辺境の村~無能な錬金術師少女~
思っていた数倍酷かった
名前は空白で忘れた名前も思い出せず
ステータス画面に並ぶ1の群れ
MPの表示が?で最大値すら読めず
とどめに知らない状態異常の表示
「⋯⋯とりあえずこれ、鑑定メガネどうぞ」
横からステータスを見ていたトゥールは、色々と酷い状態を見て気まずそうにしながら、MP消費無しで調べられるメガネを俺に掛けてくれた
【戦士の呪刻印】
仲間に裏切られ死んだ戦士が心から憎み、呪いとして元仲間に蓄積された結果生まれた呪われた印
二度と戦士として活躍出来ない様に籠められた怒りにより肉体の弱体化及び戦闘職系統のジョブへの転職不可、戦闘系スキルの取得不可が付く
解呪方法:不明
⋯⋯十中八九これのせいだろ
雑巾ちゃん改めエルフちゃん?がステータスを確認して一気に落ち込んだ
原因は以前保護した際に見た、背中に赤黒く刻まれた女性の戦士の印なんじゃないかな
この世界は元の世界の遊びだった時には無かったものが沢山ある
人の能力を阻害する道具や見知らぬ凶悪な兵器、呪いに見知らぬ反則級のスキル等々⋯
それらは全て、この世界の支配者として君臨する帝国が所有し、敵対する者に対しての武器として、もしくは弄ぶ為に使われている
エルフちゃんの呪刻印?っていうのも帝国の仕業で間違いないと思う
トッププレイヤーらしいし、魔力枯渇も足の針も毎回行われてる嫌がらせでやられたのは安易に予想出来る
⋯けど妙に嫌がらせが酷い気がするんだよね
この身体になってからろくな事になってない
元のゲームのキャラなら、いや元の世界の身体でもこうはならなかった筈だった
ホワイトウルフはああする以外無かった気はするけど、少なくとも瀕死の状態で森を抜ける事は無かっただろうし、考え無しに突破しようとも思わなかった筈だ
⋯⋯⋯⋯⋯
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
「えーっと、エルフちゃん?」
「⋯⋯⋯あのー⋯ちょっと怖い感じがするんですけど、何か喋ってくれませんかね?」
「無言怖いから!無表情の無言で一点を凝視してるのこわ「トゥールさん⋯元凶⋯知って」無表情ボソボソ喋りも怖い!」
⋯むう
「あのね、君がキレたくなる気持ちは理解出来るよ?けどそれを関係無い人に向けるのは悪い事だよ?それを理解してくれるかな?」
「⋯はい、すみませんでした」
「うん、分かればよろしい」
怒られた
⋯⋯⋯⋯
「はい駄目その顔、次やったら質問に答えないからね」
「なんでか怒りが収まらない⋯⋯⋯むう?」
「⋯君、もしかしたら精神的に幼くなってるのかもしれないね」
⋯⋯⋯は?
「僕は何人かのトッププレイヤーに会った事があってね、その中に知り合いの魔法系の戦闘職の人がいたんだけど⋯」
「彼は元々おじいちゃんの見た目をしていたんだけどね、あのイベントの時に帝王に手も足も出ずに負けて魔法の使えない小さな女の子に変えられてしまって」
「再び会った時には性格がまるっきり変わってしまって、冷静に戦況を見極めて魔法を撃ち込んでいた姿は無くてね、ただの臆病な女の子が店の手伝いでなんとか暮らしをしていたんだよ」
⋯⋯⋯
「もう男だった時の名残なんて無かった、仕草や言葉遣いは他の女の子とあまり変わらないし、思考はもう子供と同じだった」
⋯⋯⋯⋯⋯やばくね?
話が重かったのもだけど、もう既に前兆が出てるよなこれ
頭痛を言い訳にしてたけど、所々知能指数がおもいっきり下がってたし、そんなに甘いものが好きだった訳じゃないのに飴舐めて幸せな感じになってたし⋯
⋯⋯こほん
「⋯キノセイダヨ」
「⋯⋯ごめん、言わなきゃ良かったね」
俺とトゥールは嫌な事だらけで精神的に持ちそうになかったので、一度全く別の事を試してみる事にした
場所は併設されてる炊事場、時間が微妙だったので人は他には居なかった
「試すのは良いけど、魔力が使えないのをどうするの?」
「とりあえず無しで試す、覚えてるレシピは1つだけだし無くても困らないから無理だったら今は諦める」
今回試すのは錬金術スキルで作る低位回復ポーション
材料は森の浅い所で採れる薬草に井戸水だけ
作業は簡単、薬草を細かく刻んだ後に水と一緒に錬金釜(今は無いので鍋で代用)で混ぜながら煮込むだけ
薬草を刻むのはトゥールにやってもらい、混ぜるのは俺が担当⋯だったのだが
「そりゃフォークでギリギリ片手持ちが出来た程度の筋力だったからそうなっちゃうか」
椅子で作業のしやすい高さに登り、材料を鍋に入れて後は混ぜるだけの所で問題が発生した
混ぜる為のかき混ぜ棒が重くて持てなかったのだ
結果混ぜられず、火で煮込んだだけになった鍋の中にはやたら臭い薬草汁が出来ただけで、良い結果には程遠かった
⋯無念
暫くは2日毎の更新になります
途切れていたら書き溜めた分が無くなったんだと思って頂ければと




