エピローグ
春休み最後の日
色々あったけど楽しかった春休みも今日で終わり。春休み初日からいきなり最終日に飛んでるって思う人もいるかもしれないが、時間があったら話そうと思う。
少しあの後の話をすると、悠の記憶はしっかり戻っていた。もちろん記憶をなくしていた時の記憶も残っている。「いくら記憶をなくしてたからって、ファン一号っていうのはひどいよね、ごめん」と謝られたが僕は全く気にしていなかったので「すっごい傷ついたんだよ! 今度お昼ご飯でも一緒にしようよ」と言っておいた。
そんな経緯もあり、今日は悠に昼ご飯に誘われている。作ってくれるらしい、あのリミットブレイクスパゲッティーを食べられると思うと、楽しみで仕方がない、それがなくても彼女とのお昼ご飯は楽しみなのだけど。
チャイムを鳴らすとドアが開く
「あっ、空君! いらっしゃい」
家に上がりリビングへ通されると
「おっ、せんぱーい」
「こんにちは、空輝さん」
ルーナと奏音ちゃんがいた
「なんでお前らがいるんだよっ!」
「だってここワタシの家だし」
ごもっともな事を言う奏音ちゃん
「彼女の手作り昼ご飯を二人で食べるなんて、そんなステキイベントはこの私、ルーナ・ソネモーントが阻止します、全力で阻止しますっ!」
「迷惑なサブキャラだなっ!」
「残念ながら私に攻略ルートはありません、残念でしたねキリッ」
キリッっとした表情でキリッっと言うルーナ
「なに自分でキリッって言っちゃってんだよ!」
「私はメインヒロインですから、ドヤッ!」
「だから何で声に出してんだよっ! ちなみにメインヒロインはただ一人、悠だけだからなっ!」
「わわっ、ボクがメインヒロインだよっ! でも攻略キャラが一人のゲームなんて売れないよね」
「大丈夫、僕が買いまくるからっ!」
ルーナはやれやれといった表情を浮かべ
「それは空輝さんが主人公の場合ですね。ちなみに私が主人公の物語では貴方は私が着替えているときに突然現れる変態キャラです!」
「うっ、あのときは悪かったよっ!」
「前にも言いましたね、大丈夫です。勘違いしてくださいよ? って」
「悪かったって……」
数分後、スパゲッティーが出来たようで、悠がそれを運んでくる
「できたよー」
「それでは」
「「「いただきます」」」
パスタをフォークに巻き、一口……。
例によって口の中に衝撃が走る。だがおかしい、これはおかしい。悠の方を向くと「どう?」といった表情を返された。僕は微笑んでそれに応える。
リミットブレイクスパゲッティーに何かが起こっていた、どうしたらあのスパゲッティーがこうなるのか、不思議でたまらない。散々勿体ぶったが感想を言おう。
――まずい……。
「どうかな? うまくできたと思うんだけど」
僕の笑顔は苦笑へと変わる。
「うん……お、おいしいよ」
僕のその答えにルーナと奏音ちゃんはあり得ないと言った顔をする。
「ねーさん、前作った時と今回、何か違わないか?」
「うん? 作り方は全く一緒だよ、隠し味が使えなかっただけ」
「悠ちゃんは隠し味に何を入れてたんですか?」
悠さんは頬をかきながら苦笑い。
「ちょこっとクラフト使ってたりして……」
「「なるほど」」
僕以外の二人は納得した様子。
「いやぁ~、今クラフト使うと空君が疲れちゃうからさ、本当に必要なときにしか使えないんだ」
「なるほどね、ごめんね悠、僕のために」
「いやいや、ところで実際どう? まずい? 正直に答えてよ」
僕は告げる、正直に
「……これ、まずいよ」
僕が前に目指すと言っていたオタとリア充のハイブリッド、今でもアニメは見るしラノベは読む。彼女ができたことで、女の子の下の名前を呼ぶのも恥ずかしくなくなってきた。これでハイブリッドは完成したと言ってもいいとは思う。
でも、実際になってみて今思うこと。
それはハイブリッドなんてただ自分が日常の生活を、毎日同じような生活の繰り返しをどうにかしたかった言い訳だったんじゃないかなと思う。
あの頃、と言っても数週間前だけど、あの頃の僕はただ退屈な日々に変革を望んでいて、アニメやラノベの中には変革に満ち溢れていて、それに憧れていただけなんだ。
二次元の女の子はみんな可愛くて、どれもみんな僕の理想だった。そんな子たちと一緒に非日常を過ごせるそれはとっても魅力的だ、でもそれはこの世界で起きてることではない。生み出している人がいる、作り話。
もちろんそれが悪いとは言わない、絶対に言わない。なぜならその話しに救われる人がいるからだ。落ち込んでいたときに勇気づけられたりすることもあるだろう。
結論として、ハイブリッド、それは一つの理想形だと思う。オタもリア充も一つの生き方で、間違えでもなければ爆発しろでもない。
でも今は。悠という大切な存在ができた今は。
オタもリア充も関係なく、大切な人を守っていければそれでいいと思うんだ。
悠が、そう思わせてくれるんだ、ケンカをすることもあるだろう、それでも仲直りする自信はある。
――なぜなら悠は世界にたった一人の、僕の彼女だから。
お疲れさまでした! 一応一章、と言うか一巻的な感じで「ツッコミはある日突然に」はおしまいです。読んでくださりありがとうございました!
今のところ考えているのは「ツッコミはある日突然に2」みたいな感じで続きを書こうと思います。
つまんないからやめとけ、とか言わないでくださいw 悲しいですw
ではまた二章で! 一章の感想とかいただけると幸いです! ありがとうございました!