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ツッコミはある日突然に  作者: ついしょ
第二章 ツッコミはある日突然に2
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第17話 僕は男友達が少ない

 そして放課後、下駄箱の前で奏音ちゃん達と合流した。そこには見知らぬ顔も。校章の色は一年生、さっき真奈ちゃんが言っていた新しい友達だろうか。少し茶色がかったセミロングの髪に、目はつり上がっていて、少し大人っぽいという印象だ。十分美人と言える、最近僕の周りはなんでか美人が多くて困る(いろんな意味で)

「えーと、君が真奈ちゃんの言ってた友達かな?」

 僕が聞くとその子はだんまり。

「あぁ、三年だけど、特に気にしなくてもいいから……」

 そう言ってもだんまり、恥ずかしがっているというよりは無視されている気がする……

「美月ちゃん、美月ちゃん! 反応しないと!」

 真奈ちゃんに言われ美月と呼ばれた女の子は僕の方を向く

「すみません、日本語が聞こえなかったもので」

「え、僕日本語で言ったよね!?」

「すみません、もはや言葉かどうかすら怪しくなってきました」

「僕は地球外生命体かよ!?」

「いいえ、彼らは独自の言語を確立しているので、言葉を話さないという表現では齟齬がありますね」

「いやしっかり聞き取れてんじゃん! それにまるで宇宙人と友達かのような口調だけど!?」

「宇宙人ではありません、地球外生命体。ここ重要」

「えぇい、同じでしょうが!」

「ところで真奈ちゃんこの人(?)は?」

「うん、さっき話した東雲先輩だよ!」

「おい待て! なんで人に『はてな』を付けた!? 僕は純地球産の日本人だ!」

「それは失礼しました、私は光木美月です」

「? なんで同じ名前二回言ったの?」

 彼女はやれやれと呆れた表情をした。

「ホントにもう、初めて会う人はみんなそう言います。光る木で光木が名字、ビューティフルムーンで美月です、何度も言わせないでください」

「あぁ、なるほど」

 今まで何度も言われてきたのだろう、説明に慣れていてなおかつ分かりやすい

「それを聞かなかったのは奏音ちゃんと真奈ちゃんくらいです」

 言われた二人はにこにこしている

「名前をバカにしたら先輩と言えどお月様にしますよ」

「お星様じゃなくて!?」

「うさぎにハンマーでフルぼっこにされることでしょう……」

「月を見る目がかわるようなこと言わないで! えーと、僕は東雲空輝、よろしくね」

「ぷっ」と小さく笑う美月さん

「く、くうきwww」

「お前! 自分で名前バカにするなとか言って、自分笑ってんじゃん! お月さまになってうさぎにハンマーでつかれろよ!」

 ご丁寧に芝生まで生やしやがって!

「できるもんならしてみなさい、ほら、ほら」

 そう言って両手を広げる美月さん、もう「さん」とかつけなくていいかな!?

「そもそも誰が『美月』と呼んでいいと言いましたか?」

「だからなんで心の声に突っ込むんだよ!」

「え、えっ!? ボクじゃないよぉ!」

 急に振られた悠が驚いたように言う。

「あ、ごめんつい癖で」

「私の事はビューティフルムーンと呼んで下さい、エア社員さん」

「かっこいい――ってちょっと待て! まるで社員のふりしてる人みたいじゃないかそれじゃあ! せめて進行形にしろ! そうすれば齟齬らない!」

 齟齬らないとか、造語作っちゃったよ……、分かりやすく言うと、食い違わない、かな。

「エアイング社員さん」

「そっちじゃない! 僕を輝かせろよ!」

 ポケットからバリカンを取りだすビューティフルムーン。えぇい名前が長い!

「違う! 頭を輝かせるんじゃないよ! シャイニングにしようって言ってるの! て言うか、なんでそんなもの持ってるの!?」

「私のポケットの中は四次元ですので」

「ネコ型ロボットかよ!」

「思った通りのツッコミですね、つまらない」

「――ッ!!」

 くそ、今のはショックが大きい、つまらないとか言われた……、メンタルに大きな損傷が……。

「そのネコ型ロボットの話ですが、不思議だと思いませんか?」

「何が?」

「だって、あんなのが街中歩いてるのに、それを見た人々は『タヌキ』としか言わないんですよ? おかしいじゃないですか、ちょっと実写化してみれば分かると思うんですけど、二足歩行の青いロボットがいて、驚かないで『タヌキ』と言う街の人は相当肝が据わっていますね」

「あぁ、たしかにそうだね」

 なんで初めて会ってネコ型ロボットの話をしないといけないんだよ……

「私が思うになんで三大長寿アニメの中であれだけちゃんとドラマとして実写化しないかと言うと、そのネコ型ロボットの実写化が困難だからだと、私は考えております」

 ちなみに実写化された他の二つは、三つの丸いパーマが特徴的なあれと、永遠の小学三年生ね。ネコ型ロボットもなんか車のCMで実写化したらしいけど……、ドラマじゃないしまぁいいか。

「ホントにもう、先輩」

「……何でしょう?」

「反応がつまらないです」

「ぐさっ!!」

 た、助けて。僕のメンタルはもうぼろぼろだよっ!

「はぁ……、『ぐさっ!』とか、ありきたりですねホント。『僕は酸素と化合(反応)して水が作れるんだぜ!』くらいの事言って下さいよ、反応だけにぷぷっ」

 自分で言って笑いやがったぞこいつ、しかも僕は水素ですか……

 いぢめられている僕に奏音ちゃんが「下駄箱で話してないで、そろそろ帰らないか?」と助け舟を出してくれ、僕たちは靴を履き替え、帰り道。桜が舞い散る中歩いている。

真奈ちゃんは落ちてくる花弁をキャッチしようと奮闘しているがなかなか掴めない、それを見た悠はすんなりキャッチしてみせると、真奈ちゃんは「すごいすごい」と騒ぎ出した。

 悠は少し得意げで、そんな姿を見て和んでいる僕だ。

「なぁビューティフルムーン」

「…………」

 あれ? まただんまり。

「なぁみつき×2 ――ッフゴッ!!」

 鳩尾にパンチを入れられた。

「今のがうさぎの一撃です、ご用心下さい」

 うさぎと言うよりカンガルーだったのだけれど……

「それで、何の用ですか?」

「うん、ビューティフルムーンって長いと思うんだ略してBMでどう?」

「誰が車ですか、もう一発入れますよ? ES」

 いや車だとWが足りないだろ、って言うかあれ?

「わざとだよね? エアのスペルはAIRだからASだよ?」

 するとBMは真っ赤になったかと思うと一瞬で元に戻り

「あ、当たり前です。先輩と一緒にしないでください。そもそも名前を略そうだなんて、良くないですよ。これだから最近の若者は、略語略語言って、よくわからない言葉を作りやがりまして、情弱もとい情報弱者がそれどういう意味? ってなるんです、ほんとktkrってなんですか、キタコレ? どれ? って話ですよ This which came でtwcでしょう? それにmjkでマジか? でしたっけ? どこのクイズゲームのお金ですかって話ですよ、そもそも口で言う時に『えむじぇーけー』って言うより『マジか』って言った方が早いじゃないですか略せてないし本末転倒です、文にしたって三文字でかわらないし、ほんと最近の若者は……」

 間違えたのが相当恥ずかしかったようで、よくわからないお説教を聞かされた……。twcって結局あなたも略してますよね? とは言えなかったし、そもそもパソコンで『マジか』って打つには六回タイピングする必要があるけど、mjkの場合は三回でいいのでしっかり略せている。でも言わない、言ったら何を言われるかわからないもん! そんな僕のメンタルは崩壊寸前。

「まぁ、そんな話しはどうでもいいとして」と前置く光木、どうでもいいなら文句言うな、謝れこの野郎。

「部活にオススメってありますか、一応先輩なので訊いてみます」

 そうか、なるほど。高校生活での部活はかなり重要な要素だな。そう言えば奏音ちゃんや真奈ちゃんは部活には入らないのだろうか。

「悪い、僕は高校で部活には入らなかったんだ、だから良くわからないかなぁ」

「まぁ先輩が帰宅部ってことは知っていました」

「なんで!?」

「いや、なんか『自分帰宅部です、話しかけないでください』的なオーラを放っていたので」

「そんなオーラ放ってないよ!?」

「二百ダメージ以下は無力化できるんですよねそのオーラ」

「夢のオーラかよ!?」

 懐かしいネタだなぁ……

「日本語にするあたり、まぁさすがです。褒めて差し上げます」

 後輩に褒められても嬉しくないよ……と言ったら嘘になるかなテレレ

「調子に乗ったら調子降ろしますよ」

「初めて聞いたよそんな言葉!」

「あら、そうなんですか。私はよく使いますけどね、調子降ろす」

 調子は車かよ……

「ちなみに私なら『なんだよ、そのとあるゲームに登場する一定威力以下の攻撃を無効化するオーラは、しかも登場作品ごとに無力化できる威力変わるから一概に二百とは言えないし! でもそのシリーズでは全作に出てるから、少しでも多くの人に分かるようにしている辺りさすがだね!』と、突っ込みます」

「なんていうか、もう脱帽だよ!」

「まさか先輩、それカツラなんですか? 帽子をかぶっているようには見えませんが」

「表現だよ! カツラじゃないよ! ホントにもう頭が上がらないよ!」

「それは大変ですね、首でもやっちゃったんですか? 病院に行くことをオススメします」

「そういう意味じゃないからね!!」

 こんなに突っ込んだのいつ以来だろう、久しぶりだと思う……。

「まぁ流星になってから話しがよくわからなくなっちゃったんですよね……」

「そ、そうなんだ」

 この子はよくゲームをやるのだろうか……、こんな話をしていると駅に着いた。光木との会話は自分で思っているより楽しかったようで、早く着いた気分だ。


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