背後には気を付けよう6
ある日、森の中、妹に出会った。
妹の名前は『レコ』自分と同じくエメラルドの髪色、肩くらいまでの長さのセミロングの似合う5歳児。
「ど、どうしてこんな所に」
何故こんな森の奥に妹がいるのか現実を受け入れないまま恐る恐る聞く。
「最近よくいないから後をつけてみた!」
日頃の行いが良くなかった。
子供の火遊びがバレた以上、まだ5歳の妹は嬉々として母に報告してしまう、それだけは阻止しなければ!
馬鹿みたいにいる分身を総動員し、必死こいて考える。
三人寄れば文殊の知恵というが、今は100人以上いる!この文殊の知恵確定ガチャ、外すわけがない!
「お、お姉ちゃんは魔法少女なんだ」
畜生!このガチャはハズレだ!!!
「なにそれ?」
もうやるしかねぇ!行くとこまで行くぞッ!!!
烏合の衆を総動員。前世の記憶から必死に魔法少女物や変身ヒロイン物の知識を掻き集める。
「お母さんには内緒だよ!」
「マジカルストーンリング!」
左手の人差し指にはめた指輪が眩い光を放つ。
指輪から放たれた閃光は次第に身体を包み、衣服が弾け、代わりに真っ白いワンピースに早着替えする。
説明しよう『マジカルストーンリング』とは急遽そこらへんで拾った石を魔法で変質させ指輪にした、魔法少女に変身するのに必須のアイテムという設定なのである。
「変わる私」
分身達の出すカンペを凝視しながら決めポーズも取る。
ロングブーツ、イヤリング、ロンググローブと順に装備されていく。
「変える未来」
髪を黒く染め、更にインナーカラーとして元のエメラルド色に変更して、ティアラを装備。
「交わる世界」
最後に紫を基調とした、動きやすさ重視の短めなスカートのドレスに着替える。
「夢を叶える魔法の光、クロッシングスター!」
・・・決まった。決め台詞もポーズも完璧に決まった。
追撃のエフェクトで更に可愛らしさ、神々しさ、神秘度を高める。
この露骨なまでの可愛らしさ重視の衣装に真似しやすいポーズ、即興で考えたにしては最高の出来じゃないんでしょうか!?
さてさてさて審査員の反応は如何に!?
「お姉ちゃんかわいい!」
よっしゃー!丸め込め!!!