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キラッと光る何か

「キラっと光る何かが足りねーんだよな、何かが」

お坊さんのようなスキンヘッドとサングラス、口ひげとあごヒゲを生やした

アロハシャツの50代くらいの男性が

椅子に座って机の上に右手で頬杖をつきながらしゃべっている。

部屋の壁には色んなミュージシャンのポスターが所狭しと貼られている。

「キラっと光る何かって何っすか?」

スキンヘッドのおっさんの正面には俺っちの転生前、

斉藤一樹さいとうかずきが立っている。

「特にお前のギターな、何かこう魂の叫びっていうか。

 全体的に大人しいんだよ。ここ一番っていうところで盛り上がらねーっつーか。」

スキンヘッドのおっさんの頭の向こう側から朝日が昇るような光が見え始める。

「キラっと光る何かがやっぱ足りねーんだよな」

スキンヘッドが朝日に照らされまぶしく光出す。

俺っちは反論する。

「キラっと光る何かって何だよ!わかりやすく言えよ!」

「キラっと光る何かだよ」

スキンヘッドの向こう側から朝日が見え、スキンヘッドが白く光出す。

「キラっと光る何かって何だよ!光ってるのはおっさんの頭だろうーが!」

「キラっと光る何かだよ」

「だ~か~ら~光ってるのはおっさん、お前の頭だってーの!」

スキンヘッドが眩しく光、周りが真っ白になる。

「クソ!眩しい!何だってんだ一体・・・光が眩しい・・・」

眩しすぎて目が開けられない。

数秒後、光が段々弱くなる。

ゆっくりと目を開ける俺っち。見えるのは青白く光るレンガ作りの床。

俺っちは仰向けに倒れているらしい。

上半身を起こし周りをキョロキョロと確認する俺っち。

緑光の防御壁は消えてなくなっている。

服装からするに現在の俺っちは斉藤一樹ではなく、

転生後のレニー・グラディウスのようだ。

(さっきのあれは・・・夢か。

 しかし、キラっと光る何かって何だよ・・・バカにしやがって。

 あ~あ、嫌な夢を見ちまったな~)

「お目覚めのようだね」

(誰だ!)

声のする方を向きその姿を見た俺っちはびっくりして、

座ったまま2メートルほど後ずさりする。

なぜならそこにはドラゴン○ールでよく見る神龍がいたからだ。

体長何メートルあるのかわからない。

顔の大きさはミニバンくらいはあるだろう。

神龍との突然の遭遇は正直、恐怖でしかない。

「私の名前はシャーロン。

 君がいた世界ではシェンロンといえばわかりやすいかな」

恐怖のあまり思わず口に出た言葉は

「な、な、七つの玉を集めればいいっすか?」

「七つの玉を集める?一体何のことかな?」

とても混乱している。

確か俺っちはチャンリンシャンドリームダンジョンの12階層で

大型のナブルモサザウルス3体に囲まれ絶体絶命のピンチだったはずだ。

ドラロンがくれた緑色の腕輪の仕掛けが発動し、

緑光の球体の防御壁により何とか食われずに済んだが

ナブルモサザウルスの突進でビリヤードの玉のように弾かれ

これまたビリヤードの台の角にあるような穴に落っこちて、

それから下へ下へと転がり落ちて・・・気がついたらここにいた。

「ここはどこだ・・・」

改めて周りを見渡す俺っち。

東京ドームくらいの大きさはあるだろうか。

うっすらと青白く輝く魔力を秘めたようなレンガ壁に数本の太い柱。

何メートルあるのかわからない天井も青白く輝くレンガで覆われている。

床も青白く輝くレンガが敷き詰められている。

そして中央に鎮座しているのは大きな神龍である。

「ここは私が管理する部屋の一つ。青の間だ。

 本来ならば次元の狭間にある青の間に入ってくることは出来ないのだが」

「じゃあ、どうやって俺っちはここに来たんだ・・・」

「その説明をするのは大変難しいが簡単に言うなら

 ダンジョンの隙間に出来た穴に落ち コロコロと落ちていった先で

なんらかのヒズミで偶然開いた青の間の入り口に飛び込んで来た、 というところだ」

急展開過ぎて頭が追いつかない。

「俺っちは元の世界に戻れるっすか?」

「大丈夫だ。私が元の世界へ戻してあげよう。

 ただし、私の話を聞いてからだ」

異世界へ転生して15年。

実家の慣わしで15才になった俺っちは吟遊詩人の修行の旅に出ることになった。

修行初日に魔族の88と出会い、88の依頼で魔族相手にライブをやることになり

様々なトラブルに巻き込まれ、死ぬ目に何度もあってきた。

そして、これもそんなトラブルの一つであるわけだが、

俺っちはここで今までの中でも飛びっきり、

超、ちょーびっくりなことを聞かされるのである。

「待っていたよ、斉藤一樹。魔王を倒す異世界から来た勇者よ」

(この俺っちが魔王を倒す勇者だって~)

もしかして、これが俺っちのキラッと光る何かってやつか?

ぶっ飛んでるぜ、ロックンロール。

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