第四十七話 開戦前
まったく、誕生日前だというのに人の出入りが多くて騒がしい。
でも、今回は昨年と違ってちょっと様子が違うわ。
やっぱり、ベルナン子爵かしら?
(味方でも、派閥が違うんだろ。
大丈夫かしら、私には何が出来ると思う。
戦場に行くわけでもないし、ここはエド達に任せて邪魔をしない様にしておいた方が一番だな。
直ぐに終わってくれたらいいのにね。)
詳しい状況は、私の方には入ってこなかった。
それから、お父様から暫く留守にすることが伝えられた。
今回は、お父様も行かれるのね。
エリアとイリスからも
「アンジェ様、ご存じかと思われますが
私たちは、行かねばなりません。」
「分かっているわ。
お父様を、守ってね。
それと、自分の事もちゃんと大事に」
「お任せください。
アンジェ様を、お一人にするのは心配なのですが・」
「エリア、それでは私がいつもは頼りないって言ってるのかしら?」
「い いえ、そこまで言っているわけではないのですが。
暫くとはいえ、アンジェ様のもとをこれほど離れることがなかったもので。」
「エリアたちがいなった時も、大丈夫だったのだから、心配いらないわ。
全く、こんな時に、できない子扱いをするのね」
くすっと笑うと
「でも、朝は起きられますか?
食べ過ぎて、お腹をこわしませんか?
おトイレは、出来ますか?
夜更かししては、いけませんよ。」
お母さんかっ!
ぷーっと、膨れながら
「もう、さっさと行って戻ってきなさい。」
全く、子ども扱いをして、失礼しちゃうわ。
いつもは、私の魅力にメロメロなくせに。
(何を、言ってんだか。 心配させない様に、言っただけだろ。
わかっているわ。 教えてもらえる範囲でいいから少し聞いておこうかな。)
「ねえ、エリア。
今回は、お父様も出るのよね。
何故なの、教えてもらえるかしら?」
「それは、ここだけの アニーとミリーには話さないと誓って貰えますか。」
「わかったわ。
誓うから、教えてもらえる。」
エリアは、イリスに合図をする様に話してくれた。
「バズール公爵のベルナン子爵のことは、ご存じかと思われます。
こちらからは、引くように言っておりますが、領地の境に迫っています。
それで、カスタール男爵とエンドール男爵には今回はご領地に留まるように伝えております。」
「それって
こっちに攻めて来るって事なの?」
「いえ、分かりません。
しかし、こちらの近くまで来ているのは確かですので用心の為にも。」
「わかったは、それでお父様まで
アニーとミリーの、男爵領の境で何かあれば大変だものね。
ありがとう。
私たちに、話したがらない事がわかったわ。」
「それでは 」
エリアたちが、出ていくと
何が狙いなのかしら?
それに、早いわ。
まるで、帝国が来るが分かっていたかのように、こちらへ来ているのよ。
(そこまでにしておけ
どうしたのよ。レノム、最近は少しおかしいわよ。 話に割って来るし。
まだ気付かないのか、5、6歳のお前が何故そこまで考える。おかしいだろ。
それは、他の子と比べる相手もいないから仕方ないわ。
セトとエルを見てみろ。 この世界の事は分からないが、異端者じゃないか。
そうだった。 あの頃の時代を見てきたのはレノムだったな。
でも、ここは既に魔法なんてあるのよ。
それでも、その考えは違うだろ。
レノムが、言いたい事は分かったわ。 今回は、お父様たちに任せて、私は口も出さないで いいでしょ。
アンジェの為でもあるんだ。)
その頃
「なぜ、我々を通さない。
貴殿達の加勢に来てやったのだ。
何か、不都合でもあるのか?」
何が、加勢だ!
不都合ばかりではないか。
出陣もできない男爵たちは憤る。
「折角の申し出ではあるが、此度の進攻も我々で十分に事足りる問題であるからして、ベルナン子爵には帰投していただきたい。」
カスタール男爵の言にも、一向に従わない。
「リヒタル子爵からも、手出し無用とお伝えしているのに、なにゆえ子爵殿は押し通ろうとするのか。」
エンドール男爵も食い下がる。
「私は、バズール公爵から直々に命を受けておる。
ここで、引き返しては公爵に申し訳が立たぬ。
貴殿らが、責任を取ってバズール閣下に申し開きでもするのか。」
「男爵様、リヒタル子爵様から伝令でございます。」
駈け寄る兵士は、封書を差し出す。
「これは
子爵殿、急用ゆへしばし待たれよ。」
男爵たちは、その場を下がると封書の確認をする。
「これでは、我々はここで子爵の動向を抑え待機せよということか。」
「エド様のバルムが、手薄になるのではないか?」
「仕方なかろう。
今、我々が行けば子爵が何をするか分からん。
ここは、エド様にお任せするしかあるまい。」
「口惜しいことだ。
ベルナンめ。」
男爵は
「承知したと伝えてくれ。」
伝令役の兵士は、急ぎ出てく。
「貴方・・・」
お母様が、珍しく心配そうにお父様に声をかけているわ。
私も、お母様に倣ってあなたって言うところね。
(いや違う。
わーかっているわよ。 緊張をほぐす為の、冗談よ。
いや、本気でだったろうが。)
アニーとミリーは、どうしてるのかしら、ちゃんと筋肉たちとお話は出来たのかしら。
「心配するな、ステフ。
直ぐ戻ってくる。
アンジェも、私がいないからとステフを困らせるんじゃないぞ。」
「分かっていますわ。
もう、それよりお父様はご自身の事を心配して下さいませ。」
「ご武運を」
お母様に、笑って行くお父様が少しカッコいいと思った。
先発して、陣を構えていたマクミランとハンスは、帝国の陣を見ながら近くの捕虜の様子を確認する。
「予想通りと言うか、なんだな。
あれが邪魔をして、進軍にも困るんじゃないのか。」
「しかし、これも予想通りで協力者がでている様だぞ。」
「エド様も、そろそろ来られる。
ハイド伯爵からの応援もまじかだ。
情報収集くらいは、しっかりせんとな。」
「ああ、前回はお預けを食らったんだ。
男爵が来れない以上は、今回こそ俺が蹴散らしてらる。」
その時、斥候から一報が入った。
「敵兵の中に、魔法兵団と獣人の姿を確認しました。
規模と敵将を現在確認中です。」
今回の帝国は、伯爵のアゼリア要塞ではなく、バルムに来ていることも関係しているのか。
王国は、人族には寛容だがそれ以外に対しては、容赦をしない。
建国の理由の一つだ。
「そうか、引き続き頼む。」
マクミランは、ひと言で済ませると険しく考え込む。
「おいおい、本気でバルムを落としに来たんじゃないか。
魔法師は分かるが、獣人兵は10年ぶりだぞ。」
王国軍は、1万5千とリンデン将軍の1万の2万5千の兵力で迎え撃つことが出来ると考えていた。
しかし、予想に反して帝国に戦闘に長けた獣人は人のそれを上回る。
「ハンス、少しは手ごたえのある戦になりそうだ。」
ハンスは、その言葉に落ち着きを取り戻すと
鋭く怒りを込めた視線で見ながら
「そうだな。」
翌日の、午後にエドとリンデン将軍が到着した。
直ぐに、現状の報告と作戦の打ち合わせに入った。
また、斥候からの追加情報で
「魔法師は500 獣人兵団5千程 合わせて3万を確認。」
「此処に来て、劣勢ということか。
ベルナンさえ来なければ。」
「リヒタル閣下、そうでもないこの距離だ。
魔法はまず届かないであろうし、白兵戦になっても味方を巻き込んで打ち込んでは来ないだろう。」
「将軍の言うことは、もっともだがそれではこちらも打つ手が無いであろう。」
「宜しいですか、私に考えがあります。」
ワイズは、先手を打つべく作戦を話す。
左翼 マクミラン 5千
右翼 ハンス 5千
中央 リンデン 1万
本陣 リヒタル 5千と魔法師200
「決行は、明日夜明け前。」
リヒタルの言葉に
「承知した。」
とそれぞれに頷く
いつもありがとうございます(*‘∀‘)
来週も、よろしくお願いします。




