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第304話 エネルギー充填120%

ナブルト洞窟の最下層のようなところからいきなりエルフの里に出てきた。


エミル達に精霊を宿す儀式をこの泉でやったのだが、精霊神が祀られた部屋とここが繋がっていても不思議ではない。


「いきなり泉が光りましてね。」


UFOの発見者みたいなことを言うラッシュ長老。


「ええナブルト洞窟の最下層と思われる場所で石が光ってたんですよ。それでここが光ったのかなと思うんですけど。」


俺が答える。


「それでは精霊神様がいらっしゃったという事ですか?」


「エミルはそう言ってます。」


「確かに受体されているようです。間違いなく精霊神様だと分かります。」


「私はなにか変わったように見えますか?」


エミルが長老に訪ねた。エルフの長老達が片膝をついた。


「見た目などの変化はございません。ですが私たちは感じ取る事が出来ます。」


どうやらエルフ達にはエミルが精霊神に見えるらしい。エミルは俺達から見てまったく何も変わっていないが、エミルに対して長老が敬語で話しているしたぶんそうなのだろう。


「長老!ぜひお立ち上がり下さい!私はエミルです。若輩者のエミルです!」


「そういうわけにはまいりません。まさか聖霊神様が受体される時代にエルフの長老をさせていただく事になろうとは。」


「とにかく今まで通りでお願いします。」


「まずは仰せの通りにいたしましょう。」


どうやらエミルと長老の折り合いがついたらしい。


「それでは議事堂へ。」


「はい人間の皆さんにも休んでいただきたいのです。」


エミルが言う。


「もちろん手配いたしましょう。」


セルマが、のそのそと湖からあがってきてブルブルと水を飛ばす。


プッシャー


「ひゃ。」


モーリス先生とエルフ達は湖に落ちていなかったのに、びしょびしょに濡れてしまった。


「と、とりあえず行きましょう。」


みんなで議事堂に向かう。


「なんかここを出発したばかりに感じるけど、もう戻ってきちゃったな。」


「もっと苦労するかと思ったがな。」


「本当に皆のおかげだよ。」


「エミルさんが無事にバージョンアップできてよかったです。」


「実際はどうなったんだか分からないよ。」


確かにエミルに変化は見られない。グレースの時のように少しずつ特殊能力が分かっていくんだろうか?


まずは先生とオンジさんを休ませる事が優先だ。


「先生は大丈夫ですか?」


「ふむ何ともないぞ。」


「ナブルト洞窟ではかなり魔力が削られたみたいでしたが。シャーミリアやマキーナ達ですらだいぶ堪えていたみたいですし。」


「まあ魔力で身体強化もしておったからな、でなければあの部屋では普通の人間は耐えられんかったろう。あれが続けば魔力切れでわしは今ここにおらん。そしてあの光が炸裂した後は一気に魔力が戻って驚いたがのう。」


「え、でもオンジさんも何とか耐えてましたよね?」


「はい。いきなり力が抜けはしましたが、私はグレース様が受体されてからかなり身体能力が上がっておりまして、十分耐える事ができました。」


「そうなんだ!オンジがバージョンアップしてたんだ!」


グレースが驚いたように言う。


「ばーじょん?」


オンジがキョトンとした顔で聞く。


「えーっと、能力が上がったという事だよ。」


「ああ、そうでしたか!はいおそらく以前とは違います。そしてグレース様に何かあるたびに力が増している気がします。」


「そうなんだ!」


あの部屋ではシャーミリアやマキーナですら厳しかったのだから、この人間の二人が絶えられたのが不思議だったのだ。どうやらグレースと連動してオンジさんも強くなってたらしい。


そして料理が運び込まれて来た。


「失礼いたします。」


長老3人がまた再び豪華絢爛な格好で入ってくる。


「デジャブ?」


「だな。」


俺とオージェがビックリした。ここを出発した時と同じような豪華な服装で長老たちが入って来たのだ。


「皆様よくぞご無事で戻ってこられました。」


長老たちが床に額をこすりつけるようにして頭を下げる。


「いやいやいやいや。頭を上げてください!」


エミルが慌てて言う。


「いやエミル。きっと一度こうしないといけないんじゃないかなと思うぞ。」


俺がエミルに助言する。


「とにかく以前と同じように。」


エミルが長老たちに言う。


「わかりました。それでは一旦失礼をしまして…エミルよ!よくやったな!」


「はい。でも私は特に努力はしてないんですよ。ここに居るみんなのおかげでたどり着いたんです。」


「それは皆様!エミルの為に本当にありがとうございました!」


長老が頭を下げるので俺達も頭を下げる。


「それでは長老!みんなでどんな事をしてきたか聞いてください!」


「それは楽しみじゃな。」


長老たちも含めて俺達はまた美味い食事に舌鼓をうちながら、今回の旅の報告をするのだった。


食事を終えて俺達はそれぞれが宿泊する部屋に案内された。エルフの女の人が5人出てきて俺達をそれぞれ宿泊所に誘導してくれるようだ。


「それではラウル様ご一行はこちらです。」


「はい。」


「それでは先生はこちらへ。」


「すまんのう。」


「オージェ様はこちらです。」


「ありがとうございます。」


「虹蛇様はこちらへ。お付きの人も。」


「はい。」

「かたじけない。」


「熊さんはこっちよ。」


くるぅぅぅ。


「えっ?ラウル様の元へ?」


がるる!


「えっとすみません。セルマの言ってる事が分かるんですか?」


俺はエルフの女性に聞いてみる。


「分かりませんが、雰囲気で察することくらいは。」


「そうなんですね。」


「それでは熊さんはどこに?」


「セルマ!部屋には入れないから部屋の外でファントムと一緒に居れるか?」


くるぅ!


「そうか。なら俺の部屋のそばにいてくれ。」


俺はエルフの女性にセルマを連れて行く事を伝える。


すでにエミルは新しく用意された精霊神の為の部屋に行き、ケイナはもともと住んでいた家に行ったらしかった。


「それではこちらへ。」


エルフの女性達に連れられて俺達は別々に宿泊する場所に行く。


俺達が宿泊する場所についた。そこには木の上に向かって階段がかけられておりそこを上がっていく。太い木々の枝の上に部屋があるエルフスタイルの客室だった。


「懐かしい。」


「はい。」


前に来た時に俺とシャーミリアとカララそしてアナミスが泊ったところと似ていた。だが場所が違うので今回は前回とは待遇が違うらしい。前に止まったところより広くて豪華だった。


「どーれゆっくり休むとしよう。」


「はいご主人様。」


「ありがとうございます。精一杯尽くさせていただきます。」


シャーミリアとマキーナが俺の後ろに立っていう。


「マキーナお前も休んでいいんだよ。」


「ご主人様のお疲れをいやすように頑張ります。」


「わ、わかった。まあ適当によろしく頼む。」


「はい!」


マキーナが嬉しそうだった。クールビューティーに黒髪のロングで冷たいイメージの女性なのだが、俺の前ではどこか少女のように見える。


「私奴と二人ご主人様のお疲れを癒せるように、誠心誠意お尽くししたします。」


「ミリアもまあ適当でいいからな。」


「いえ誠心誠意お尽くしいたします。」


「お、おう。」


その部屋には風呂が隣接していた。すでに風呂のお湯が温められていたようで至れり尽くせりだ。


「それではご主人様のお体をお清めします。」


マキーナが言う。


次の瞬間。


俺はいつの間にか裸になっていた。


《えっ!いつの間に俺全裸になってんだ!?》


《あの、ご主人様。申し訳ございません私奴が、》


なんかシャーミリアとは念話の同調がきつくて丸聞こえだな。


「いやいいんだ。そうだよなお前は脱がすのも上手くてびっくりだよ。」


「ありがとうございます。」


シャーミリアが俺が気が付かない間に、俺の服を剥ぎ取っていたようだ。


シュルシュル


サラリ


シャーミリアとマキーナも服を脱いで全裸になった。


わぁお!


あまりにも綺麗すぎて目の保養になりすぎる!


「それではこちらへ。」


俺が座ると二人で体をちゃぷちゃぷと布をしめらせて拭いてくれる。


ふぅー。


きもちいい。


裸の二人に優しく洗われているうちに、ちょっとだけ…は、反応してしまう。


「まあ…。」


シャーミリアの目がらんらんとしている。


俺…このまま食われてしまうんだろう。きっとそうなんだろう。


「ご主人様。それでは一度お体をお流しします。」


マキーナが桶でお湯をすくって俺の体を流してくれる。


「それではこちらへ。」


シャーミリアに手を引かれて俺は湯船につかる。


「丁度いい湯加減だ。気持ちいいわ…」


「それは良かったです。」


「失礼します。」


マキーナが俺の足を持ってマッサージをし始めた。


「それでは私奴も失礼します。」


シャーミリアが俺の肩から腕にかけてマッサージをする。


ぎんもぢぃいー


涎が出そうになる。


その後も湯船の中で足や腕や背中をマッサージされているうちに、俺は寝てしまったのだった。


「ふふっ。お疲れになっていたようだわ。」


「それではお体をお拭きしてベッドへ。」


俺は寝たまま二人に体を拭かれベッドに連れていかれるのだった。



そして…


朝が来た。


「ふわぁぁぁぁぁ!よーっく寝たぞ!なんだか力がみなぎってくるし、肌がすべすべだぁ!」


なんか俺のパワーが以前より2割増しなったように感じた。


「おはようございます。ご主人様。」


「おおミリア!なんだか調子いいわ。」


「それは何よりでございます。」


「マキーナも休めたか?」


「はい、十分に堪能…いえお休みさせていただきました。」


なんとなく今ふしぎな事を言われた様な気がするが、体の調子がすこぶるいいので気にしない。


「それじゃあ服を着てみんなの所に行く事にしよう。」


2人のあられもない姿を他の誰かに見られるのは嫌だった。


《ん?なんで嫌なんだろう?でもなんか独占したい気分だ。なんというか、俺の物って感じがする。》


《もちろん私奴はご主人様の物でございます。》


念話が聞かれる。


「あーごめん!そういう事じゃなくて。」


「それではどういった?」


「あの、まあそう言う事かも。」


「そう言っていただけると嬉しいですわ。」


「ならそう言う事で。」


いやあこんなに可憐な女性二人が俺の所有物とか意味わかんねえわ。


「じゃあ行くぞ。」


「かしこまりました。」


「はい!」


とにかく体の調子がいい!俺はそのまま外に出て下を見るとファントムがいた。


「それ!」


俺はいたずらでファントムに飛び乗ろうとして飛び降りる。


いや!これは!


その瞬間、シュッ


シャーミリアが俺を捕まえて普通に道に着地する。


「助かった。」


そういえば俺は前にココでファントムに飛び乗って股間を強打したんだった。


シャーミリアはそれを思い出して間一髪救ってくれたらしい。


「セルマ!行こうか!」


くるぅう


俺達はそのまま議事堂に向かった。


「ラウル休めたか?」


俺が議事堂に入っていくとすでにオージェが飯を食っていた。俺達が入っていくと声をかけて来る。


「おお早いな。」


「腹が減ってな。」


「この量を食ったのか?」


「そうだが何か?」


オージェの前には食べた皿やら何やらが大量に置いてあった。


「やっぱ凄いな。」


「お前も食おうぜ。」


「ああ。」


そして俺が席についてオージェと飯を食っていると、モーリス先生がやってきた。


「おぬし達早いのう。」


「先生もどうぞ。」


「ふむ、うまそうじゃな。」


先生も年の割にがっちりと食べ始めた。


そしてエミルとケイナ、グレースとオンジが来る。


「お先にいただいてたよ。」


俺が言うとエミルが言う。


「どうぞどうぞ。それよりさ…俺、あまり腹が減らないんだよね。」


「えっ?」


「受体してからあまり。」


それじゃあグレースと同じような現象じゃないか。


「でも僕は食べますよ。」


グレースが言う。


「美味しいという感じはあるんです。ただお腹が減ってないだけで。」


「確実に二人の体に変化があるね。」


「ああラウル。俺も昨日は結局、眠る事は無かったよ。」


「エミルもか。」


「それでも全く苦にならない。」


「グレースと同じか。」


「そのようだ。」


そしてケイナが言う。


「私は眠ったのですが、起きたらちょっとした異変がありました。」


「どうしたのですか?」


「何というか力がみなぎるというか、以前より体が強くなった気がするんです。」


「そうなんですか?」


するとオンジが言う。


「それなら私と同じですな。私もグレース様が受体なさってから体に変化がありまして、ずいぶん強くなったように思うのです。」


「オンジさんもですか?」


「はい。」


「受体に関係がありそうですが…」


ケイナが言う。


「そのような気がします。」


オンジさんも同意した。


「とにかく私はお腹がすきましたぁ!」


そう言うとケイナも席につき凄い勢いで食べ始める。女性の朝にしては凄い食欲だった。


「オンジも食べれば?」


「はいグレース様。私もだいぶ空腹なようでして。」


「じゃあ食べられるだけいっちゃいなよ。」


オンジも凄い勢いで食べ始めるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 精霊神を受体したエミルさん 流石に今まで通りにはいかないですね、若輩者のエルフではなく、エルフの光で精霊神な訳ですからw セルマ熊はラウル君と一緒がいい 最終的にファントム君と一緒に小屋…
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