暇な馬車での道中にて
~2日目~
「⋯やる事が無くなってしまった」
猫のみゃーこに強引に寝かせられた次の日の朝
冷静になった俺は、自分の知らなかった特技?特長?が判明しちょっと嬉しい半面、3日かけて覚えるつもりだった図鑑での勉強が終わってしまった事で、せっかく買った物が無駄になった気持ちになっていた
売れば良いんだろうけど、流石に買って数日も経ってないのに売って返すのは失礼だしなぁ⋯
⋯いやそれは別に後でいいや、問題は後2日をどうやって時間を潰すかだ
錬金術は火を使えないから駄目、お菓子では暇潰しにはならないし、インベントリには大量の出せなくなって何故か重量が無くなった武具や素材といったアイテム類は特に意味は無く、新しくシンシアさんから貰った服とかは⋯今は意味は無さそうだ
⋯あの時は適当に「ちゃんとした服の入った袋」って書かれてた袋を着替えに必要だからなって入れてたけど、中身を見たらまあフリルやらリボンやらで装飾されてる可愛らしい服ばっかりで、明らかに俺に着せようとしてた気がするのだが、まあそれは置いとこう
どうせ着る気は全く無いし、ちょっと重めだとしても結局は服だからインベントリもあんまり圧迫しないしほっとけばいいさ⋯
考えても何も思い付かなかったので、諦めて外を見ることにしてみた
外は太陽が出て顔は出せないが、まあ覗く程度なら大丈夫だろう
という訳でチラリ
ふむ、よくある街道だな
道はレンガか石かで整備されていて、道の両側は見晴らしが良くなる為にか一定まで切り開かれている
そして俺は太陽の光をちりちりと浴びて非常に弱っている
⋯うん、貧弱過ぎて直射日光じゃなくても弱りはするみたいだ
身体に力が入りにくいし、思考が鈍っていく感覚が⋯
んうぅ⋯⋯これは⋯⋯ちょっとやば⋯⋯⋯
「⋯みゃーこ、日に当てられてて危なっかしいシエルちゃんを頼むよ」
「このままほっとけば周りの人達から残念な呼び方をされそうになってるの、本人は気付いてないんだろうなぁ⋯」
おう、商隊の護衛で見ていられないトゥールに代わってシエルの面倒を見ることになったみゃーこだ
⋯何でアイツは猫に人の面倒をさせんのかね、今更なのは分かっているが
「ん⋯⋯ふあぁ⋯っと、寝ちゃってたか⋯」
おっと、お昼寝⋯いや二度寝か?二度寝正座少女が起きたか
⋯ところでコイツは何で太陽が苦手な癖に太陽を浴びながら寝てたのかね?一応フードを被って直接浴びてはないけど危ないだろ
下手したら馬車から落ちかねない状態だったんで強引に引っ張って寝かせたが、痛がって無さそうだし怪我は無さそうだな
「今の時間は⋯まだ昼前かな?」
⋯いや、もう既に昼を過ぎてるんだが
多分起こされなかったから勘違いしてんだろうな
しゃーない、別に伝えなくても問題は無いが一応伝えるか
「ん?何やってるのみゃーこ?⋯⋯ひるすぎた?⋯⋯⋯え?昼過ぎてたってマジで?」
「みゃう(そうだよ寝坊助)」
だから自分で用意した飯とっとと食っとけ
会う度にこの猫の不気味さが増してくる今日この頃
何で当たり前の様に筆で文字を、それも人の使う字を意味も理解して完璧に書けるんですかねぇ!?
猫は好きだけど、みゃーこは怖いしあんまり関わりたくないんだよな⋯
⋯いや、どうせ暇なら暫く関わりそうなみゃーこの事を知っとくのも良いかもしれないか?
とりあえず聞いてみますか
※この先会話してる様に見えますが、みゃーこは筆談しています、予めご了承下さい
「みゃーこ、質問していい?」
「みゃ?⋯みゃ(あ?⋯いいぞ、ただ3つまでな)」
「3つ、3つかー⋯⋯じゃあまず、みゃーこって何者?」
「みゃう⋯⋯⋯みゃ(俺か?俺はただの猫さ)」
「いや嘘でしょ、この世界の猫は見た事ないけど、絶対普通の猫じゃないし」
「⋯⋯みゃ(⋯言っても良いが笑うなよ?)」
「笑う?こんな人に手を貸して貰わないと生きるのも大変な俺が笑うとでも?」
「⋯みゃう(悪い、考え無しに言っちまった)」
「いいよ別に⋯⋯てかもう言わなくても人間だった事くらいなら分かるし」
「⋯(だろうな⋯って言ってもどれだけ人間っぽく振る舞っていても気付くのはプレイヤーだけなんだけどな)」
「?それってどういう⋯」
「みゃっ(言うのは良いが手が疲れた、続きは明日な)」
「あーうん、確かに猫の手じゃ疲れるよね、じゃあまた明日」
「みゃう」




