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第六十七話 ミリーとモーラの憂鬱2

「そろそろ、もどりませんと。」


 急なつめ込みに、追いつかないわ。

 私の、頭からは、煙が立ち上りそうなほど、覚えようとしたけれど、入りきれない程に容量が少ない事が分かった。

「大丈夫かしら。正直に自信が無いのだけれど。」


「分かりまりました。今日は、名前で分けましょう。曾祖母(そうそぼ)様も、ひいおばあ様よりもいいかもしれません。」


「ミリーの案で良いとして、先ず私たちの謝罪が受け入れられるかが問題よ。

 アンジェリカ様、サポートをしますから、心からの謝罪をお願いします。

 私たちが、そのあとに続きます。」


「わたしは、何をしたらいいの?」


「エルは、黙っていて大丈夫よ。

 私たちが、謝罪の後に合わせて、動作を合わせてね。

 今は、覚えれるだけ覚えて、これが侍女の役目なのだから。」


「急ぎましょう。これ以上、お待たせさせるわけにはいけません。」



 私たちは、慌ただしく、部屋をでる。




「イザベラおばあ様。

 先程は大変お見苦しい所をお見せし、申し訳ございませんでした。

 恐縮ながら、席に戻らせていただきます。」


「マリアンヌおばあ様。

 先程は大変お見苦しい所をお見せし、申し訳ございませんでした。

 恐縮ながら、席に戻らせていただきます。」


 イザベラは、口元だけで静かに微笑むと、手のひらを少しだけ上に向け、優しく振る。

 もう良いと伝えて貰えたようだ。


 マリアンヌも、イザベラの態度を確認すると、ホッとしたように、小さくも明確に頷き、微笑みで迎えてくれた。


 大丈夫の合図だわ。

 私は、ホッとすると、ミリーに視線を移す。


「イザベラおばあさま、マリアンヌおばあさま。

 アンジェリカ様の気分も落ち着かれました。皆様の御前に戻るお許しをいただき、感謝、申し上げます。お騒がせ致しました。」


 ミリーとモーラが、謝罪をして、エルも深く頭を下げる。


 イザベラは、少しの間をおいて話しを始めた。

「アンジェリカ、良い侍女に恵まれましたね。

 何かあったときは、侍女に力をかりなさい。貴女は、1年も遅れているのですから、まだまだ時間も必要なのでしょう。

 それに、今なら間に合うのよ。

 大勢の方々の前でなら、エドワードも貴女も困ることになるのよ。ミリーネ、モーラは専属侍女から外されてしまうでしょう。」


「そうだわ。お義母(おかあ)様、今日は社交の練習としては、いかがでしょう。

 この様な機会も、殆ど無かったでしょうから。」

 マリアンヌから、更に助け舟がでると、イザベラもそれでいいと返事を貰い、空気も軽くなったのが分かった。


「これからは、私たちもお相手いたします。

 早く、マスターできるようになさい。」

 イザベラおばあさまから、念を押す様に声をかけられる。


「イザベラおばあさま、その、ありがたい事ですわ。

 お忙しいのに、私の為に、時間を作っていただいて。

 マリアンヌおばあさまも、よろしいのでしょうか?」


 くすっと、笑うと

「それくらい、大丈夫ですわ。

 アンジェリカは、気にしなくていいのよ。

 私たちが、手助けしたいと思っての事ですもの。」


 逃げられない。また、このパターンなのかしら。

 おばあさまたちは、家の采配をしないといけないと思うのだけれど?

 私に、かまっている時間なんて無いと思うのよね。


「それで、失礼とは存じますが、おばあさま方の、本音をお聞きしても宜しいでしょうか?」


 イザベラとマリアンヌは、顔を見合わせて驚いたように、手を口元で隠すと、微かに笑う。


「アンジェリカ、貴女は意外と聡いようですね。

 私たちも、たまには息抜きしたいのです。

 この家だけで、何人の使用人がいるのか、分かりますか?

 常駐している兵士の数は?毎日の仕事の指示に、仕入れや給金の計算すべては、私の役目ですのよ。

 お茶くらい、ゆっくりしたいに決まってるじゃない。

 貴女も、家に入れば、分かることですのよ。」


「イザベラ様、そこまでにしてくださいませ。

 アンジェリカが、引きつっていますわ。」


 ここまで、ぶっちゃけるとは思いもよらなかった。

 余程、ストレスが溜まっているのね。


「驚きましたわ。正直、はぐらかされると思っていましたから。

 でも、お話を、聞けて嬉しく思いますわ。」


 マリアンヌは、微笑みながら、自分とイザベラの気持ちを話してくれた。


「わたくしたちの子供は、男の子ばかりで女の子には恵まれなかったのよ。

 侯爵様から、アンジェリカがやってくると聞いて、楽しみしていたのよ。

 イザベラ様も、気兼ねなくお話が出来る事が嬉しいのよ。

 まあ、聞いていた通りでホッとしているのも事実なのだけれど。

 これからは、作法もですが、楽しくこの会を開きましょう。」


 ん。聞いていた通りとわ?

 誰が、吹き込んだのかしら?その内容とは・・・。


「ありがとうございます。私も、嬉しく思います。」




 お茶会は、終わった。

 私は、部屋に戻ると、窮屈なドレスを着替えたいと伝える。


「かしこまりました。

 それでは、夕食まではこちらをお召しになられますか?」


「それで、いいわ。」


 ミリーが、用意した服に袖を通しながら3人がホッとしている。


「アンジェ様、この度のこと、私たちはこれまで以上にお使い致します。

 ですので、アンジェ様も、イザベラ様とマリアンヌ様に認められるように頑張っていきましょう。」


「えー。そんなに、気構え内ないでちょうだい。

 言ってたでしょう。息抜きがしたいって。

 私は、そこそこでいいのよ。何なら、結婚も婚約もしないで、いいとも思っちゃったわ。」


「何を、言ってるのですか。それでは、エド様もステフ様も、ご心配になられるだけじゃないですか。」


「アンジェは、それでいの?」


「もう、みんなは、そんなに結婚させたいのかしら?

 それなら、下級貴族や騎士ならいいかも。雇っている使用人も少ないでしょうし、お母様やおばあさまみたいに、忙しくも無いんじゃないかしら。」


「それは、エド様がお決めになられますから。

 アンジェ様の、お気持ちもお尋ねになられると思いますが、難しいと思いますよ。」


「何言ってるの!うちには、既に、エリアとイリスという、前例もあるのよ。

 軍に入るのも、手の内よ。」


 私の言葉に、困った顔で返される。




 それからの、私は、朝の鍛錬にミリー達の講義に、結構な頻度のお茶会と日々を過ごす事になった。

 飽きて来たわ。何で、決まったことを繰り返さないといけないのかしら?

 私も、たまには息抜きがしたいわ。

 そう思っていた私は、今はおばあさまたちに、これでもかって、甘やかされている。


「おばあさま、ああ、こんなにくつろいでしまって、いいのかしら?

 新しい、服に靴を貰ってお城を探検して、お庭で散歩をして、このままがいい。」



 ミリー達は、心配になっていた。

 イザベラとマリアンヌが、予想以上にお茶会に誘いだし、段々と気兼ねなく会話をしている。

 おかしい!いくら何でも、ここまで世話をするなんて、これも誰かの指示なのかしら。


「アンジェ様、前に飽きたと仰っていましたよね。

 そろそろ、何か始めませんか?このままでは、お伝えしにくいのですが、ダメになってしまいます。」


「何よ、突然ね。いいじゃないの、おばあさまたちも、楽しそうにしているわけだし、私も楽しい。

 良い関係じゃない。」


 ああ、お嬢様が、腑抜けていく。作法は、随分と上達したけど、いいのかしら。

 私とモーラにエルは、アニーから託されているというのに。


 アンジェ様は、じっとしていられないくらい、行動力だけは、あったのに。

 このままでは、いけないことは、感じるけれど、どうしたらいいのかしら?



 アンジェの、専属侍女として、しっかりしなければと思う。

 そこには、ミリーとモーラが想いをよせていた。

 そして、エルもまた、ミリーとモーラの力になりたいと願っていた。


いつも、読んでいただきありがとうございます。

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