第三話
放課後、一ノ瀬の家に行く前に立ち寄ったコンビニから出ると駐車場で狸塚が誰かと話しているのを見かける。
一人は糸目の成人男性、長めの髪を後ろで結んでいる。背中にリュックを背負っていてなんとなくオタクっぽい感じの人だ。
それよりもその横で話している学生に意識が向く。犬飼廉金髪でロックのかなりヤンチャな見た目の問題生徒。
比較的優等生の狸塚との組み合わせは意外すぎて驚いてしまった。
そうこうしているうちに武田から催促の連絡が来る。
返信をしてから一ノ瀬の家に急ぐ。
一ノ瀬の家は学校からさほど離れていない。
その時はまさかあんな事に巻き込まれるなんて夢にも思わなかった……
一ノ瀬の家は向かう途中、曲がり角で人とぶつかってしまった。
「すみません!お怪我はありませんか?」
「・・・・・・」
「あの、大丈夫ですか?」
ぶつかってしまったのは男性だ、ただどうも様子がおかしい。
目は焦点が合わず口が半開きで心ここにあらずと言う状態だ。
「・・・・・・ガシャン」
「はい?」
「ガシャンガシャンガシャンガシャン」
口を高速で動かして言うそれはまさしく常軌を逸脱している状態だ。
ふらふらと立ち上がりながらも言い続ける。
そこで一緒にくっついて来ていたハチが男性に向かって吠える。
普段は明るく誰にでも慣れ、甘える姿しか見たことの無い俺はとても驚いてしまった。
すると男性から黒いもやが立ち上がると瞬く間にそれは巨大な骸骨の形へと変貌する。
「は?」
あまりにも浮世離れした光景に言葉が見つからない。
巨大な骸骨はその骨だけの腕で隣にあった自販機を掴むとぐしゃりと握り潰してしまった。
そして新しい獲物を見つけた巨大な骸骨はゆっくりと俺に向かって手を伸ばしてきた。