辺境の街と定番
車椅子に座り、みゃーこ⋯いや、本人が言ってたからこの場合はミエか?とにかくミエに押して貰い街に出る
街の感じは、よくゲームの時でも見ていた中世ヨーロッパ風の建物が大半で、鍛冶屋や魔法関係の物を扱う店等は、それぞれ煙突や魔法か何かで浮かべた照明っぽい物を店の前に設置してあり、かなり目立っていた
⋯さて、今俺は大通りを車椅子に座って移動しているんだが、非常に目立ってしまっている
原因はミエ⋯ミエの容姿に目を付けたナンパ野郎に絡まれ、最初はミエも無視を決め込んでいたが、絡んでいる内にフードを目深に被っていた俺も女である事に気付き更に粘着してきたのをきっかけにミエがキレて今に至る
「なあ良いじゃん?こんなイケメンの俺が誘ってるんだからさ、行かないと一生の損だよマジで」
コイツもしつこいなあ、俺ら2人共無視してんのに来ないと損だとか後悔するとか、何も知らないクセによく言うわ
「うっせぇ!こっちが黙って無視してりゃあーだこーだとしつこくまとわりつきやがって、いい加減去らねえと焼くぞボケが」
ミエは無視しながらも嫌そうな雰囲気が車椅子越しに伝わってたし、俺はそもそも元男で同性愛者でもないから野郎と付き合うとか絶対無い訳で⋯
「あー駄目駄目、女性がそんな汚い言葉なんて使っちゃ、せっかく綺麗で可愛い顔してんのに損だよ損」
その汚い言葉を使わせた原因はお前だけどな
それとこの人に美しいとか可愛いは⋯
「ああもういい、目立つ事はやりたくなかったがこの際どうなろうが知った事か」
ほらやっぱり、何故かミエは見た目を褒めるとキレるんだよな
「⋯何をする気か知らないけど、巻き込むのは勘弁してくれよ(ボソッ」
「安心しろ、軽く潰すだけだ⋯【フレイムニードル】」
「ああやっとこれデュフン!?」
⋯⋯⋯
「じゃあな、これに懲りたら女に粘着せず真っ当に生きるんだな」
⋯いやナンパ野郎、気絶していて聞いてないぞ
「おいあれはやり過ぎだったんじゃないか?」
「あ?別に良いだろ、あんな野郎のなんて」
「いやあれは男として⋯」
「⋯ああそういやそうか、猫でいた日が長過ぎてそんな感覚忘れてたな」
⋯この人何年生きてんの?
「聞きたそうだから答えるが年は忘れた⋯ついでに人だった時の感覚がもうほとんど覚えてないから、あの部分を狙ったのは死にはしない弱点程度にしか思ってなかった」
「⋯一応言っておくが、万が一お前が1人でアレみたいな奴と出会って連れてかれそうになったら容赦なく俺がさっきやったみたいに殴れ、力が無くとも効くだろうし選択の余地は無いからな、躊躇すれば最悪の事態もあり得る」
「希少な白髪の美少女で足が悪く、首輪と鎖さえあれば逃げ出す事が出来ないお前だ、良くて奴隷で悪けりゃ実験材料にされて壊されるのがオチだ、躊躇せずあらゆる手を使ってでも逃げるのを心得ろ」
「⋯⋯⋯⋯⋯ハイ」
⋯まさかナンパ野郎から誘拐の話に繋がるとは思わなかった
しかもちょっと説教されてる感じがして怖かったし、下手に想像してしまって震えが止まらない
「あー⋯⋯悪い、別に怖がらせる気は無かったんだが⋯⋯」
「⋯重ねて悪い、ちょっと待っててくれ【フレイムガーディアン】」
ミエの話により本人が思っている以上に恐怖を感じたシエルは、謝るミエの言葉を聞いていなかった
ミエは魔法によって自動的に迎撃する特性を持たせた炎の猫をシエルの肩に乗せて細い道の突き当たりに残して離れたのだがそれにも気付かず
ミエが戻る直前に現れた三下感満載の冒険者がシエルを襲おうとして返り討ちに合い、上半身裸で逃げた事も知らない
「はぁ⋯戻ってきても変わらずか⋯⋯こんな状態でギルドに送ってトゥールを警戒させても面倒だし、どうすっかな⋯」




