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セーフティレンジャー、撤退

「あっ、ジャネットちゃんが帰ってきたぁ」

「随分と遠くに逃げたじゃん。ここまで歩いてくるマジ面倒だったし」

最初に避難してきた小高い丘からさらに10キロほど後退した山に避難してていた

アシュミットとカチュアに合流するジャネット。

「カチュアちゃんが危ないから遠くへ逃げようって」

カチュアは髪の毛の先を指先でクルクル回しながら

「大爆発が起こってすごい熱かったじゃない。お肌に悪いから~」

ブロードウェイウェイ国のニューゴック湾のリベリオン島にある

自由のツイン女神像で有名なオールドジャージ公園は

夜になると恋人たちが愛を語らうロマンチックな場所である。

アシュミットたちが避難している山の頂上から朝日が差し込んでくる。

朝日に照らされたオールドジャージ公園は

シンボルの自由のツイン女神像は2体とも破壊され瓦礫の山となり

公園の地面から海面までを白い氷りが覆い、

海には大きな氷りが無数に浮いている、

冬のオホーツク海沿岸のような極寒風景と化していた。

「ジャネットちゃん、突然、デストロイヤーの方へ走っていくから

 アシュミットはびっくりしちゃったよー」

「悪りー悪りー。あたしとしたことがつい熱くなっちゃったじゃん」

「何かあったのー?」

「ん?あー、その事はまた今度な」

「ピンク隊長があなたを追っかけて行ったけど見かけなかったかしら?」

少し間をおいたジャネットが

「多分、死んだじゃん」

「えー、そうなのー。ピンク隊長死んじゃったんだー」

「冥界に行っていれば私の霊体メンズの一人にしてあげてもいいのだけど

 私、ピンク隊長のお名前を知らないのよ」

誰一人としてピンク隊長の死を悲しむ者は無く。

「ピンク隊長が死んじゃったってことは

 アシュミットたち、ここでかいさーん(解散)って事になるのかな?」

「おっ、いいね~。どうせレッド不在の不完全チームなんだし」

「カチュアちゃんはどうするの~」

「私は正直どうでもいいわ。お給金が今までのようにもらえるなら」

「それなー。で、誰か転移魔法使える?」

右手で敬礼ポーズを取るアシュミット。

「アシュミットは使えませーん」

「わたし個人は使えないけど

 魔法使いだった霊体の殿方に頼めば転移魔法が使えるわよ」

「じゃぁ、それで」

突然、3人の背後で転移魔方陣が展開される。

中から何時間も冷凍庫の中に閉じ込められた人のように

まゆげやまつげが凍り唇が紫色に変化し、体全体が白くなったピンクが現れ

ガタガタと震えながらゾンビのようにカクっカクっと歩きながら3人に近づいてくる。

「み・・・みな・・・ぶ・・・じ・・・か・・・」

受話器を片手に通話中のカチュア。

「本当?来てくださるの。ありがとう」

カチュアが10センチほどの木彫りの兵隊の人形を手の平に乗せると

木彫りの兵隊の人形はにょきにょきと動き出す。

どうやら魔法使いの霊体がこの人形に憑依したようである。

人形が両手をバンザイしたところでカチュア達3人の足元に展開される転移魔方陣。

「あ、ピンク隊長生きてたみたいだよ~」

「マジ、しぶと・・・ピンク隊長、うちら先に帰ってるから~」

「ピンク隊長が死んだときのために名前を確認しておかないと」

という声が聞こえた後、3人はピンクの前から転移魔法で消えてしまった。

その場にポツーンと一人残されたピンク。

(・・・一緒に連れて帰って欲しかった~)

優秀過ぎる部下を持ったが故に味わう劣等感。

そしてその部下が全て若い女性であるという異性としての疎外感。

なんとも言えない孤独感に押しつぶされそうになりながら

ピンクは寒さでガタガタと震える体を何とか落ち着かせ

ベルトのバックルの蓋を寒さで震える左手で開け

中からライターほどの大きさのアイテムを取り出した。

「よ・・・よかった・・・1本・・・残っていた」

寒さで震える右手の平でアイテムの頭の部分を上からガンと叩く。

足元に展開される転移魔法陣。

脳裏に浮かぶのはガンガンにやられたかつての仲間の無残な姿。

(と・・・とにかく・・・皆無事で良かった)

ハックション!と大きなクシャミをした瞬間、ピンクは転移魔法で転移した。

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