馬車での道中にて
~1日目~
馬車が動き出した
これからの3日間は、移動するだけで人の手が必要で時間のかかる俺は基本的に馬車の中で生活する事になる
今までは宿に飯にとトゥールさんにお金の面でお世話になりっぱなしだった
本人は別に気にしてないから返さなくて良いと言って頑なに受け取ってくれなかったが、その結果俺はもやもやしていた
だが今回、手伝いはしてもらったものの自分で稼いで手に入れたお金で馬車に乗っている
それはつまり⋯スッキリした状態で過ごせるって訳で、精神的に楽なのはそれだけで良いものだ
⋯さて、3日間だ
その間馬車の中でいる上で目標にしているものがある
それは植物に関する知識を得る事だ
一応最初は錬金術のレシピが載った錬金術大全みたいなのを買って読み込むつもりだった
けどいざ買おうと商人の人に聞いてみたところ、初心者用の本はあるが非常に高価だった事が判明して断念するしかなかった
なんとその値段は金貨5枚、つまり50000もする上に書いてあるのは素材さえあれば簡単に作れる物ばかりで、本職じゃない人でも錬金術スキルさえ取れば作れてしまうようなレシピしかないらしい
正直それでも欲しいけど、どうやってもその値段には手が届かないので諦めた結果、薬草図鑑という薬として使える植物の情報を纏めた本を代わりに買ったのだ
値段は銀金貨1枚、旅の必要な物として買ったので後に生活で使う分には入っていない
ちゃんと買う時に内容があるかはパラパラっと捲って貰って確認させてもらったので大丈夫だ
じゃあ始めますか、錬金術に使える薬草が見つかれば良いんだけど⋯
~シエル勉強中~
~シエル勉強中⋯~
~シエル勉強⋯終了~
⋯思ってた数倍早く覚えきってしまった
おかしいな、これ結構しっかり内容があった筈なのに、必要そうな所を選んで覚えていってたら1日も経たずに、それも昼飯で休憩してたのにも関わらず終わってしまった
⋯いやちょっと待て、ここは1度確認しないと覚えた気になってるだけかもしれない
外を見たら夕方だったし、夕食の時にでもトゥールさんに薬草図鑑を渡してクイズでも出してもらおう
慢心は駄目だ、特に俺みたいなろくに知識もない奴が勘違いするのは非常に危険だ
そして夕食を終えての休憩中
「うん全問正解だね、だからいい加減認めなよ」
「⋯いやまだ、これも偶然かもしれない」
「⋯はぁ、いいシエルちゃん?偶然で選択式じゃないのに50問全問正解は絶対有り得ないからね?」
トゥールです
馬車で薬草図鑑を見て勉強すると言っていたシエルちゃんが非常に面倒くさい
きっかけは問題を出して10問連続で正解した所から
何か考えがあったのか、10問答え終わってから正解数を教えて欲しいと言ってきたので、僕はその通りにして、自信を付けさせる為にもよく見かける薬草の問題を多く選んで出してみた
結果はさっきの通り全問正解、ただそれが信じられなかったのか、シエルちゃんは更に問題を出してほしいと頼んできたので、ちょっと難しいのも含めて出してみたんだ
けどそれも正解し、それでも納得していないシエルちゃんは更にと催促、この時点でちょっと面倒になってきた僕は難しい問題も出してみたけどそれも正解
最後はもう嫌がらせのつもりで非常によく似た2つの薬草の、それの見た目と成分の違いを答えよって、僕でも図鑑を見なきゃ分からない問題を出したんだけど、それさえも正解して今に至るってわけ
うん面倒
僕なんか薬草の種類と名前はある程度覚えてたら良いやって思ってるのに、シエルちゃんはやたら細かい所まで覚えているのに信じてないのが面倒くさい
「むむむ⋯後10問!」
「ハイハイそれはまた今度もう寝る時間だよはいみゃーこシエルちゃんを頼んだ」
「ちょっとまっ⋯!?」
面倒くさ⋯護衛の仕事が出来なくなるから、シエルちゃんをみゃーこに任せて逃げ⋯仕事に戻ることにしたのだった
シエルちゃんに預けた時にみゃーこが不機嫌そうな顔をしたけど僕は忙しいので仕方ないね
「みゃーー!!」
「あっ、ちょ、待っ、寝る!寝るから顔から離れてー!?」
⋯ナイスだみゃーこ!




