〇〇が欲しいか?8
スケルトンを粉も残らず粉砕し意気揚々と攻略を再開したフュリア。
だが攻略を進めていると当然出会すものがある。
それはダンジョン名物の分かれ道。今回は左右に道が分かれていた。
さてどちらに進むべきか・・・。
これが一人用のゲームなら例え次の階層へ行ける当たりの道でも引き返してマップ全てを隈なく探索している所なんだけど、実際に歩いてダンジョン攻略となると話は変わって来る。
というか歩きたくない!!
どうにかして最短で最高効率なルートが知りたい。
それとなくヴェルウェルに聞くか。
「ヴェルウェルさんは過去に彷徨いの伏魔殿を攻略したことがありますか?」
「ある。けど忘れた」
ダメだった。
仕方ない、人海戦術だ。
以前、昇格試験で出したフルプレートくんを大量に召喚、秘密基地にいる暇そうな分身達に遠隔操作させる。
こいつらに探索させてダンジョンのマッピングが終わり次第、ゆっくりと正解のルートを進めばいいって寸法よぉ!さあ行けぃ!!
ガシャンガシャンと音を立てながらフルプレートたちは攻略を開始した。
「これで20分もあれば次の階層までの道が分かります」
我ながら完璧な作戦だ。
「・・・階層ボスはどうする?」
階層ボスを倒さないと次に進めないパターンね。それならそれで問題なし。
「二人で倒しましょうか」
ボス戦はやっぱり倒すところ見ててほしいよね。
カッコいいところ見せましょ。
マッピングが終わるまでの間、ソファーをポンっと呼び出して寛いで待っていると探索中の鎧部隊が戦利品を持って徐々に帰って来た。
鎧たちは持ち帰った戦利品をヴェルウェルのポーチにドンドン流し込んでいく。
また鎧たちの攻略情報を元に、白紙の紙とペンを召喚して魔法でペンを操りダンジョンの地図を書き込ませ完成させていく。
戦利品の収納作業が終わった鎧から順に未だマッピング中の前線部隊達と合流しに戻っていく。
そんな光景を眺めること10分、分身達が張り切り過ぎたのか予定より早く第一層のマッピングが終わった。
「第一層の地図が完成しました。これでボス部屋まで迷わずに行けます」
「・・・うん」
「それではボス部屋まで行きましょうか」
「・・・そうだね」
鎧たちに道案内させながらボス部屋まで歩く。
暫く歩くと開けた場所に出た。
鎧たちのジェスチャーを見るにここがボス部屋らしい。
ふむ、マッピングついでに敵を掃討したお陰で敵とエンカウントすることなく楽にボス部屋まで来ることが出来た。
楽だし次の階層もこれで行くかぁ。
さて、まあそんな事よりボス戦ですよ。
この世界に転生して、初めての、ボス戦!んもうワクワクしちゃう。
どうやって倒そうか?どうやってカッコよく戦うか?一発で女の子を恋の虜にするにはどうすればいいか?
そんなことを脳内でグルグル考えていると目の前から虫の羽音が聞こえた。
瞬間、ヴェルウェルが真っ赤な極太ビームを発射し、俺の横を掠めた。
音を発していたものは一瞬で閃光に飲まれ、消し炭すら残さず蒸発した。
少しの静寂の後、ヴェルウェルが口を開く。
「・・・次行こうか」
「今のって・・・」
「私の得意技。属性を乗せた魔力を放出しただけ」
ビームじゃん!ずるいよぉ!健全な男子なら一度は憧れるビームをこんな雑に撃つなんて!
俺もいつ出そうか機会をうかがってたのに!!
しかしまずいぞ!今後のビームの撃ち所も考えないといけないけど、それよりもビームよりインパクトのあるカッコいい攻撃方法じゃないとモテないんじゃないの!?
ボス戦は後9回しかない、なんとかして必殺技を考えないと!!
分身達にもカッコいい必殺技を考えさせながら第二層へ進んだ。
第二層以降も鎧軍団にマッピングさせ、サクサクっとボス戦まで来た。
今度のボスは巨大なハルバートを持った、やたらデカい黒のミノタウロスが一体だけいた。
「フュリア」
「はい?」
「出来るだけ傷つけずに倒して、高く売れるから」
「わかりました」
巨大な剣を生成し高速で投射する。
ミノタウロスは反応しきれず頭と体が泣き別れになり、頭部を失った体はゆっくりと背中から地面に倒れた。
「・・・もう流石としか言いようがない」
「そうですか?」
ヴェルウェルはミノタウロスに近づき、ポーチをミノタウロスの足を近づける。
すると、どう見ても入りそうにないミノタウロスの巨体がスルスルとポーチに吸い込まれていく。
「もうなんでもありですねソレ」
「フュリアがそれ言う?」
続いてミノタウロスの頭と持っていたハルバートも収納する。
「高く売れそうな奴は事前に言うから、その時はよろしく」
「わかりました」
第二層ボスも瞬殺し続いて第三層に向かう。
三層ボスは大きな肉の塊に巨大な眼球が真ん中に一つ、その身体全体に小さな眼が大量に生えている。見たまんま眼球のモンスターだった。
無駄にある目に何かしらあるのだろうが砂嵐を起こして奴にぶつけたら簡単に無効化出来てしまった。
涙を流し悶え苦しむ目玉にヴェルウェルがビームで身体を撃ち抜き簡単に決着がついてしまった。
その後のボス戦も瞬殺していき気が付けば10層、最終階層まで来てしまった。
最後のボスは一言で言えばキメラだった。
ミノタウロスの筋肉隆々とした身体。
鱗に覆われた巨大な竜の尻尾。
背中から生えた大きな怪鳥の翼。
頭は金属製のゴーレムの頭部がくっついている。
「・・・こんなモンスター見たことない」
ヴェルウェルはそう言った。俺もそう思う。
「そうですね。こんな不細工見たことがない」
「・・・え?いや、そういう意味じゃなくて」
フュリアの言葉を理解しているのか、発言とほぼ同時にフュリア目掛け突っ込んで来た。
目の鼻の先にまでフュリアに近づいたキメラ、だがフュリアに触れることは敵わない。
キメラはフュリアの召喚したキメラよりも更に巨大な銀の右手のガントレットに片手で取り押さえられ地面に突っ伏していた。
「誰が作ったのかは知りませんがセンスの欠片もない」
うめき声を上げながら踠いたが突如ガントレットから発せられた白銀の稲妻によって一瞬で無力化され動かなくなった。
「これでダンジョン攻略完了、ですよね?」
「え、あ、そうだね」
少し味気なかったがダンジョン攻略完了!
まあ最後はカッコよく決めれたんじゃないか?
これで好感度爆上がり、運が良ければフラグくらいは立ったんじゃないか?今後が楽しみだぜ。
さてさてさーて、最後のボスを倒したんだからあるはずだよな?攻略報酬、宝箱、ドロップアイテム!!
急に出て来るタイプかな?それとも奥に行けばあるのかな?
金目の物を探して辺りをギョロギョロ見渡しているとカーンっとガントレットが何かを弾いたような音が聞こえた。
「ん?」
音がした方向をよく見るとどうやらガントレットの『あって良かった自動防御』機能が発動したらしく、フュリアとヴェルウェルを守るようにガントレットが横に倒れていた。
更にガントレットのその奥には黒マントに黒フードの人間が10人、徐々に自分たちを囲うように動いていた。
「これはこれは」
分かっちゃいましたよ、この悠太郎くんは。
近くにいたヴェルウェルに目配せすると彼女も静かに頷く。
ヴェルウェルも分かっているみたいだ。
そうこれはアレですよ。
「横取り」
「暗殺」
「暗殺ぅ~!?」




