閑話・とある庭師の変わった1日
ワシはこの国唯一の庭師じゃ
⋯世界が変わってからというもの、生活に必要な仕事以外は殆どが衰退してしもうた
人の世話をする使用人や必要と判断された菓子職人は未だ現役なのじゃが、娯楽であった吟遊詩人や踊り子達は全て廃業となり、架空の世界であった時の様に、戦場に向かっていき居なくなったのじゃ
本来ならワシも廃業となり戦場には行かずとも、農家かそれに近い仕事になる予定だったのじゃが、流石にその年でそれは酷だと、ありがたい事に領主様が引き続き雇って下ったお陰で廃業にはならずに済んだのじゃ
そんな訳でワシは、領主様の館の庭の手入れに毎日来ておるのじゃが⋯
最近、小さな女の子の悲鳴が館の中から何度も聞こえてきて、非常に不安な気分にさせられておる
以前に使用人の方から治療に来る人がいるとの説明は受けており、領主様が良い人であるのは知っておるから、最近の悲鳴は治療中の少女の声じゃとは理解出来るのじゃが⋯
それでも子供の悲鳴はどうしても悪い方に考えてしもうて、姿が見えないのが困るんじゃよ⋯
「⋯ですのでよろしくお願いいたします」
「了解じゃ⋯とはいえワシも体力は無いからの、どちらにせよ手出しは出来んよ」
使用人の嬢ちゃんから、治療中の子がリハビリの為に庭を散歩をするとの連絡があった
どうも足が悪いとの事で、今までの悲鳴もリハビリの一環で立つ時に激痛が走り、我慢出来ず叫んでいたのじゃと
そこで今回の散歩でも痛みで悲鳴を上げる可能性があり、助けにいきたい気持ちが出て来るかもしれんが、本人の希望から堪えてほしいと言われたのじゃ
⋯ワシの顔でも見られていたのかやけに念入りに言われたが、ワシには出来ない事はやらない主義なのじゃが
助けに行って共倒れなんてしようものなら迷惑がかかるからのぅ
暫くして、館の玄関から小さな子供と、付き添いの不思議な使用人が姿を現しおった
あの使用人はいつ見ても男なのか女なのか判別出来ないのじゃが、何故かのぅ⋯
⋯それにしてもまだ小さいのに頑張るのぅ
傘で日差しから守って貰い、時折休憩しつつふらつきながら歩いておるが、全く声も出さず黙々とよくやっているものじゃ
そういえばワシの小さい頃はろくに努力もせず遊び呆けておったのぅ
思えば昔は平和じゃった⋯
約1時間後⋯
ワシが昔の良き思い出を思い出して懐かしんでいる間に、先ほどの子供は居なくなっておった
ワシの悪い所じゃな、何かを考えるとどうにも視野が狭まってしまうわい
幸い作業は終えておるから、問題は無いはずじゃ
毎日やっておると、やるべき作業が少なくて助かるわい
さてワシは帰るかの⋯
あの悲鳴も問題が無いことは、子供の様子から見て⋯いやあまり見ておらんかったが、多分大丈夫じゃろうし
⋯大丈夫じゃろう、そうでなくてはわざわざ人目のある外になぞ連れ出しはせんじゃろうて
次回の更新は【1月20日の17時】です
更新は申し訳ありませんが、徐々に書ききる時間が長引いてきてしまっていますので、余裕をもって書くために5日毎とさせて頂きます
短めだったので代わりに図鑑的な感じで
需要があるかは分かりませんが⋯
名称:ホワイトウルフ
分類:肉食動物
特徴
群れで行動し、相手を選び狩りを行う。比較的温厚で、群れが飢えていなければ早々に襲われる事は無い
しかし見慣れない、知らないものが目に入れば警戒され、警戒時点での脅威度が低いと判断された場合は積極的に排除するべく襲いかかる
ウルフ種の中でも比較的高い身体能力を持ち、温厚な性格からテイマーからの人気が高い動物
シエルちゃんの初めての脅威ホワイトウルフ
普通の人なら襲いかかられる事は無かったけど、吸血鬼特有の少し違う気配と、肉体改造の時に変化した匂いによって警戒され襲われた⋯
そんな流れです




