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【第一部・完結】ゴリラじゃなくて、ご令嬢! ~~ 元ヤン悪役令嬢の、即死しそうな乙女ゲーライフ ~~  作者: 牧野ジジ
第3章 〜〜 大国の皇太子さまを好きになったけど、身分違いなので、あきらめます! 〜〜
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10. ノノ


ヘタレの恋を、実らせるために。


鬼のお面と、わらのポンチョで、なまはげルックになった私は。おたけびを上げながら、ヒロインの方に、つっ込んで行った。


「うおおおお!

泣く子はいねがあああ!!」





原作ゲームのヒロインは、「きゃっ!」と、かわいらしく叫んだ。


カタギになったチンピラは、ヒロインの前に飛び出した。

「……どこのどいつか、知らねえが。

この子は、おれが守ってみせる。


サクラちゃんには……。

指一本、触れさせねえぜ!!」







裏切り者に、容赦はしない。


私はコブシをふり上げて、スキンヘッドの顔面に、パンチをぶち当てようとした。






スキンヘッドの、ゴツいコブシと。


私の美しいコブシがーー


今まさに、ぶつかり合おうって瞬間。





スキンヘッドと、私の間に……。


鬼太郎ヘアのチビ助が、空気を読まずに、割り込んできた。






黒髪のちっこい従者は、デカい不良を、軽く投げ。

関節技を、くらわせた。


そして、目線をすっと上げーー。


私を、まっすぐ見て言った。

「おケガはございませんか、お嬢様?」






私は、裏声でとぼけた。


「……お嬢様って、誰のこと?

私はただの、通りすがりの『なまはげ』よ」


空気の読めないチビ助は、鬼のお面を、はぎとった。

世界一の美人の顔が、みんなの前に、さらされた。





ヒロインは、驚いた。


「……えっ。

ロザリンドさん!?」





……しまった!

ダチに、計画がバレる!!





私は、あわてて言い訳をした。


「これは、ほら!

なんていうか、その……。


そう!


実家のパーティーでやる、出し物の練習で……。




ねえ、サクラ。

この芝居……お客さんにウケると思う?」






心のきれいなヒロインは、私の言い訳を信じた。


「わたしに見てほしいものって、このお芝居の

ことだったんですね」


「そうそう、そうなの!

そうなのよ!!


……で、どうだった?

この芝居」






「アクションが本格的で、とってもカッコよかったです。

きっと、小さな男の子たちに、すごく受けると思います」


そう言うと、清楚で可憐なヒロインは、尊敬の目を私に向けた。


「ロザリンドさんって、お芝居もできるんですね。

美人でスポーツ万能で、お芝居も上手だなんて……すごいです!」





「は……。

はは……。


あんがと、サクラ……」






マブダチの、すんだ瞳に見つめられ。

私は、思わず苦笑した。


背中には、チビ助の白い目が……。


ぶっ刺さってるような気がした。





ーーーーーーーー


チンピラとダチが帰ると、チビは私を問いつめた。



「……なぜ、あんなことをしたんです。


ミヤモトさんは、あなたにとって、たった一人の親友でしょう?


それなのに、あなたときたら……。

…………」






チビ助の追及が、しつこくて、超ウザいので。

私は、計画をゲロった。


チビは、あきれた顔をした。


「…………。

お二人を、両思いにするため……。


まだ、あきらめてなかったんですか。

あなたも、しつこい人ですね」






私は、思わず、カッときた。


「……なによ、その言い方!!


言っとくけどね!

あんたの邪魔がなかったら、私はばっちり、ダチを泣かせて!


ダチは、ヒーローのヘタレに……。

うっかり、ほれてたはずなんだからね!!





それなのに……。


あんたの余計なお世話のおかげで、私の完璧なプランが、まとめてパーになったのよ!


あんた、この落とし前……。

どうやって、つけてくれる気?」






黒髪のチビ助は、これっぽっちも、ビビらずに言う。


「……何を、おっしゃりたいんです?」






世界一の、美女の私は。


バラ色のくちびるを……。

ゆっくり、上に持ち上げて。


いかにもウブな童貞に、にっこり、笑いかけてやる。





「……ねえ、シェイド。


あんた、私と一緒に……。

恋のキューピッドやらない?」


「……はあ?」







ミハエル様の本命が、サクラだって、分かった以上。


もう、遊んでる時間はないわ。





こんなのを、アテにすんのは、シャクだけど。


ヘタレの恋が実らなければ、なぜか巨大な津波が起こって、国ごと海に沈むんだから。


使えるものは何でも使って、ヘタレにダチを攻略させなきゃ。






しゃべりが、めっちゃ上手い私は。


ポカンとしてるチビ助に、サクラがいかに健気でいい子か。そして、能なしのヘタレが、いかにサクラにぞっこんか……。


たっぷりと、聞かせてやった。






「……つーわけで。

サクラもヘタレにほれちゃえば、全部うまくいくと思うの。


あんたも、そう思うでしょ?」




「いいえ、まったく思いません」


「なんでよっ!!!!」







15歳のチビ助は、真面目くさった顔をして、大人みたいな口を利く。


「もしも、あなたの計画通り、お二人が恋愛関係になっても、平民のミヤモトさんは、殿下と結婚できません。


そのときに、一番つらい思いをするのは……。

女性のミヤモトさんですよ」






「つまり。

結婚できればいいんでしょ?


だったら、心配いらないわ。


めっちゃ賢い私には、奥の手ってやつがあるから」






疑り深いチビ助は、いかにも不安そうに言う。


「……奥の手って、なんですか?」


私はビシッと親指を立てて、自信まんまんに、こう言う。


「ーーデキ婚よ!!!!」







「まずは、[ピー]に、穴開けて。


それから、[ピー]に[ピー]させて。


無事にサクラが[ピー]したら、ヘタレに責任とらせてやるのよ!





クズな相手にこれやると、ソッコーで逃げられて、シングルマザー決定だけど。


ヘタレはめっちゃお人好しだから、簡単に結婚するわよ!」







……まあ。


ヘタレに[ピー]させる前に、まずはイベントをこなして。

ダチをその気にさせてから、ヘタレ野郎をたきつけて、告らせないといけないんだけど。


そうやって、考えてみると。

なかなか、ゴールインは遠いな。






「……ところで、あんた。

さっきから、何むせてんの?


ひょっとして、ノドになんかつまった?」





ゲホゴホ言っていた従者は、急に、マジ切れし始めた。


「お嬢様は、本当に……。

公爵令嬢なんですか!?


そんなふしだらな発言、よく平気で出来ますね!!」






「……はぁ?


たかがデキ婚ぐらいで、んな大騒ぎするなんて……。

あんたって、いつの時代の人なのよ?」


「今の時代の人ですよ!!!!」






そう言われて、私は気づいた。


……あっ、そっか。


このゲームって、現代の日本よりも。

たぶん100年かそこらは、昔の設定なんだった。





つーことは、こいつ的には。


さっきの私の発言は、時代の先端行きすぎて、ついていけない感じなんだな。





100年前の化石野郎は、ワナワナとふるえて言った。


「結婚もしてない男女が……。

…………。


……なんて、ハレンチな……。





そんな非常識なことを、親友にすすめるなんて……。


お嬢様はいったい、どこのご出身なんです!!」






チーッス☆


どもーっ!

この世界一の美女でーす!!




体は、クソゲー産だけど。


脳みその中身は……100年先の日本製でーす☆






……なんて、ほんとのことを言ったら。


脳の血管ぶちギレて、あの世に行っちゃいそうなほど、チビは真っ赤になっている。


化石野郎のこいつには、ちょっと刺激が強すぎたようだ。






「……!!


ですから、……!

…………!!


……。



聞いてるんですか、お嬢様!?」






「あー……。

ハイハイ。

分かった、分かった。




とにかく、そういうことだから。

あんたも、協力しなさいよ。


お子様みたいなナリだけど……。

いちおう、私の従者でしょ? あんた」






「おれは協力しないって、言ってるじゃないですか!!!!」






そう言うと。

ギャンギャン切れていた従者は、ご主人様に背を向けて、自分勝手にこう言った。



「……もう、知りません。

どうぞ、勝手になさってください。


それで、どんな結果になっても……。

おれには、関係ありませんからね!!」





「あっそ。

だったら、あんたの言うとおり、好きにやらせてもらうわよ。


あんたが手伝い拒否ったせいで、二人がどんな目にあっても……。あんたは、文句言わないわよね?





だって、あんたは家来のくせに……。


ご主人様にさからって、仕事を放棄したんだもんね?」






反抗的な、従者のガキは。


深ーい深い、ため息をつくと。


疲れきった顔をして……ちっちゃな右手を、おでこに当てた。






「…………。


おれは、協力はしません。

協力はしませんが……。


お嬢様の暴走を、止める係ということで、ご一緒させていただきます……」




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