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21. エピローグ 〜〜 and i'm home 〜〜 …………4章・完結


 こうして。

 誰も死なない一月は、終わり。


 私はまた、いつもの通り……。


 危険と死亡フラグに満ちた、平和な日常に帰った。




 人にさんざん迷惑をかけて、ようやく退院したチビは。

 ヘタレとヒロインに囲まれ、居心地悪そうにしている。


「無事でよかったぞ、シェイド!

 まったく、おまえは……。

こんなに、みなに心配をかけて……。


 あのような無茶は、もう二度とするでないぞ!」




「そうですよ。

 もう、ムチャしちゃダメですよ」


「……はい。

 以後、あのようなことがないよう、厳重注意いたします……」




 未来の皇太子夫妻に、子どもみたいにしかられて、ひたすら恐縮するチビを。


 私はただ、なんとなく……。


 ちょっと、遠くから見ていた。




 二人の心配攻撃に、すっかり弱ったお子様は。


 誰かに助けを求めるように、視線をウロウロ、さ迷わせ……。


 ふっと、こっちの方を見た。




 目と目が、ばっちり合ったので。

 私は、チビにガンを送った。


「……あぁん?

 あんだよ、てめえ。


 何こっち見てんだよ、コラ」




 うっかり死にかけた従者は、何か言いたそうだったが。


 結局、何も言わないで。

 気まずそうに、視線をそらした。




 ふん。

 根性のない奴め……。


 これにこりたら、大して強くもないくせに、無駄にカッコつけんじゃねえぞ。




 私が、ふふんと勝ちほこってると。

 横にいたミハエル様が、私に声をかけてきた。


「フィアンセのぼくが、隣にいるのに……。

 さっきから君は、一体どこを見ているのかな?」




 私は、きょとんとして言った。


「あら、私……。

 よそ見なんてしてませんわよ?


 ただ、ちょっと……。

 自分の限界わきまえてない、頭のわるすぎる家来に、ガンをくれてただけですわ」




 ミハエル様は意味深な目で、私の顔をじっと見つめた。


「ふーん……」


「何なんですの? その顔は……」


「その顔って、どんな顔?」




 金髪碧眼の王子は。

 そう言って、すばらしくいい顔を……。


 キスしちゃえそうなぐらい、グイッとお近づけになった。


 私は体が熱くなり、頭が芯からとろけ始めて、何がなんだか分からなくなった。




 ミハエル様は、満足そうにお笑いになった。


「まあ、君がそう言うのなら、そういうことにしておくよ。


 ……ところで、ロザリンド。


 急な話で悪いけど、今日の放課後……。

 ぼくと、買い物に行かない?」




 願ってもないお誘いに、私は二つ返事でのった。


「行きますわ!!」




 すると。空気の読めないチビ助が、横から口を出してきた。


「あなたにはデートだなんて、そんな余裕はないでしょう。


 今日の放課後は、テスト勉強をしますよ。

 このまま行くと、確実に……あなたは留年ですからね」




 私とチビが言いあってると、王子が優雅におっしゃった。


「じゃあ、今日の放課後は……。

 ぼくが、彼女の勉強を見るよ」




「えっ。

 ミハエル様と、お勉強?」


「ぼくが教師では、不満かい?」


「いや……。

 不満じゃありませんけど……」




 オール100点とる人と、お勉強会なんてやったら……。


「なんだ、この女。すさまじくバカだな」って、ゲンメツされそうで嫌だな。




「えっと……。

 お気持ちは、うれしいですけど……。


 でも、私、せっかくあなたとデートするなら、

買い物の方がいいんですけど……」




 頭脳明晰な王子は、今日の放課後の予定を、勉強会に変更なさると。


 私の肩に手を置いて、チビに宣戦布告した。


「そういうことだから、シェイド。

 君は、少し休むといいよ。


 まだ退院の直後で、体の方も……本調子じゃなさそうだしね」




 黒髪のチビな従者は、王子をまっすぐ見すえて言った。


「いいえ。

 おれはすっかり、元通りです。


 こんなゴリラの勉強のために、あなたの貴重なお時間を、いただくわけにはいきません」




「ロザリンドは、ぼくのフィアンセだ。

 彼女の面倒を見るのは……ぼくの仕事だよ」


「いいえ、おれの仕事です!」




 王子様と従者の間で、なぞのバトルが始まったとき。


 ヘタレが空を指さして、子どもみたいに、はしゃいで言った。


「……見ろ、雪だ!」




 ーー空から、ふんわり、ふんわりと……。


 白い雪の結晶が、花びらみたいに降ってきて。


 登校途中のモブたちは、みんなそろって、空を見上げた。




 その雪は。

 この冬、最後の雪になり。


 私たち、1年S組の生徒はーー


 みんなそろって、2年になった。




 そして、むかえた新学期。


 私の乙女心には、思いもよらぬ、変化が起こって。


 どえらいことに、なるのだけれど……。




 その話を始めると、わりかしマジで、長くなるから。


 今日のところは、とりあえず……。


 このへんで、おしまいにするわ。






【第4章・完】




ここまで読んでくださって、

ありがとうございました!



また、連載中に

ブクマや評価を入れて、

応援をしてくださった方へ。


自分の書いたお話に、

誰かが「いいね」と言ってくれると……

やはり、とってもうれしいです。


本当に、ありがとうございます。

m(_ _)m




第5章のスタートは

【2023年・8〜12月】の予定です。


原稿がある程度進んだら、

くわしい時期をお知らせします。



――――――――


(2023.12.29 追記)


諸事情により、

第5章の公開は、延期させていただきます。




これまで応援してくださった方、

続きを待っていてくださった方には、


大変申し訳ありません。




ここまで読んでくださって、

本当にありがとうございました。



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