛いけどもどちらかと言うと綺麗かな!」

「ま、まぁそれならいいです!」

「空く―ん! 今度はボクの番だよ! こんなのどうかな!」

 悠が持ってきたのはピンクだった。多少ボーイッシュなところのある悠ではあるが、ピンクは似合うと思う。ていうか、何着たって可愛いんだよ僕の彼女は!

「良いんじゃないかな! めっちゃ可愛いよ!」

「えっへへー、そうでしょうそうでしょう!」

 悠が「えへん」と胸を張る

「む! なんですかお兄ちゃん! 悠ちゃんにはそんなにしっかり返して! それに悠ちゃんも、そんなことでない胸を張らないでください!」

「ふふ、ふふふふふ……」

 なにやら不気味に笑い始める悠、怖い

「ルーナちゃんっ!」

 悠はルーナに指をさし、言い放つ

「ボクの胸は無いんじゃない! コンパクトサイズなんだっ!」

「開き直りましたっ!?」

 ルーナは驚愕の表情を浮かべる。僕も驚きだ!

「そう、ボクの胸はコンパクトサイズなんだっ!」

 悠は自分に言い聞かせるようにもう一度言った。

「そんな自己主張の激しいルーナちゃんのより、謙虚なボクの方がいいと思うよ!」

「うわっ! さっきと言ってる事がまるで違いますっ! しかも私の胸の批判まで始めました!?」

「だからねルーナちゃん! もうボクは胸の事でうじうじしないよ、これ以上何を言おうと無駄だからねっ!」

 悠がコンプレックスである胸の大きさと決別した瞬間だった。

「……うぅ、コンパクトサイズ最高……」

 と、思ったが、もう少し時間がかかりそうな予感。うん、僕もいいと思うよコンパクトサイズ。

 悠たちが買い物を終え、僕達はフードコートのちょうど空いていた席に腰を下ろした。

「さて、何を食べようか?」

「じゃあ私が買ってきますよ! 二人ともアイスはチーズケーキ味で良いですね? いや、チーズケーキ味を買って来ます!」

 ルーナが勢いよく立ちあがり、目を輝かせていた。

「待て待て! さっきお前、チョコレートケーキも認めたよな!?」

「ええ、もし仮に、千歩譲って私がチョコレートケーキを認めたということにしても、チョコレートケーキ味のアイスは認めていません!」

 なんて屁理屈だ……。

「チーズケーキ味も良いと思うけど自分で決めたいかなぁ、ボクとルーナちゃんで買ってくるから、空君はゆっくりしててよ♪」

 悠にそう言われ僕はお金を渡し、二人を見送った。僕の味は悠に任せた、多分彼女なら僕の好みもわかるだろうと考えたからだ。

 いやぁ、さすがショッピングモール。いくら平日とはいえ、制服のカップルが多い、放課後デートってやつだろうか? こんな公の場で堂々といちゃついている。愛があれば人目は気にしない、のだろうか? もしかしたら僕も自覚なしにしているかもしれないけれど、人目は気にしたい、さすがに恥ずかし過ぎる。「あーん」とか、ホント家でやった方がいいと思う、そんなことするからそれを見た彼女のいない男が『リア充爆発しろ!』とか言うんだよ……、僕だって数カ月前は言ってたし、それがただ嫉妬だって事も分かってたさ、でも言いたくなっちゃうじゃない!

「リア充爆発しろ……か」

 リア充とかオタクとか、そんなの関係なく大切な人を大切にできればいいって思うけど、うーん、そうだよなぁ、他人には人の心の中までは分からないよなぁ……、実際僕も言っていたわけだし、人のこと言えないや……

「うわ、空君が哀愁を漂わせてるよルーナちゃん!」

「あ、お帰り悠、ルーナ」

「そんなことより、はいお兄ちゃん! あーん♪」

「あぁ、ずるいよルーナちゃん! それ空君! あーん!」

 ……なるほど確かに、こうも迫られたら家でやれよとか、そんなこと言ってられないや、しかも二人にって、他のカップルより性質が悪い。色々言ってごめんなさい、あーんさせていただきます。

 予想はしていたが結局僕のアイスはチーズケーキ味だった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ