放棄された民家にて(下)
ゲームの時は痛みの表現がほぼ無かった
どれ程の致命傷でも精々が軽い静電気が来る程度で、それも一瞬で消えるものだった。
痛みだけじゃない、物を触った時の感覚は手袋をしている時みたいに鈍く、血は年齢制限がかからない様に赤いモザイクみたいなエフェクトに変更され、傷も汚れたような表現に置き換えられていたりとどの年齢でもプレイできるゲームらしく残酷な表現は排除されていた。
だが今はゲームの時の様な優しさは無い
傷は痛むし、血は止まりはしたものの少しだけ流れた分はベッドを汚し赤黒くなっている。
正直現実かゲームかはどうでもいい
考えれば考える程どちらか迷い続けるだけだし、痛みがあるから現実でもう良いんじゃね?って思う。
⋯⋯⋯背が縮まなかったらなぁ
結局、情報収集は意味が無かった
家には本が一冊も置いておらず、地図やコンパスの位置を調べられる物が何も見付からなかったからだ。
残念な点がもう1つ
インベントリのアイテムが取り出せなくなった
正確には仕舞っていたレイピアと盾は取り出せるのだが、他のアイテムが薄く表示されて何も反応しなくなっていたんだ。
悪臭袋はもう効力が無くなり、武器は何一つ使えない
身を守る装備は現状1つたりとも持ってない
⋯さて、どうしたものかな
主人公スカイ、改め現在無名の少女のゲーム時代の戦闘スタイルについて
スカイは敵の攻撃に合わせてカウンターを捩じ込む反撃型のアタッカーです
普通なら特定の武器種を愛用していくのを、スカイの場合は相手に応じて切り替える上に観察力が高く、二度同じ行動をしようものなら容赦なくカウンターを決めてくるので一対一じゃ勝てないとまで言われる程にプレイヤーから言われていた。
友人のSさんからは「アイツはゲームの補正があれば矢の雨だろうが見て回避出来るから変態だよ」
とのこと
尚現状、色んな影響を受けて戦える状態じゃないので意味は無い模様