〇〇が欲しいか?9
「暗殺ゥ!?暗殺って誰が!?」
「あいつら」
ヴェルウェルは黒装束の集団を指さす。
「誰を!?」
「私達」
ヴェルウェルがこちらを見つめる。
「どーして!?」
「多分Sランク冒険者を消して国家間のパワーバランスを覆すのが目的」
「えぇ…?」
いやいや、いくらなんでもSランク冒険者1人いなくなるだけで国のパワーバランスが変わるなんてそんなことあるかぁ!?
あ、いやでもあの何億もするデタラメなポーチが国から無償で提供されるんだもんな。
……もしかして、もしかする?
「いやでもどうやって私達を倒すつもりなんですか?」
「アイツらも元Sランク、Aランクの闇ギルドの連中」
「闇ギルド?」
「冒険者ギルドから追放された犯罪者集団の集まり」
「なるほど」
これは使える!
まさかデート初日にヒロインを守って惚れられるイベントが向こうから来るなんて!今日は良いこと尽くしだ。
フュリアは辺りを見渡すとヴェルウェルとお喋りしている間に10人の暗殺者達はフュリア達を包囲し終えていた。
「…これは少し不味いかな」
ヴェルウェルは周囲を一瞥し、相手との戦力差を見極めていた。
幾ら自分が他者を圧倒する実力を持ったSランクとはいえ、10人もの元Sランク、Aランクを相手に無事に勝つことは流石に厳しい。
更に彼らはヴェルウェルを確実に殺せると判断して襲い掛かって来た訳だから勝ちの目は万に一つとしてないだろう。
だけどそれはヴェルウェル1人だけの場合だ。
ここには先程から規格外の魔法を連発している少女、フュリアがいる。
フュリアはギルドに入って一週間も経っておらず、私の対策は出来たとしてもフュリアの対策なんて出来る訳がない。
フュリアの情報なんて『最速でBランクに上がった新人』くらいなものだろう。
彼女の存在は彼ら暗殺者にとっても想定外、そして私にとって規格外な少女。
フュリアがいればこの危機的状況でも何とかなるかもしれない。
「どうするフュリア?」
ヴェルウェルは隣にいる少女に話しかける。
「ヴェルウェルさんは私が守ります!」
フュリアは格好よく啖呵を切るとヴェルウェルとフュリアの前にダンジョン攻略中によく見た無数の白銀の鎧の騎士たちが円陣を組んで現れた。
「行け~!」
フュリアが号令を出すと円陣を組んでいた鎧たちが暗殺者目掛け突撃する。
暗殺者達は突然の出来事に戸惑いつつも迎撃しようとする。
「第二陣突撃~」
「へぇ!?」
フュリアの突撃命令を聞いてヴェルウェルが素っ頓狂な声を上げる。
同時にヴェルウェルとフュリアの前から再度、白銀の鎧たちが円陣を組んで現れ突撃する。
「第三陣攻撃~!」
またまた鎧たちが現れ突撃する。
「ちょっと待ってフュリア!」
「はい?」
「こうなる気はしてたけど、出来るなら奴らを生かして捕らえて!」
「わっかりました!」
斯くして……ヴェルウェル殺害の為に対策を万全に整えた上で数の暴力で殺そうとした元冒険者の暗殺者達は自分たち数百倍の数に磨り潰されたのだった。
「ちゃんと殺さずに捕らえました!」
「流石」
襲ってきた暗殺者達を数の暴力で迎撃し、1人につき5体の鎧たちが暗殺者を取り押さえていた。
取り押さえられた暗殺者達から怒りと困惑の声が吹き上がる。
「な、何なんだお前は!?」
「こんな奴がいるなんて何も聞いてないぞ!!」
「ク、クソガキがぁ!!」
「それで、この人達どうするんですか?」
「こうする」
ヴェルウェルは取り押さえられた暗殺者達の内の1人に近づき、右手で後頭部に触る。
すると先程まで罵詈雑言やら呻き声を上げていた暗殺者が嘘みたいに大人しくなった。
……というより一切動かなくなった。
ヴェルウェルは残りの暗殺者達にも触り、全員が動かなくなった。
「まさか……こ、ころ……っ」
「殺してない、私の特殊能力」
「おおー」
出た!特殊能力。
「触れたものの時間を止める『完全停止』の能力」
なんか凄そう。
「これで動くことも思考することも出来ない。そして」
ヴェルウェルは床に転がってる暗殺者の頭部に右人差し指からビームを撃ち放った。
「うおわっ!?」
「何人たりとも傷つけることは出来ない」
ヴェルウェルの放ったビームによって頭部が撃ち抜かれ、床に血の池が広がっているかと思いきや、そんなことはなく、着ていた黒フードこそ焼失しているが暗殺者の身体には傷一つ付いていなかった。
「おおー、すごい。これって武器や防具に使えば絶対に壊れないし、敵に触れさえすればその瞬間に勝ちが確定する最強の能力じゃないですか!?」
「私が触ればね」
「ん?…あ~」
ヴェルウェルの含みを持たせた発言に、俺はちょろっと思考を巡らせるとヴェルウェルの言いたいことがなんとなく分かった。
「戦闘に於いて遠距離での得意な魔法を使った攻撃を捨ててまで白兵戦の間合いに自分から入って触りに行く?そんなことせずに撃った方が早いよね」
そういいながらヴェルウェルは暗殺者に向けてまたビームを撃った。
今度は衣服だけが燃え、全裸になっていた。
確かに魔法使いの有利な距離を捨ててまで、接近戦闘の達人たちの間合いで戦っても触る間もなく切り捨てられるだけだよなぁ。
「この特殊能力が魔法使いの私ではなく近接職にあったら話は違ったんだろうけど……まあそれは置いといて、これでどんなに乱暴に扱っても問題ない捕虜の出来上がり。フュリア、外まで運ぶの手伝って」
「わかりました」
俺はヴェルウェルの特殊能力によって固められてしまった暗殺者兼捕虜達を分身達が操作する鎧たちに運ばせ、ダンジョンを後にした。
……
…………
「わーお」
ダンジョンから出ると、近くの街で見かけた冒険者達2~30人に出待ちされていた。
「お出迎えありがとうございます」
暗殺者を華麗に撃退した俺達をわざわざお出迎えとは、気分良いぜ~。
そ・れ・に、こんな大人数に出迎えられたのは生まれて初めてだ。最高かもしれん。
「…フュリア、こいつらは私達を殺しに来た暗殺者」
「……も、もちろん知っていますよ」
俺は咄嗟に誤魔化しながら一歩前に出る。
「それで私達に何の用ですか?大人しく自首しに来たんですか?それとも……わざわざ殺されに来たんですか?」
「どちらも違いますよ」
冒険者達の中から背の高い黒のスーツの男が一人、一歩前に出て来た。
赤い短髪にスーツ越しでも分かる筋肉質な身体を持った男はニヤニヤ笑いながら言葉を続ける。
「私達は君を勧誘しに来たんですから」
「勧誘」
「正直驚きましたよ、まさかこんな子供にうちの先鋭部隊やられるなんて。……ですが素晴らしい!君のその類い稀なる力は闇ギルドでこそ輝く!」
急に何言ってんだコイツ。
「……この人は何を言っているんですか?」
「さあ?」
あまりにも飛躍した発言にヴェルウェルも一緒に首を傾げているが、そんなのお構いなしに男は話し続ける。
「表社会で冒険者として夢を追い、人達の期待に応え、使い潰され、その力を腐らせるよりも、他者の夢を踏みにじり、奪い、壊す。何者にも縛られずに自由に生きれる闇ギルドのほうが君の居場所には相応しい!」
「はあ」
「なに、人間は常に何かを壊し、奪いながら生きている生き物だ、気にする必要はない。ただ奪う対象が家畜やモンスターなどではなく、同じ人間相手というだけさ」
「はあ」
「……だがこのままでは君は私達の仲間になることは出来ない。君は我々の仕事を妨害してしまったし、何より入団には実績が必要だ」
「いや別に仲間になる気なんて」
「ヴェルウェルを殺せ。それが出来れば入団を」
「はぁあああああああああああああああああああああああああああ??????」
「認めよう」
怒りのあまり体外に銀色の魔力が漏れ出し、白く長い髪が靡く。
このお方は、なーにを言ってくれてるんですかね?
俺にぃ?ヴェルウェルを?俺の女を殺せと?
はあ?……はぁ!?……ああ”!?!?
「フュ、フュリア?」
だっ……!黙って聞いていれば調子に乗りやがってぇ!付け上がりやがってぇ!ふざけやがってぇ!
吊り橋効果イベントを持ってきた事に免じて多少の愚行は目を瞑ってやろうと思ったが、もう我慢の限界だ!
こいつらは生かしておけぬ敵、俺とヴェルウェルのイチャラブを妨害する敵!!
「それと君達はこの街で食事をしたことを忘れていないか?あの食事には実は毒が」
「そんなの食べる前に無効化した!」
「……え、いつ!?それらしい動作なんて私見てないけど!?」
ヴェルウェルは驚きの声を上げている。
そりゃあ毒なんて異世界に来たら真っ先に警戒しますよ。
ちゃんと真っ先に毒や状態異常の耐性は獲得しているし、解毒や状態異常回復の魔法も習得している。
食べる前に食事に解毒魔法を掛けるのなんて癖になってるんだから。
それに昆虫食ならぬモンスター食なんて何かありそうだし。
……あっ、しまった!『この食事には毒が入ってます』とか言ってから解毒しときゃあヴェルウェルの好感度稼げたんじゃないのか!?
お、俺がこんなミスを犯すなんて……こ、これも全部アイツらのせいだ…!!
「入っていてね、その解毒剤を私が持っている。これを入団祝いに君にプレゼントしよう」
未だに絶対的優位に立っていると思っている赤髪の男は、したり顔で話し続けている。
「おいエクエジス、あのガキ、毒を無効化したとか言ってるぞ」
仲間の男が赤髪の男、エクエジスに聞いた。
「…ふん、そんな訳がない。あの食事に含まれているのは毒ではなくSランク呪術士の呪いがかけてある。もし仲間に入っても呪いの効力で奴隷同然に扱えるようにな」
「ならその解毒剤ってのは…」
「ただの色水だ」
エクエジスはフュリア達に聞こえないように答えた。
「それでどうする?ヴェルウェルを殺して仲間に入るか……」
「殺させねーよ」
『お、お前を殺すに決まってるだろうが!!』という俺の怒りの叫びは突如乱入してきた光るイケメン、クギアによってキャンセルされてしまった。
「わりぃヴェルウェル遅くなった。怪我は……ないみたいだな」
『光輝く冒険者』を発動させて、身体を発光させながら現れたクギアは闇ギルド連中に背中を向けてヴェルウェルとフュリアの安否を確認する。
「まあね」
「フュリアも二人とも無事でよかった」
「当然です」
俺はお嬢様キャラらしく、すまし顔で答える。
ヴェルウェルは直前までのフュリアの感情の起伏の激しさにちょっと引いていた。
「……ミストルクは?」
「後で来る、俺だけ先行して来たんだ」
「ふーん、それにしては遅かったね」
「これでも結構飛ばして来たんだぜ?ここまで来るのに20分もかかってないと思うけどなぁ……」
「キ、キサマは!『瞬光のクギア』!!」
クギアとヴェルウェルが呑気に話しているとクギアの姿を見たエクエジスが血相を変えて叫び、後ろにいる他の闇ギルドの刺客達も狼狽えていた。
「…フュリア、ここは俺に任せてくれないか?」
「え?」
おいおいおい、女の子にいい所を見せられる、こんな美味しいシチュエーションを譲れだとぉ?
そんなのハーレムを目指す者として当然譲る事は出来ない……のだがクギアは仲間であるヴェルウェルを助ける為に駆けつけて来た。
それならば彼らとはまだ付き合って日の浅い自分が出しゃばるべきではないし、彼に花を持たせるべきだろう。
「いいですよ、カッコいいところ見せて下さい」
「オッケー、任せろ!」
クギアはフュリアとヴェルウェルに向かってサムズアップし、エクエジス達の方へ向き直る。
「って訳でお前らの相手は俺だ」
「奴相手に出し惜しみはするな!殺せッ!!」
エクエジスの合図で闇ギルドの連中が一斉にクギアに襲い掛かる。
先程まで狼狽していたのが噓のように洗礼された無駄のない動きで目の前のクギアに迫る。
……だが彼らの視界から一瞬にしてクギアの姿が消えた。
「元Sランクのエクエジスねぇ」
先程までヴェルウェル達の近くにいたクギアはいつの間にかエクエジスの背後にいた。エクエジス以外の全ての敵を剣で斬り伏せて。
「くッ!」
エクエジスは慌てて二本の短剣を握りしめ、背後を振り返りざまにクギアに斬りかかるが、その攻撃は見切られ虚しく空を切る。
「お前の事、ミストルクに聞いたぜ。なんでもダンジョン内で冒険者を殺して手に入れた武器や防具でSランクに上り詰めて今では闇ギルドの幹部なんだって?」
「それがどうした!?」
エクエジスは目前のクギアを何度も何度も滅多切りにする。だがその攻撃も全て紙一重で避けられダメージを与えることが出来ない。
「んな!?」
「やっぱこの程度だよな」
鈍い音を立てて地面に何かが落ちた。
それはクギアによって斬り落とされたエクエジスの両手だった。
「いぎゃあああああああ!?手、俺の手がぁぁぁ!!」
絶叫と共にエクエジスの手首から止めどなく血が流れ落ちる。
「クソッ!クソクソクソ!!」
「たかが強盗の分際で俺に勝てる訳ないだろ」
クギアは剣先をエクエジスに突きつける。
最早、誰が見ても勝敗は明らか、クギアの圧勝だ。
いやぁでも良いなぁ、俺もこんな感じにカッコよく大立ち回りしてみたいよ。
「ま、待って!俺を殺せば2人にかけた呪いが解けなくなるぞ!!」
「んあ?」
エクエジスが急に命乞いを始め、クギアは間の抜けた返事をする。
「あれ、さっき毒って言ってなかった?」
命乞いを聞いたヴェルウェルが思わず聞き返す。
「いやあれは嘘で、本当は毒じゃなくて呪いで……!」
「だってフュリア」
「いや無効化しましたけど」
食べる前にちょちょいと。
「だから毒じゃなくて呪いだって言ってるだろ!!」
「ん?ああ呪いも一緒に無効化しました」
「は、はあああああ?」
「いや、だって面倒なので……」
「えぇ……」
フュリア以外の三人が驚いているがこれに関しては俺は悪くない!
そもそも毒を解除して呪いも解呪してって複数の状態異常を一つ一つ解除するなんて、そんなのゲームでも面倒じゃん?
そんなのまとめて解除出来る魔法は絶対覚えるに決まってるでしょ。
「…んまぁいいや」
未だ呆気にとられるエクエジスとヴェルウェルをよそに、クギアはエクエジスの首を斬り飛ばした。
「さっさと帰ろうぜ、もし解呪出来てなくてもミストルクの伝手で何とかなるだろ」
「この馬鹿!」
ヴェルウェルが放った細めのビームがクギアの尻に直撃する。
「痛ッッッてぇぇぇぇ!!!」
「幹部クラスを殺してどうするの?こいつには情報を吐かせないといけないのに」
「あっはい、そうでした」
「はぁ…全く」
ヴェルウェルが転がってるエクエジスの身体と頭を触る。
すると切り口から流れ出ていた血液がヴェルウェルの特殊能力によって時間を止めたようにピタッと止まる。
「これ後で、くっつくかな?」
「まあ何とかなるんじゃね?」
「フュリア」
「はい」
「倒れてる奴らも持って帰るからよろしくね」
「分かりました」
俺は追加で鎧集団を召喚して地面に転がってる2~30人程の闇ギルドの構成員達を回収する。
「すんげぇ~、もう一個小隊じゃねーか」
「ダンジョンでも大活躍だった。ダンジョン攻略にモンスター討伐、そしてこいつらの無力化も」
ヴェルウェルは鎧達に抱えられたダンジョン内で襲ってきた連中に視線を向ける。
「造作もないことです」
俺はすまし顔で答える。
ここでガツガツ自己顕示欲を出さないのがモテる男の立ち回りだ。
「……ん?ってあれ?もしかして俺、間に合ってない?」
「間に合ってない」
「マジかよ~」
クギアは大袈裟にため息をついて落ち込む。
「それに今回の騒動、フュリアだけでも何とかなったと思うし」
「ええ、まあそうですね」
「マジぃ?それならマジで俺の来た意味無くない?」
「そう」
「はぁ~~~~あ」
先程は冗談めかしてため息をついていたけど、今度は心底落ち込んでいるみたいだ。
うーん、このままじゃクギアくんが可哀想だし、ここは一つフォローするか。
「そんなことないありませんよ。先程の戦闘、圧倒的なスピードで敵を圧倒し、卓越した剣技で蹂躙する姿、とても格好良かったです」
うむ、完璧なフォローだ。
「んまぁ?それほどでも~あるけど~?いやぁ実は結構俺ってファンもいて~、ファンクラブなんかもあったりして~」
「この前、フュリアに負けたけどね」
「……これでも王都じゃ1、2を争う実力者で対人戦なんかじゃあ~」
「この前、フュリアに負けたけどね」
「うっさいぞ外野!」
クギアの抗議も気にせず、ヴェルウェルはフュリアに語りかける。
「フュリア」
「はい?」
「フュリアは今回の活躍でSランクに昇格すると思う。いやさせる」
「えぇ?この間Bランクになったばかりですよ?」
「まあこれだけの力、低ランクで腐らせるには惜しいからな」
「そうなればクギアなんか目じゃないほどファンが出来る」
「そ、そうなんですか?」
「うん」
「闇ギルドのメンバーを複数人捕縛、んで史上最速でSランクに昇格となりゃ話題性抜群で一躍有名人!きっと男女問わず人気出るだろうぜ」
「おぉ~!」
おいおいおい俺にファンってもうサインとか考えないといけない時期ィ~~~?くぅ~どんなサインにしようか悩むぜ~~~。
「それに今はまだ子供だけどフュリアって整った顔してるし、後5~6年もすれば間違いなくヴェルウェルみたいな美人になるだろうな。そうなったら男共は放っておかないだろうぜ」
「……ん?」
「そうかもね。私も男だったらフュリアの事、異性として好きになってたかも」
私も男だったらフュリアの事、異性として好きになってたかも
異性として好きになってたかも
異性として
異性
「ま、何にせよ、こんなところで立ち話もなんだし、街でミストルク達の援軍が来るまで待とうぜ」
「そうね。フュリア、今日はずっと活躍して疲れたでしょ?街に戻って一息つこうか?……フュリア?」
俺は当たり前のことを忘れていた。
今の俺は女……。
そう女だ。女なんだよ、男じゃない。
「おい!フュリアが泡吹いて倒れたぞ!?」
「えぇ!!そんなに疲れてたの!?」
……
…………
後日、実家にて
「ねぇレコ」
「なーにお姉ちゃん?」
「もし、お姉ちゃんが男になったら……どう?」
「え、やだ」
「だよねぇ……」
「お母さんも嫌だよね?」
「そうねぇ~……うん、やっぱりユリィには、こっちの可愛い服も似合うわね」
「…出来た!どうかなお姉ちゃん?」
「上手上手」
「やった!」
俺は母によって着せ替え人形にされ、更に妹には髪型を弄られ、ツインテールにされていた。
母も妹も俺が男になるのを嫌う以上、魔法で男に戻るの事は出来ない。
……なら不可抗力だ、もう不可抗力しかない!
敵の攻撃を受けるでも、未知の魔道具でもなんでもいい!!
ち、ちんちんが欲しいッ!!
俺はちんちんが欲しいッ!!!
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闇ギルド幹部エクエジス、王都に輸送後、治癒魔法によって首がくっつき無事に捕虜になる。
フュリア、史上最速でSランクに昇格。




