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第九話 サボりと淑女の日

 朝だ。アンジェは、動けない。

 昨日の稽古で、再び筋肉痛を訴えていた。(まぁ、アンジェだな。何で俺まで筋肉痛で動けないとは。まだ、5歳の孅い(かよわい)女の子でしてよ。余り無理は出来ませんわ。意気揚々と稽古してたくせに、また巻き込みやがって!体は1つなのだから、仕方ないでしょ。しょうもない事で、やらかすアンジェに理不尽であると言いたい。)

 ミリーが、部屋へやって来た。

「アンジェ様、おはようございます。朝は、食べれそうですか?」「無理!」即答である。サボる気満々なのが、痛々しい。

「ミリー、軽く果物でもないかしら?今日は、いえ当分は動けそうにありませんわ。」(嘘である!アンジェ、そんなバレバレな事を、後悔するぞ。)

 ミリーから、

「そうでしたか、仕方ありませんね。今、果物を持ってまいりますね。でも、当分となりますと、街へ行くのはずっと先になりそうですね!」と不適な笑みを見せながら部屋を後にする。

「あっ、ミリー待って〜。」手遅れである。(ほら、見たことか!もう、残念アンジェじゃなくて、やれば出来る子アンジェに変わって見られている事も多いからな。アニーもミリーも飴と鞭の使い方が上手になって来たな。で、どうするのさ。やれば良いんでしょ!やれば!)

『ガチャ』ミリーが戻ってきたら林檎みたいな物を切って皿に盛り付けて持っていた。

「美味しそうね。ミリーありがと〜う。」お皿の林檎?林檎でいいや、を取ろうと手を伸ばすアンジェから、皿が遠くなる。

「アンジェ様、それで本日はお加減は如何ですか?」ニコッと笑うミリー。

「おひる・お昼から頑張るから。朝は痛い所のマッサージを手伝ってくれる。お願いよ〜。」アンジェは、ミリーの手に落ちた。


「ウヒ〜、ソコソコ。ん〜、くすぐったい。」アンジェは、奇声を上げながら、緩む顔が気持ち悪い。

「アンジェ様、もう治っていらっしゃるのでわ?顔が、フニャけてますよ。」ミリーの手が止まると、アンジェは、

「あっ、あたたた。まだ、見たい・ぎゃ〜。」ミリー、力いっぱい足を揉むと痛そうに叫ぶアンジェ。更に、力を込めて揉むとミリー、

「な、な、治り、ま、した。」アンジェはまたも、ミリーの手に落ちた。


「お茶で休息を取ってから、ダンスのレッスンですね。」ミリーの予定に

「街は?」アンジェが、やる気を出して言ったが。

「明日ですね。もう、時間も押してますので、どうにもならないかと!」と返されて、

「ブーブー、折角やる気になってるのに!」と不満を表現してみたが、ミリーから、

「アンジェ様、朝から寝て、マッサージでサボり、今はお茶ですよ!何処にやる気が見えるのですか?」あれ、あれあれ、何もしてないや。(いやいや、覚えてないの?サボろうと全力で言い訳して、怒られて。イヤイヤ、やる気はあったのよ!何処に!ここにっ!見えない何かがあるのかって、おぉ見えた!まな板の胸、まだおしりにアザがあ。ゆ〜な〜!また、言ったわね。個人情報保護法で、死刑よ!ならねーよ。自分の体がのことを言って何が悪い。そもそも、今は個人情報保護なんて物が無いだろ!マナーを持って証明とか、サボりがそうなのか?残念だ、期待して見ていたのに。『グスッ』何泣いてるのよ!もう、謝るから、ちゃんとしてみせるから見ていてね。)

 ミリーが、

「アンジェ様、楽しみにしていらっしゃった事は分かっておりますが、泣くほど思われるなんて。」

 アンジェは、

「あれっ、本当に涙が?ミリー、心配しないでくださいね。さぁ、そろそろレッスンにしましょう。明日の為に!」(一言多いんだよ。)


 レッスン室に入ると、カルビンが待っていた。

「アンジェ様、これからは、私と踊っていただきます。」

「ええ、宜しくお願いするわ。」

 スッテプは上々である。カルビンの言う通りにすれば、足を踏むこともない。

 1人で、ステップの練習をして、カルビンを相手に、踊って見ての繰り返し。

 先に、根を上げたのはカルビンの方だった。

「アンジェ様、覚えが早く素晴らしいことです。今日は、これくらいで終わりと致しましょう。」

 アンジェも、

「ふー、と息をつくと、私の勝ちね!」と言うと

「勝ち負けではありませんよ。今日は、基礎のステップだけです。」とミリーに訂正された。

「ぶ〜ぶ〜」

 と不満を漏らすアンジェだったが、稽古と違い、運動をした汗に、心地よい疲れを感じる。


「ミリー、私達も行きましょう。ごっはん〜ごっはん〜、何が出るのかなぁ?たっくさん食べたい、大盛り食べたい。なにがでる〜。」

「アンジェ様、変な歌を歌わないで下さいませ。他の使用人たちから、変な目で見られて恥ずかしいのですが。」肩をすぼめながら、歩くミリーが赤面して俯いていた。

 アンジェは、

「ミリー、気にしなーい気にしなーい、今の心の気持ちを歌っただけじゃない。」

「ステフ様が、お聞きになったらどうなさいます。きっと、お叱りを受けますよ。」と諌められた時には、遅かった!後ろから、

「アンジェ、はしたない。何を歌っているのですか?少し、目を離すとこれだわ。」おぉ、お母様の登場だ。

 アンジェは、

「お母様、ご機嫌よう。」挨拶をしたが、

「わたくしは、たった今、ご機嫌が悪くなったわ。」とじ〜っとアンジェを見つめる。怯むミリーに、アンジェは前にでて、

「お母様、楽しいお食事の事を気分が良くて歌ってしまっただけですわ。エヘッ」(またまた、一言多い。何その、エヘッて。)

「アンジェ、お戯れも程々になさい。」ステフの目が笑ってない。(何か、今日は調子が悪いわね。皆が、厳しいと思わない?心当たりは無いのか。無いわね。ある意味すごいな、朝からの事をすっかり忘れてやがる。え〜、でも取り返したじゃないの。アンジェよ、言葉の端々に余計な一言が多いし、あの歌は俺も恥ずい。少し前の残念アンジェを思い出すくらいに酷かった。)アンジェは、余りの酷評に

「お母様、ロッテもミリーも、ごめんなさい。少し、気が緩みすぎたようでしたわ。」皆の顔に、笑顔が戻ると朝のサボりをボカシ、1日の事を、話しながら食堂へ向かった。


「もう、む〜り〜。お腹が破裂しそうだわ。」部屋に戻るとお腹を出して服を緩める。(オッサンみたいだな。いつもいつも、詰め込み過ぎなんだよ!オッサンに言われたくないわね。誰がオッサンやねん!お兄様と呼びなさい!いやいや、(にい)おらんし、意味分からんわ!おっ、わを付けると女の子かと思えば、関西弁でも使うやん。何の話なの?もう、静かにね。お風呂入って寝るから。)


 その頃、執務室ではエドとステフにカルビンとマクミランとロッテ、アニー、ミリーが揃っていた。

「その後の様は、どうなっている。」エドの問に、報告が行われた。

 ん~と聞き入っていたエドは、「一般的な常識は、あるようだが現状でも領内では問題ないようだな。剣や体術も基本は、出来てると。マクミランの見立てでは、力と持久力だけか問題は。啓示が授かれば団長クラスではないか。学問も基本は、問題ない。本当に、5歳なのか!」

 カルビンが、

「もしかして、既に啓示を受けているのでは?」

 ステフは、

「そんな事、あるのでしょうか?」ロッテが、

「ですが、お教えしてない事が出来るのは確かです。」

 アニーから、

「後は、貴族としてのマナーと王国や近隣の国に関することくらいです。」

 そしてミリーも、

「時折、独り言だと思っていましたが、会話をされているように、呟く所もあります。」

「だが、相変わらずお調子者でもあるな。クククッ。」エドの言葉に、部屋中で笑い声とまだ5歳の子供なのだと改めて認識しあった。

「今まで通りだが、足りない所を教育していくように、急かす必要はない。」エドが締めて解散する。

 マクミランとアニーが

「エド様」と目が会うとマクミランが頷き、

「エド様、お願いがあります。」

 アニーも、

「突然に、申し訳ありません。私からもお願いがあります。マクミラン団長殿と同じと思いますが。」

 エドは、

「言ってみるがよい。」と2人の話に耳を傾けた。


いつも、読んで頂きありがとうございます(*´∀`)

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