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第783話 古代遺跡

 俺達はアラリリスより更に南へと移動し、前線基地を作る候補地を探っていた。部隊を四つに分けて、空と陸上部隊を編成して進軍している。


先行部隊

ギレザム、ガザム、ゴーグの部隊。

軽装甲機動車1台


航空部隊

部隊1:俺、シャーミリア、マキーナ、ファントム、マリア、カトリーヌ&ルフラ、モーリス先生、デイジー、及びヘオジュエ、リュウインシオン

CH-53Kキングスタリオン一機

部隊2:エミル、ケイナ、ティラ、グレース、オンジ、カララ、アナミス。

CH-53Kキングスタリオン一機


陸上本隊

オージェ、トライトン、セイラ、ラーズ、ミノス、ドラン、スラガ、ルピア。

及び二次進化以上の魔人部隊

ゴブリン隊300人、ダークエルフ隊200人、オーク隊200人、竜人隊100人、オーガ隊100人、ライカン隊100人の計1000人

軽装甲機動車10台 96式装輪装甲車100台 73式大型トラック200台 M270・MLRS自走多連装ロケット・システム50台 M110・203mm自走榴弾砲50台 M1エイブラムス戦車50台 BMPT・テルミナートル50台 


 恐ろしいほどの大部隊だ。前世でもこんな車両部隊が進軍する事なんて過去に無かっただろう。人数的には人間の部隊であればもっと大勢になるだろうが、なにせ二次進化以上の魔人に銃火器装備だ。1000人でもかなりの戦力になるだろう。これだけの兵力が準備できたのは、ひとえに魔導エンジンと転移魔法陣のおかげだった。


 また、ここから先は全く見当がつかないので、ヘオジュエに道案内を頼み俺達のヘリに乗ってもらっている。そしてなぜかリュウインシオンまでついて来ていた。一度断ったのだが、ヘオジュエだけに仕事を押し付けるわけにいかないと言い寄られたのだ。

 

「しかし…この乗り物は凄いですな」


 ヘオジュエが目を丸くして言う。もちろんこれが初めてではないが、何度乗っても慣れる事は無いらしい。そりゃそうだ、未だにモーリス先生はワーキャーはしゃいでいる。


「ちょっとは落ち着かんか!」


 デイジーがモーリス先生に釘を刺すが、全く聞いていないようだ。ただただ、未だ見ぬ新天地を空から見下ろして目をキラキラさせている。そんな人たちはさておき、俺はすぐに先行させているギレザム隊に無線を繋いだ。


「全部隊南への進軍を開始している。そちらは何か変わった事はあるか?」


「今の所、気になる所はありません。数日前まで、ちらほらと気配を感じていた敵の斥候も身を潜めているようです。」


「よし、あまり深入りするな。俺達から離れすぎると孤立してしまう恐れがある」


「は!」


 俺達はそのまま空からギレザムたちを追うのだった。そして今度は後方から進軍してきている、大規模車両部隊のオージェに連絡を繋ぐ。


「オージェ。順調に進んでいるか?」


「問題ない。二次進化の魔人の能力は凄いぞ、道が悪くても車両を持ち上げたりなんだりで、立ち往生するは全く無いみたいだ」


「わかった。こちらで周辺を確認しているが、今の所危険なものは見当たらない。ギレザム隊からも、変わった事が無いと連絡が来ている」


「ラウルたちも空だからって気を抜くなよ」


「もちろんだ。そちらは何か怪しい物を見つけたら、ルピアを飛ばして確認させてほしい」


「了解だ」


 そして次に後方を飛んでいるエミルに繋ぐ。


「エミル。そっちから何か見えるか?」


「特に変わったものは見当たらないようだ。ギレザムたちは相当先に進んでいるのか?」


「いや、先行し過ぎないように指示している」


「その方がいい」


 そして俺は機内に乗っているメンバーにも、声がけをする。


「みんな! 出来る限り周辺を警戒していてくれ」


「もちろんじゃ!」


 ワクワクしながら外を見ていたモーリス先生が、当然のように返事してくる。するとデイジーが、モーリス先生に詰め寄る。


「おぬしは観光気分じゃなかろうか?」


「何を言うデイジーよ。わしはちゃんと見とったよ!」


「ふん。子供のような目をして何を言うか」


「子供じゃと!」


 いつもの調子で始まったので、カトリーヌが二人の間に入る。


「まあまあ、先生もデイジーさんも。今は敵地ですよ、言い争っている場合ではありません」


「わ、分かっとるのじゃ!」

「もちろんじゃな」


 そして二人は静かになった。リュウインシオンとヘオジュエが微妙な苦笑いをしている。とても偉そうな見かけの老人二人が、子供のような言い争いをしている事がおかしいらしい。


「リュウインシオン。気にしないでくれ。これはいつもの事だ」


「ラウル様、気にしてなどおりません。気の置けない人たちだなと思っております」


「二人ともヘリに乗るのが平気なんだね」


「特に問題はございません」

「素晴らしい乗り心地です」


 まあ顔色も悪くないので、きっと本当なのだろう。聖女リシェルなんかいつまでも青い顔をして、物凄く具合悪そうになってるのに比べたら大したものだ。


 ずっと外を見ていると、ギレザムの言う通り緑が見え始めた。アラリリスからかなりの距離を進んで来たが、だいぶ気候が違うらしい。そして唐突にシャーミリアから念話が繋がる。シャーミリアはヘリの護衛の為に外を飛んでいるのだった。


《ご主人様》


《なんだ?》


《西側の遠方、砂漠に都市があるように思えるのですが?》


 俺が双眼鏡を召喚して、シャーミリアに言われた方角を見る。


「ホントだ。ヘオジュエ!」


「はい」


 俺の側にヘオジュエがやって来る。そして俺はヘオジュエに双眼鏡を覗くように説明して渡した。


「あれを見てくれ」


「あれは…」


「あそこに都市があるのか?」


「あれは古代都市ガルーダです。砂漠に飲まれてしまい人が住めなくなった都市です」


「古代都市か…」


「はい」


 俺はすぐさまエミルのヘリに無線を繋げた。


「エミル。右方向に滅びた古代都市があるらしい、一度そちらに向かう」


「了解」


 そしてすぐにギレザムに無線を繋げた。


「ギレザム。砂漠に失われた古代都市があるらしい、俺達はそれを調査してから向かう。安全な場所を確保して、待機していて欲しい」


「は!」


 そしてヘリが右旋回して、砂漠地帯に侵入していくのだった。どうやらここまでは空母落としで発生した瘴気は漂ってはいないようだ。


「マリア、あの都市の上空を旋回しろ」


「かしこまりました」


 マリアがその都市の上を旋回し始める。上空から見る古代都市は、遺跡のような石の柱が多数立っており住居跡も見える。だが、すべてが砂で覆われており、確かに人間が住めるようにはなっていなかった。すると突然、慌てた声でシャーミリアが念話して来た。


《ご主人様! 退避してください!》


「マリア退避だ!」


 マリアが急旋回して、今飛んできた方向へと機首を向けたところに、遺跡跡から突然何かが飛んできた。それは発光体のようなもので、青白く輝いていた。マリアがその発行体を上手くかわして飛ぶ、もちろんエミルも当たる事無く後ろをついて来ている。


 どうやら地上から何者かが攻撃してきたようだが、俺達のヘリにあたる事はなく射程距離から外れたようだった。


「一体なんだ?」


 俺が驚いていると、エミルが無線を繋げて来た。


「ラウル、とにかく離れよう。砂漠で撃墜されたらヤバい、あのメガロドンに襲われるかもしれない」


「そうだな。とにかくさっきの場所まで戻ろう」


 そして草原地帯まで戻って来た俺達は、無事に着陸出来たのだった。俺はすぐさま、ヘリを降りるように皆に指示を出した。キングスタリオンは大きな標的になるので、遠距離から砲撃を食らったらひとたまりもない。


「とにかく外へ!」


 そうして俺達は草原へと降り立った。エミルも同じ指示を出したらしく、もう一機からも皆が降りてくる。地面に足をつけると、そこには草が生い茂っておりアラリリス周辺とは明らかに違っている。


 ドン! すぐさま俺の側にシャーミリアも降りて来た。


「ご主人様! ご無事でしょうか!」


「俺達は問題ない。シャーミリア、あれはなんだ?」


「わかりません。デモンの類では無かったように思われます」


「デモンじゃないか…」


「はい」


 俺はてっきりデモンの攻撃だと思ったが、全く違うようだった。


「なんだろうな? エミル達の方からは何か見えなかったか?」


「わからない。砂の中からいきなり発光体が現れたように見えたがな」


「砂の中からか…、これは迂闊に近寄れないぞ」


「私奴が行って見てまいりましょう」


「まて。闇雲に向かってシャーミリアに何かあったら、かなりの痛手となる。とにかく放っておけない事は確かだが、きちんと作戦を立てて行こう」


「かしこまりました」


 ここからはさっきの遺跡は見えなかった。遺跡の周辺から攻撃されたような気はするが、それを確認するにもあの砂漠に侵入するのはとても危険だ。


「ドローンを飛ばす」


 俺はドローンのMQ-9 リーパーを召喚した。更にコントロールシステムとテントを召喚する。滑走路が無いので、一度シャーミリアから抱いて飛んでもらいそのまま空を飛ばす予定だ。俺達は急いでテントを作り、その中にドローンのコントロールシステムを置いた。


「シャーミリア、頼む」


「は!」


 シャーミリアがMQ-9 リーパーを抱いて空に飛びあがった。しばらく飛んだところでシャーミリアが離すと、そのままMQ-9 リーパーは砂漠方面へと飛び去っていく。俺達はコントロールシステムのディスプレイを確認し始める。映像には遺跡がバッチリ映っており、俺はMQ-9 リーパーを旋回させカメラで遺跡周辺を撮る。


「なんだ?」


 すると突然、古代遺跡の側の砂が盛り上がって来た。すると砂の中から人間の腸のような物体が顔をだした。見る感じでは巨大なミミズのようだ。


「撃ってきた!」


 そのミミズの先の口のような部分が広がったと思ったら、そこから青白い光体が飛んできた。MQ-9 リーパーを操作して逃げながら、確認の為何度も旋回して映像をとる。するとそのミミズの先から、次々と光玉が上がって来てMQ-9 リーパーは撃墜されるのだった。


「あ、ヤベ!」


 よけきれなかった光玉の直撃をうけたMQ-9 リーパーは、破壊され映像が途絶えてしまう。俺達はすぐさま、テントを出て集まった。俺はエミルに話しかける。


「なんだあれ」


「ミミズみたいだったけど」


「だよな。ミミズが光の球で攻撃して来たぞ」


「だな」


 するとモーリス先生が言う。


「ありゃ、デモンの類ではなさそうじゃ。わしが思うに、自然のもののように思うのじゃが」


「虹蛇関係ですかね?」


「そこまでは分からん。じゃああんな魔獣をわしは知らんのじゃ」


「そうですか…」


 俺はてっきり敵の攻撃だと思っていたが、魔獣の類なのかもしれない。だが敵である可能性も捨てきれない。不用意にあの砂漠に突っ込んだ俺のミスだが、もしかしたらあれも空母落としの影響なのだろうか? 俺達は謎の生物を調査する必要が出てきたのだった。

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