辺境の街と治療中の発見
突然の、どう思えばいいのか分からず混乱したエルメアさんの件から2日が経った
あの後、窓掃除をしに行っていたエルメアさんが戻ってきて色々と自身の事について語ってくれた
記憶喪失で、気が付いたらトゥールさんに保護されていた事
保護された場所は遠く、その時に持っていた物は何も無く、知識も忘れたのか生活すらまともに出来ず、この街に来るまで苦労した事
この街に来てからも、トゥールさんのお陰でメイドとして働き始める事は出来たものの、力の影響と仕事を覚えるので非常に苦労した事等⋯
主に苦労したというのが目立っていたが、久しぶりにちゃんと話せる相手が出来たのがとても嬉しかったらしく、終始笑顔で話している姿に悲壮感は全く感じなかった
それと何が関係していたのか、今までは特徴も無い大人の女性らしい見た目をしていた筈だったのだが、今日起きた時には金髪に薄紫色の目をした、高校生位の姿の少女の見た目に変貌を遂げていた
そんな日の朝
「おはようございますシエル様!⋯シエル様?」
「⋯何で姿は全く違うのに、誰なのか理解出来るんですかね」
見た目だけじゃなく仕草から声まで完全に別人の筈なのに、何故かエルメアさんだというのが確信出来る不思議な感覚
普通妨害するだけならそんな効果って付かないと思うんだけども⋯
「それってもしかして、私の事をちゃんと見えてるって事ですか!?目立たないどこにでも居そうな人じゃなくて!?」
「少なくとも大人の女性では無くなってますね」
「本当ですか!?ちょっと待って下さい、私メイド長に報告してきます!」
「え、ちょっ!⋯行動が早すぎる⋯」
この治療生活が始まってからというもの、力が抜けて動けない事に加えて、もう1つ大変な事があった
それは腹が減るのが早すぎる事だ
1食で食べる量は変わらなかったが、満腹になるまで食べても2~3時間でまた空腹になって、何度も食べさせてもらう羽目になった
そんな訳で、腹が減りすぎて意識を失いかけるトラブルはあったものの、無事に飯にありつく事が出来た俺は、再生魔法の継続時間の更新に来る予定のアファさんに伝えるべき事を伝える為、エルメアさんに足に巻いた包帯を剥がしてもらっていた
「シエル様、今やっていて言うのも変だと思うんですけど、本当に剥がしてしまっても良かったのでしょうか?」
「別に大丈夫だと思うよ。この感じだと治療の時に開いた時の傷は塞がってるし、来る前にちゃんと確認しておきたかったから」
「⋯うん、やっぱり治ってる。⋯じゃあちょっと足先を触ってみて」
「足先ですか?傷の具合を見るなら傷の周りを触ってみた方が良いと思いますよ?」
「それはちゃんと後でアファさんに確認してもらうよ。⋯知りたいのは足先までちゃんと感覚が戻っているかどうかで、とりあえず治りさえしていたら次の段階に進めるからね」
「それは良い事ですが⋯これも別にアファ様に確認して貰えれば問題は無いですよ?」
「確かにそうだけど⋯正直1日でも早くこの状態から復活しないと、暇と焦りでダメになる気がするんだ」
「居たかもしれない仲間の事ですね⋯」
エルメアさんから話を聞いた後、俺も自分の事について話をしていた
最初は前に言っていた日本の事についての質問に答えていたが、これから長く一緒にいるからという事で、この世界での自分の話を感じた部分も含め暇潰しと振り返りを兼ねて話をし、エルメアさんに知ってもらっていた
「エルメアさんは気にする必要はないよ、結局覚えてないんじゃどうしようもないから」
「それでも悲しいですよ⋯大切な記憶も忘れてしまったんじゃないかと思うと⋯」
「それなら何もかも忘れたエルメアさんの方がってなるから⋯それよりも早く試さないと来るから触ってみて⋯」
話をしていく内に空気が重くなってきたのに耐えきれず、早く触るように急かしたシエルは、コンコンとノックをする音に気が付き、いつの間にか診察の時間が来ていた事に気付くのだった⋯
「ふむ⋯これは君の特異体質なのかな?」
部屋に入ってきたアファさんは、包帯を剥がしてしまった俺を見て険しい顔をした
⋯が、てっきり怒るのかと思い身構えていると、特に何か言う訳でもなく、暫く剥がした包帯や俺の足を観察し、何かをメモした後に質問が始まった
「これは先程まで君が巻いていた包帯、そしてこれがサンプルとして保管していた過去に他の人に治療で使用した包帯だったのだけど⋯」
「日が経ち、成分がある程度抜けているにも関わらず、まだ魔力を帯びている事から効力が残った過去の包帯に比べ、君に巻いた包帯に魔力は完全に無くなっていたんだ」
ふむふむ⋯?
「そして君の足の傷、何度も傷の治療をやってきた僕の見立てでは、最低でも後4日⋯プレイヤーがいる1番治療が早く終わるこの状態でも1週間がかかる予定だったんだ」
「でも君は4日で治りきった。まだ1日早く治る程度なら個人差で済むけど、これは確実に異常だ」
なるほど⋯?
「異常な点はもう1つ「はいそこまでです、シエル様が限界に近いので止めないと」まだ話が」
「駄目です!話をするならせめて診察が終わってからにして下さい!」
「シエル様は難しい話に耐性が無くなっているのを気にされてるので、あまり本人の前ではしないようにお願いします⋯」
「ああ分かったよ⋯うん、ちょっと間をおいてから診察を始めた方が良さそうだ」
年末の予定等を考えて一旦ここで更新を停止させて頂きます
来年の1月中には更新を再開したいとは考えていますので、気長にお待ち頂ければ幸いです
書き溜めがある程度出来次第、1話だけ公開して後書きの方で伝えたいと思っています
勢いだけで進ませた影響で酷くなってるので、なんとか軌道修正させたいところです⋯




