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第三十四話 いつもの日常

 翌朝のアンジェは、珍しく早く目が覚めた。

 が、嫌な予感と足音で、確信に変わる。

「アンジェ様、おはようございます。

 あらあら、まあまあ、もうお目覚めですか。

 エリスさんもイリスさんも、準備してお待ちですよ。」

 ミリーは、入って来るなり、不穏なキーワードを言葉にする。

「あのねぇ、ミリーさん、またなの!

 食事は、私の楽しみなの、大事な時間を・・・

 また、あの2人は、頭まで筋肉になってるんじゃないでしょうね。」

 わなわなと、震えるアンジェは、連日の遊びより昨日のやらかしで精神的に疲れが残ってしまっていた。

 駄目だ、もう侍女も護衛も私を甘やかせてお父様たちからの防波堤にはならないんじゃないかしら?

「分かったは、ミリー支度をしてパンだけでも、ねぇお腹空いたのよ。昨日も頑張ったじゃない、ねぇパンだけでいいから時間を作ってよ。」

 アンジェは、ミリーの袖を引っ張り、駄々をこねる。

(アンジェ、昨日の事だけど、レノムも何であんな事を言ったの?あまり、言い手ではなかったと思う。

 そうなの、切り抜けるには、良かったじゃないの。

 受け入れの提案だけで、食糧の備蓄と交易はもう出来過ぎだ。

 そうなのね。伯爵と侯爵の件も、何処まで本気か分からないけど、流れとしてはありうるということね。それより、ご は ん よ!)

「アンジェ様、それくらいでしたら、エリスさんとイリスさんへお伝えしておきます。」


 アンジェは、先ほどと変わって、喉を通らないパンをスープで流し込み、訓練場へ向かった。

 エリスとイリスは、準備も終わって笑いながら話している。

「あれほど言ったのに、また早く来て、危うくご飯が無くなる所でしたわよ。

 それで、な ん で こんなに 早く 来て いらっしゃるの?」

 アンジェは、ストレッチをしながら2人に近づく。

「エリス、昨日の件ですが、イリスとワイズの間の事は大丈夫かしら?

 問題があれば、今の内なら話もできますわ。

 イリス、面倒をかけたようでごめんなさい。エリスは、お父様と団長の側から外れにくいと思って、信頼できる方が他にいなかったの。」

「アンジェ様、もうよいのです。

 ですが、私たちがいない間に、出かけるのはいけません。

 貧民街では、急に付いた護衛が先回りして不埒どもを捕えていたようですし、そんなた 危険なことは、私たちにお任せください。」

『今、た で飲み込んだわ』

 楽しそうと、言いたかったのだわ。

 アンジェは、この脳筋どもを懲らしめようと思っていたら。

「さあ、バツとして今日は2倍ですよ。」

 ストレッチして走って、剣の振り300本に、手合わせが何本かしているが、『倍』だ と。

 団長に、似てきたわね。

(ノブ、出番よ。

 その出番を、取られて倍の鍛錬で許すってことだろ。素直に、従ってな。

 その、非協力的な態度は頂けないわ。貴方、ピーマンやセロリは嫌いだったのよね。

 アンジェ、やめておくんだ。悪いことは、言わない。俺の二の舞になるぞ。

『ふんっ』そんな、脅しが通用するものですか。)


 ※※ ※ ※

「この件は、こちらで検討してハイド伯とウィルビス候から、許可を取り付けたいと思う。

 国王の対応が必要なら、ウィルビス候が矢面に立ってくれるだろう。

 備蓄庫の増設と、各男爵の方にも、物資を分散しておく手配を頼む。」

 一息つく、会議室。

 マクミランの言葉が、場を凍らせる。

「エド様、アンジェ様の事ですが、このままでは、異端者認定を受けかねませんぞ。

 3年も隠し通せるものでしょうか。」

「これから、バルムは多くの人と金が流通するのであれば、気を付けなければ。」

 ハンスも、同じ思いだったようだ。

「分かっておる。アンジェの中で変化が合ったことは、認めよう。

 それが、危険なものか 否。みなも分かっていよう。

 今では、街でも私の娘である前に、アンジェという子供として、受けいれられている。」

「私共にできる事は、見守ってやること、やりたいことを出来る様に付いてやっているくらいであろう。」

 カルビンの言葉に、頷く・・・


 ※※ ※ ※

「なんだと、それはまことか!」

 バズール公爵へ、捕虜移動の件が伝わった。

 またしても、ウィルビス候か!

「直ぐに、王都へ行く。

 支度を急がせろ。ウィストリア伯爵をここへ。」

 公爵の描いていた展開にならず、怒りが込み上がってきている。

 もう一度、国王にくぎを刺しておかねば、余り、肩入れするのも後々が面倒になる。

「閣下、お呼びと聞き参上致しました。」

「再度、王都へ行く。留守は任せる。」

「はっ、お任せください。」


 ※※ ※ ※

 アンジェは、後悔していた。

(だから、やめろといったのに。

 たまには、素直に言うことを聞けよ。)

「ん~、自然の味がす すば・・・」

 飲み込めないわ。この独特の味、口に広がる香り。

 他を寄せ付けない、圧倒的な存在、それは セ ロ リ だ。

 出会いは、悪くなかった、色よし香りよしだった。

 刻んで、他の具材と混ぜても、スープにしても、この子は他を圧倒してくる。

 一瞬で、セロリは自己主張をして来る。

(だから、早く出せよ。何の罰ゲームだよ。アンジェも、ギブなんだろ。

 口が、もう動いたら零れそうなんだけど。

 ナプキンで、どうにかならん?

 やってみるわ。)

 そーっと、隠れて吐き出すと、水を飲み込むがそいつは、後味までついてくる。

「失礼しましたわ。もう、余り入りそうにないから軽く食べれる物をお願いできるかしら。」

 ミリーが、困った様に見つめるが、やっぱりと言わんばかりに果物を持ってきた。

「流石ね。ありがとうミリー。」

 もう、口の中にはあいつは、いなかった。

「苦手なものを、克服するのは、良い事ですが。

 これは、まだまだのようですね。」

 他の侍女たちも、下がっていないのを確認して、お父様へ質問をとお願いをする。

「わたくしには、まだ早かったようですわ。

 お父様、一つ聞きたいことがあるのですが。」

「言ってみなさい。」

「ありがとうございます。

 実は、うっかりしていました。捕虜の中には、女性もいるのかしらと思いまして。」

「人数は、確認しておらんが少なからずいるであろう。」

「そうでしたか、でしたら集めた時には、男と女は別でお願いしますわ。

 いくら、同胞とは言え何をするかわかりませんもの。

 恋仲というなら、誓いを立てて貰いましょう。ですが、狼の中に留め置く事は不憫ですわ。」

 お母様も、内容には共感できたのか、お父様を見る。

「分かった。その件は、後で対応しよう。」

(かわいい子いるかなぁ。アンジェ、見るくらい良いだろ~。

 ぎゃ~、ここに、狼が!

 失礼な。アンジェや捕虜の子を、案じて言ってるのにさ。

 この駄犬に、見せるものは何もないわ。)

「アンジェ、好いている者はおるのか。」

 はぁ~、な なにを 言ってるのかしら。

「お父様もお母様も大好きですわ。」

 アンジェは、指折りしながら

「アニーもミリーもモーラにエリスや・・・」

「アンジェ、私たちや家の者じゃなくて、異性としていないのかと聞いているのよ。」

 お母様からの言葉で、アンジェは手を見つめる。

「お父様、お母様、わたくしは、まだ恋や、愛おしいの意味が分かりません。

 皆が同じように好きで大切なのです。成長が、遅いのでしょうか?」

「いや。そんなことはない。

 ただの、質問だ。アンジェの事だ、モルドレッド爺さんもセルシも合ったらビックリするだろう。」

 お母様も、喜んでいる様だ。

「ところで、爺さんとはセシルとは誰の事ですの?」

「なにっ!アンジェ、まさか知らないのか?

 教えてなかったのか、忘れたのか。」

「アニー、アンジェの勉強で教えてないの?」

 お父様も、お母様もあたふたしている。

 見ていて、面白いけど。

「以前、アンジェ様には今後の事もあるので、お話は致しましたが、あの頃のお嬢様でしたから、聞いていなかったかと思います。」

 駄目な、アンジェねぇ。もっと、わたくしを見習はないとね。

(またまた、アンジェったら、一人しかいないじゃん。

 えっ、私の事なの?

 では、アンジェ君。さあ、親、叔父、叔母に従兄などの親戚って知ってるの?

 んー。んんー。 分からないわね。)

 結局、明日から家や歴史を学ぶことになった。


いつもありがとうございます。

先週は、不覚にもインフルエンザになって、何もできませんでした(T_T)

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