表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/69

第五十八話 侯爵領へ6

 私の家が小さ過ぎて、これが家なの。

 見上げるお城と塔に、これが欲しいとつい思ってしまう。

 お城の門を潜って、さらに馬車は進む。

 ようやく、お城の門?ドア?なんでも大きければいいわけじゃないと思ってしまう。

 エルも、見上げながら驚いている。

 ま まあ、バルムに比べて、ここは大きいから仕方ないけどね。

 悔しいわけじゃないわ。ちっとも、これっぽちも思ってないわ。


 ギ―と音を立てながら、ゲートハウスが開く。


「ねえ、あそこに小さいドアもあるけどいいのかしら?」


「あれは、ウィケット・ゲートっていって、日常で人ひとりが通る分の物ですよ。

 まあ、門とでも呼んでいただいていいですよ。

 私たちは、ここで少し休養して行きますから、大きい方の門じゃないと、荷運びも不便ですから、特別です。」


「へー、まあ、何人もかけて開けたり閉めたりしてちゃ、大変よね。

 って、こここ ここに、少しお泊りなの!」


「ええ、補給と移動の疲れをここで取らないと、小さい町か村、野営しかありませんから。」


「あああ あた 頭は大丈夫かしら。」


「もう、何もないですよ。バルムで、お手合わせした時と違うのですよ。」


「そ そう、なら良かったわ。」


 ミリーと少し話していると、

「どうぞこちらへ。」

 使用人の一人が声かけて来た。

 私と、ミリー―にエリアが大広間へ通される。

 残念である。少し、いや凄く、残念な気分だ。

 ノブの記憶の中にある、侍女たちが並んで挨拶を所だと思ったのに、その期待は裏切られた。


 通り過ぎる使用人たちも、頭を下げるくらいで、黙々と仕事をしている。

 うちとは違い過ぎると感じながら、セルシ伯父様を待つ。


「ちょっと、凄く違和感があるんだけど。

 余所は、みんなこんな感じなの?」


「そうですね。殆どは、こんな感じですよ。アンジェ様のお家が変わっておられるのですよ。

 練習したように、ちゃんと挨拶をですよ。」


 少し待つと、ドアが開く。

 椅子に腰を掛ける、セルシ伯父様から

「よく来てくれた、愛しい(従兄弟)娘よ。

 さあ、遠慮なくくつろぎなさい。」


 きたわね、私のターンね。

「ハイド伯爵様、お久しぶりでございます。リヒタル領主の娘、アンジェリカでございます。」

 きまったわ。


「話は聞いている、1年近くも眠っておったというのに、ちゃんと挨拶が出来る様になったか。まだ、小さかったのに、背も伸びたんじゃないのか。」


「セルシ伯父様、それはあんまりですわ。

 日進月歩って、言葉を知っているかしら?これでも、日々、勉学も学んでいましたに。」


「いやいや、アンジェは殆ど寝てただろ。何が進歩するんだ。」

 ニマニマとおちょくってくる伯父様に、ムカッとしてきた。


「好きで寝てだんじゃないのに、起きたら今度は、大叔父様の所へ行きなさいと言われるし。何が何だか、教えて欲しいですわ。」

 思わず立ち上がって、セルシ伯父様に立ち寄ると、ミリーが横から裾を引っ張る。


「あっ」不覚にも、足がもつれて転ぶ私。

 恥ずかしい。顔が熱くなるのが分かる。

 何をするのミリーと立ち上がると、両手で顔を隠しているミリーと右手を額に当てているエリスが目に入る。

 やってしまったのは、私なのかしら?


「変わらないじゃないか、アンジェよ。

 まあ、よい。長旅で、体もなまっているだろう。一つ、鍛錬に付き合うがよい。」


 無理です。無理ですよ。無理なんです。三度も無理って心の中で唱えてみました。

 ミリーっ出番よ。無いって言ってたわよね。


「ア ンジェ お嬢さ ま、お荷物の方は私にお任せくだ さい。」

 あ~ん、笑ってんの、その震えた声は何よ。


「ミリー!無いって、言ったよねえ。ねえ。そんな事より、付き合ってよ。

 あ あたまを守る兜なんてあったかしら。」


 今度は、エリアに、目で合図を送ってみる。


「アンジェお嬢様、わたしは、隊をまとめなければなりませんので、ここはハイド伯爵様にご指南頂くのも良いかと。」


 そうじゃないだろ。もう、私の言いたい事を代弁して無くなる方へお願いしたい。


「イリスがいるじゃないの。エリアまでいなくても大丈夫よ。」


 私の、渾身の一撃を遮るように、セルシ伯父様から

「アンジェ、そんなに我儘を言って困らせてはいけないよ。

 今なら、紹介しようと思っていた、息子のアルベルトもいるはずだ。」

 くっ、ここまでか。


「エリア嬢も、明日には時間も取れるだろう。

 イリス嬢も入れて、久しぶりに3人と鍛錬の時間を取ろう。」


 よし、やったわ。

 にこやかなセルシ伯父様に、笑顔で返す。


「エリア、待ってるからね。

 と、その前に、私の無事を祈っておいてね。」

 そう、今日を乗り切らなければ明日は無いのだ。

 エリアの顔色が悪くなるのを見て、私の心配をしなさいよと思った。

 なんで、こうも力試しが好きなのだろう?

 一族の習慣?決まりでもあるの?


「それでは、準備してまいります。」


「分かった。では、みなも残りの仕事を終わらせてゆっくりとするがいい。

 エリア嬢は、イリス嬢へ明日の事を伝えておいてくれ。」


「ハイド伯爵様、かしこまりました。」

 エリアも、観念したようだ。

 わっははは、私を贄にしたせいだわ。イリスには、可哀そうなことをしたけど、困ったときの友こそ、真の友って言うじゃない、だから良いわよね。

(いや、良くないよ。勝手に、巻き込まれて迷惑だろ。

 いいのよ、ノブでいう、旅は道連れなんとやらよ。

 そうなのかねえ。

 それに、アルベルトだって、どんな方なのかしら。)



 私は、着替えを済ませると、訓練場へ向かう。

 お供は、ここの侍女さんに案内を頼んで、一人だけだよ。


 訓練場に着くと、広いの一言で完結する。

 案内を頼んだ、侍女にお礼を言ったら、逆に驚かれた。なぜ?


 既に待っている、セルシ伯父様の横に、青年には少し早い、青髪ですらっとした男の子がいる。

 結構な、イケメンで、私のお婿候補に目に焼き付ける様に凝視した。

 それにしても、意外に普通だわ。筋肉の子は筋肉にはならないのね。


「セルシ伯父様、お待たせいたしましたわ。」


「いや、問題ない。

 話していた、私の息子でアルベルトだ。」


「アルベルト様、リヒタル領主の娘、アンジェリカでございます。」


「私は、今更、不要だろうが、アルベルトだ。

 話しには聞いていたが、アンジェリカ嬢の髪に瞳は目を引くようだ。

 剣の腕前も、父上から聞いてはいるが、私とも手合わせをしよう。」


 やはりしても、親子ね、か弱い私に勝負を挑むなんてね。

(誰が、か弱いんだか。まあ、少し上だろうが、ここの実力を見れる機会だし、良かったじゃないか。いつも、エリアとイリスの他は、筋肉と細筋肉だったろ。

 そうね、年の近い男の子とできる機会は無かったし、ちょっと楽しみだわ。)


「さあ、始めようか。

 アンジェ、どの程度、腕を上げたか見てやろう。」


 おいおい、いきなりセルシ伯父様とやったら、確実にアルベルトとの手合わせは出来ないわよ。

「セルシ伯父様、その先ずは、アルベルト様にお願いしたいのですけれど。」

 頼む、アル様―、私の意を読んで欲しい。

(誰だよ、アルって。失礼な奴だ。

 いいじゃない、聞かれるわけでもないし。)



「そうかでは、アルベルトに先を譲ってやろう。

 手を抜いていると、足をすくわれるくらいに、実力はあるからな。」


 それなりに、自尊心あるのだろう、年下の小娘を見つめるような、上から目線で嫌な感じだわ。

 ここは、いつもエリアとイリスに筋肉たちに鍛えられた、実力を見せてあげるわ。

 私はね、もう負けないと決めているのよ。

 筋肉たちには、まだ勝てないけど、初見で侮るようなお方には、分からせてやる必要があるわね。


 ノーマルなスタイルだが、剣と楯の組み合わせか。

 基本に、忠実に鍛錬してきたのね、どの程度、フェイントを混ぜて来るのかしら。

(なに、上から目線で考えてる。さっき、嫌なん)感じとか言ってたじゃないか。自分が侮ってどうするよ。

 あれ、そんなこと言ったかしら?でも、、やるからには、全力行くはよ。

 ああ、最初から飛ばしていけ。)


 わたしは、こうやって、旅でカチコチな体に鞭を打って手合わせをすることになった。

 早く、お茶をするために、少し眠る為に、私は全力でいくわ。




いつも、読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ