第三十三話 脱線する話とステフの懸念
時に、時間が解決することは、ままあることだ。
だがしかし、アンジェの場合は、振り出しに戻っただけのようだ。
「それで、専属に付けた者達との例の事だが。」
急に、話の内容が変わり、お風呂の件を突き付けられたと赤面するアンジェ。
「何を、急に。それは、先ほどお話ししたばかりでは。」
お母様が、罪状を話し出す。
「アンジェは、エドが不在の間に、街のご友人方を招きましたね。
ええ、それは、許可したことで割り切っています。
ですが、その後は内緒で街に行ってはコソコソと領都内を見て回っていたようですが。
何をしていたのです、アンジェ。」
な んでっ、バレてる!
皆が忙しいときに、コッソリと見られない様に家を出たのに・・・
(子供の考えることは、大体がバレる。
ノブっ、知っていたの?
アニー達の、3人の内1人はずっと見張っていたからな~。
何故、早く言わないのよ。どうするの、ねえ、どうしたらいいのよ。
これは、そこまで怒られないと思うけど。包み隠さず、話すといいさぁ。)
「えっと、えーとねっ、んーと・・・」
「早く、話さないか。そんなに、話せないようなことをしていたのか?」
お父様の言葉が耳に痛い。
(そういえば、セト達とアニー達は、グルだと思う。
ななな なんですってー!1番の友達を売ったのね。
泣くなよアンジェ、売ってねーよ。誰が1番だよ。身を案じてだろうに。)
「友だちから、街の様子を聞いたら、正門からの左右の奥は孤児院とかスラムになっているって、聞いたけど、最近は仕事や炊き出しで良くなったって聞いて見てみたいなあぁと思いまし た。」
「まさか、1人で行ったのか?」
「は ぃ・」
お父様を始め、帰還組は、ガチで怒っている感じなのに、お母様は、余裕がある様だ。
「それに関しては、何処に行くのかは、お友達に教えてもらって、護衛を送っていたので、私たちも備えることが出来て良かったわ。」
ん ・。なら、今なんで私は、ここで小さくなっていなければならないのかしら?
(いやいや、何でって、1人で外に行っただろ。駄目だと、言われてただろ。
あっ、そうか。それじゃ、仕方ない。)
「それでは、今日はこれでっ 」
「それで、どうであった?
せっかく、見てきたのだ。報告の1つでも聞いておかんとな。」
「え えー、それは思ったより綺麗で倒れているような民もいませんでしたわ。」
アニーと一瞬だげど目があったわ。
でも流石は、アニーたちだわ。気配りのできる先生で姉さんだわ。
浮かれてきたアンジェは、怒られていることを、忘れ始めていた、そのとき。
「はい。私たちで見たり、聞いてきたことと間違いはありません。
両手に、串肉を持って食べ歩きをなさっていたようです。」
なっ 何を言っちゃっているのかしらこの子は!
それでは、ただの観光、お遊び気分じゃないの。
「ち ちがうのです。 」
アンジェは、見て食べて、だけじゃないとアピールをしないと考えるが、何をしていたかしら。
セトたちと、遊んでお店のおっちゃんとおばちゃんと話してお肉を食べて、孤児院とか見て喉が渇いたから、飲み物を買って飲んで、『あれれ、言われたとおりだわ。』
私から説明することは、もうないのでわ。
「では、最後にひと言だけ、凄く治安が良くなっていましたわ。
仕事ができ、炊き出しで子供たちも以前ほど酷くなっていないと聞きました。
でも、その分の底上げが出来たとして、食糧の備蓄は悪化しているのではないかと思いましたの?
働くことで、給金が得られると、先ず食べ物だと思うのよ。どうかしら、戦や飢饉の備えで買い付けできるほど、収穫量に余裕があるとは思えないのだけど。」
チョッと、無理やり過ぎたかしら。
でも、何か言っておかないとね。
(ねえ、ノブもそう思うでしょ。たまには、私に優しくしなさいよ。
ん~、そうかもしれないけど、帝国と戦った後に、補給の物資をハイド伯へ送ってるから。
『ニコッ』じゃあ、もう大丈夫なの。怒られないっ?
ちょっと違うと思うよ、アンジェ。
ぇ。)
お父様とワイズが、こそこそと話しているわ。
予想外に、私の見てきたことが、効いているのね。
アンジェは、満足そうに座りなおす。
「アンジェ、少し いや凄く驚かされてしまった。
ただ、遊んできただけじゃない様だな。
今年は、収穫量が少し悪いこともある、それから誰が考えたか分からんが水路の工事で、仕事も十分にある。
困ったことに、治められる作物だけでは、目減りしていく。
困ったものだ。いや、誰とは言わないが困ったものだよ。」
わざとらしい、お父様の物言いに抗議したいわ。
また、皆がわたしを見ているじゃないの。
(ノブ、何かいい方法はないの?
またまた、この世界に疎い俺たちに、責任が重すぎるでしょ。ねえ、もう首突っ込むの止めようよ。
もう遅いわよ。はい3番 レノム君、・・、いいは、それで誤魔かしましょう。)
「お父様、確かに口は出しましたが私のせいではないでしょう。言いがかりは、お止めくださいませ。
それに、今回の件で国王とウィルビス候から資金と物資が入って来るではありませんか。
当面は、問題は無いと思います。畑などは、増やす方向で検討するとして、バストール王国からの輸入を検討してはいかがかしら。できれば、アルダート王国からも直接、交易が出来るといいのですが。小国の中立国で、帝国にも隣接しているから難しいかしら。
私が、知っているのはこの王国と隣接している国だけなの。でもきっと、その先の国とのやり取りが出来れば、不作でも買うことが出来ると思うのよ。いかがかしら?」
(さあ、仰ぎ奉るがよい。わぁ~、はっは。
アンジェ、子供としての時間はもう長くはないと思う。
ぇっ、なんそれ、死んじゃうの、もう終わっちゃうの。何でなの。
別に、死にもしないけど、利用されるなよ。って言ってるんだ。
そうかぁ、でも今さえ乗り切ればそれでいいわ。
ったく、計画性がないなあ。)
いつの間にやら、お父様の側に集まってコソコソと話している。
なぜ、チラチラとこちらを見る。
私は、良く分からないから、笑顔で返す位しかできない。
ほどなく、皆も席に着き、心配そうな顔をするお母様や、いつも通りに戻っているお父様や皆がそれぞれ表情に変化があったが、もう終わるのでは。期待を胸にしたアンジェ、意外な言葉を耳にする。
「この件は、こちらで検討するから、アンジェは安心していい。
ハイド伯からも、ウィルビス候でも、いつでも嫁ぎに来ていいと言っていたぞ。
まあ、3年先にはなると思うが、アンジェにその気があれば、希望を聞いてもいい。」
はぃ~。何を勝手に、ここはどうするのよ。
私は、ノブの世界の物語のように、自由な恋がしてみたい!
「エド、本当なの。アンジェの事を、いつお話になったのかしら。」
更に、固くなるお母様の表情に、さすがに何があったのか聞きたい。
(違うだろ。そこは、心配するとこだ!)
「ステフ、丁度セルシ(ハイド伯)と話す、時間が合ったのだが、残念なところ以外は、問題ない。」
残念な所って?
少し顔を傾けても、誰の事かしら?
お母様は変わらないままだが、アニー達は嬉しそうだ。
「お父様!勝手に決められては、困りますわ。
ここは、バルムは、どう致しますの。許されるのなら、お相手は私自身で見つけてみたいのに。」
しかし、アニーが、割って入る。
「ア ン ジェ さ ま、やりましたね。
これで、伯爵夫人 いえ侯爵夫人にもなれるのですよ。
確かに、残念が1人歩きしていますが、それは直せば・・直しましょう。」
何故にアニーが、盛り上がっているの?
商品として出されるのは、私なのに。
「アニーも、何を言っちゃてるのよ。
も~、この話こそまた後日で、良いではありませんか。
残念、残念って、1人歩きしたらって、わたくしが1人だと残念みたいに仰るのは、理解しかねますわ。 お父様。」
(俺たちは、理解できるよ。残念って。
うっさい、ノブ。)
「まあ、まだ先の事ではあるし、ここら辺で解散としよう。
また、明日からよろしく頼む。」
やっと、やっと終わったわ。
解放感に、酔いしれている所に、アニーが話を蒸し返しながら付いてくる。
もともと、アニーのひと言で可笑しなことになったような。
それよりも、アニーのお相手は決まっているのかしら?
アンジェの、夜は終わろうとしていた。
いつも、ありがとうございます(*‘∀‘)
また、来週もよろしくお願いします。




