旅の始まり
「シエルちゃん忘れ物は無い?替えの服は?ちゃんと下着も持った?ハンカチとか傷薬とかケガしちゃった時用にちゃんと準備してきた?トゥールさんが予め色々と用意してくれる筈だけど、身に付ける物は自分で持ってないと駄目よ?」
「それと街に着いたら男には注意しなさい、一見優しそうに見えても簡単に信用しちゃ駄目。シエルちゃんは可愛いから絶対悪い人に狙われるのは目に見えてるし、騙されたが最後誘拐されると思って充分に警戒する事、いいわね?」
「それにそれに「シンシアさん、時間です」ああもうまだ言いたいことがあるのに!」
「シエルちゃんと別れたくないのは分かりますが、シンシアさんには兵士としての仕事が⋯⋯
2日前、トゥールさんに付いてくるかを聞かれた時、少し迷って行く事にした
ステータスの事もあり少し落ち込んではいたけど、いた筈の仲間の行方や目標の達成の方が大事だったのもあって考えはすぐに纏まったからだ
ただ足の事を考えると迷惑にならないかと思い聞いてみたのだが
「僕は大丈夫さ、むしろちょっと無理をし過ぎなシエルちゃんを放っておいたら後が怖いから、一緒に行動出来る分には安心出来るからね」
と言って特に気にした様子も無かった
⋯けどちょっとイラッときたので一発殴っておいた、全く効いては無かったけど
村を出るまでの1日で、旅の資金集めにひたすらポーションを作った
ちなみに魔力水と薬草で作ったポーションを鑑定してもらった所、品質高めの低級回復ポーションなのが判明した
買い取り価格は300、普通なら150での買い取りらしいが、品質が高く最近回復ポーション自体がほとんど手に入らないらしく品薄だったため、2倍の価格での買い取りになったそうだ
最初に作ったポーション10本は、助けてくれたお礼としてトゥールさんとシンシアさんに2本ずつ渡し、残りは売ってその分で魔石を購入し、薬草を刻む作業を他の人に任せつつポーションを作り続けた
その結果、旅に必要な物の購入と商隊の馬車に乗せて貰うためのお金で多少は使ったものの、低級回復ポーションは手元に3本残して銀金貨3枚に銀貨30枚、合計で6000を確保出来た
そして準備を終えて朝になった今、村の門の前で別れの挨拶⋯だったんだけど、トゥールさんが伝え忘れたと朝のギリギリの時間に知らされたシンシアさんが、どうやって調達したのか大量の服や飴やドライフルーツ等のお菓子類、謎のぬいぐるみ等の要らない物まで大量に載せた荷車を牽いてやってきたのでちょっと変な事になってしまった
泣きながら抱き付いてあれこれ言ってくるシンシアさんに、それに適当に返事しながら持ってきてくれた物を選別しインベントリに収納する俺、そしてそれを見て面倒くさくなったらしいトゥールさんが、最初見た時にはいなかったのにいつの間にか合流していたみゃーこを抱えて商人の人と会話をし始め⋯
出発の時間になっても抱き付いたまま離れようとしないシンシアさんをトゥールさんが優しく引き剥がして今の流れに至る
「じゃあ行ってくるよ、暫く戻ってこないだろうけどちゃんと戻ってくるから発狂しないようにね」
「シンシアさん、また今度会いましょう」
「分かってるわよ⋯またねシエルちゃん、ちゃんと元気でいてね」
シンシアさんが兵士としての見回りの仕事に向かい、他にちょくちょくお世話になった人との話しも終わった俺とトゥールさんは、先に話を終えて待っていてくれた商隊の馬車にお姫様抱っこをされた状態で乗り込んだ
そして予め用意しておいたクッションを敷き、車椅子を中に乗せてもらい、出発の準備を終えた
「じゃあ僕は護衛だから馬車の外にいるけど、何かあったら遠慮なく言ってね」
「はい、トゥールさんもお気をつけて」
トゥールさんは冒険者として依頼を受けているので外での護衛、休憩時間になるまでは基本的に馬車の中で1人になる
街までは護衛しながら馬車で移動して3日、これからの旅で何か得られます様に⋯




